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罪作りだよなあ、「認知症に水が良い」とNHKは言うけれど。

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昔々、いい加減な健康医療情報を寄せあつめたサイトがあり、根拠のない医療情報満載なその軽率なサイトはついに閉鎖となりました。

ちょっと昔に医師監修として健康医療情報を寄せ集めたサイトがあり、非難轟々となりました(まだご健在)。これらの医療記事はクラウドソーシングによって集められた素人ライターネット上で適当にあつらえた根拠が明確でない、いわゆるエビデンスのない医療情報によって構成されていたことが問題視されたのです。

今のご時世、一次ソースを明らかにしない医療情報はあてにならないぞ❗

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NHKの情報ってどちらかというと信頼度が高いはずなんですが、ガッテン等のバラエティ系で健康医療情報を扱うとかなりの確率でトンデモになってしまいます。

実は以前からどうしても納得が行かない話をBSのNHKの「偉人たちの健康診断」の中で

水を飲むことは認知症予防になることが研究でわかっています

が気になって気になって仕方がありません。

この疑問が湧いた直後のNHKとのやりとりは「水を飲むと認知症が予防できる」とNHKと医学ジャーナリストは言っているけど⋯。をご覧くださいませ。あまりしつこくNHKにメールでご意見を伺うのも悪質クレーマー的なイメージになってしまいますので、この件を別の切り口で俎上に載せたいと思います。

私が調べた限りでは水を飲むことが認知症を予防するとの質の良い医学論文は現時点では見つかっていません。見つかったのは一般書籍である「水をたくさん飲めば、ボケは寄りつかない」 (竹内 孝仁著 講談社+α新書) くらいのものです。水って絶対人間に必要なものであるために、近年では水素水なんて怪しげなものまで飛び出してきて物議を醸しています。

一人暮らしのお年寄りが引っかかってしまう浄水器⋯合法的詐欺との声も

前掲のNHKの番組の中でも水を飲むことが伊達政宗のエイジングケア法であった、なんてことが放送されていました。人体の60パーセントは水で作られている、なんて殺し文句を言われたらお年寄りはこれからは良い水を飲まなければ、と考えてしまいます。そんなお年寄りのおじいちゃん、この浄水器で作った水は認知症を予防するんだよなんて囁いたら、赤子の手をひねるレベルで浄水器が売れまくるはず。さらに水を飲むことは認知症の予防になるってNHKでもやっていましたよ❗を付け加えると、その浄水器販売会社の売り上げは右肩上がりにガンガン上昇することが予想されます。

こんな記事がありました。高齢者に群がる業者「合法的詐欺」の手口

訪販業者がお年寄りに無理くり高価な商品を売りつけ、中には貯金が7000万円あった老婦人がとうとう30万円ほどになってしまった話も書かれています。その中で登場する商品として浄水器が挙げられています。どんなセールストークを使ったかは知ることはできませんが、水は体に対してなんか良さそう的なイメージをお持ちの方にとって、「水を飲むと認知症の予防になりますよ」は必殺技的な文言となるのではないかと危惧してしまいます。

認知症に対する水神話の危険性はこんなにたくさんあります❗

NHKが垂れ流した水によるエイジングケア、申し訳ないけど医学論文としては見つけることはできませんでした。

あるとしても水素水のパーキンソン病に関する「Pilot study of H₂ therapy in Parkinson’s disease: a randomized double-blind placebo-controlled trial」(Mov Disord. 2013 Jun;28 (6) :836-9)や抗酸化力や筋肉に対する影響を調べた「Pilot study: Effects of drinking hydrogen-rich water on muscle fatigue caused by acute exercise in elite athletes」(Med Gas Res. 2012 Jul 12;2:12)がありますけど、どれも健康に良いとの結論には至っていません。

消費者庁が平成30年7月27日に公示した「特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示並びに当該業者の使用人に対する業務禁止命令(3か月)について」では水の販売業者のセールストークで、「認知症にも効果があります」が使われていて、さらに、認知症やガンの予防やがん治療や症状の改善に効果あることも勧誘時に使用していたことが判明しています。

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特に高齢者に絶大なる信頼を寄せられているNHKはバラエティ番組であろうと

歴史関連番組であろうと裏ずけのないいい加減な医療情報の拡散に手を染めているとになりかねないのです❗

本当にいつかNHKの健康医療関連番組はチコちゃんに叱られるますよ。

伊達政宗が70才で健康長寿を全うしたとしても⋯全然裏付けにはならないよ❗

伊達政宗が70才で天寿を全うしたとしても、水にエイジングケアがあることの証明になるはずはありません。たった1症例をもってして

「水にはエイジングケアがあるんですよねえ〜」なんてこと言えるわけないじゃん❗

これって

ウチのばあちゃん、ヘビースモーカーだけど90才過ぎてもピンピンしているぜと言っているのと同じレベル。

NHKさま、「英雄たちの選択」や「歴史秘話ヒストリア」とか「先人たちの底力 知恵泉」などの歴史ものファンである私をヘンテコな医療情報で汚染された「偉人たちの健康診断」をぜひ見直してくださいませ。

えーっと、これは私の友人が言った言葉何ですが、「NHKの一般向けの歴史番組ってプロから見ると噴飯ものなんだよね」は聞こえなかったことにしますね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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