五本木クリニック院長ブログ

川嶋朗医師が監修するホルミシスの医学的効果はニセ医学のホメオパシーとそっくり!!??


■とっくのとうに否定されていたはずのホルミシス効果

原発事故の時に「ホルミシス効果」という言葉が聞こえてきました。ホルミシス効果をざっくり説明すると、大量の放射線を浴びることはもちろん身体に悪いけど、少量の放射線を浴びることは、逆に健康に良い、あるいは病気を治す、といった考え方です。

これはあくまでも仮説であり、そんなこともあるかもねレベルの話。このホルミシス効果のもっともらしい話を拡散する面々が間違いなく根拠としてあげるトーマス・ラッキーという生化学の名前。

ホルミシス効果で様々な病気、それこそ難病であろうとがんであろうと治しちゃう、予防しちゃうと主張する連中の記事中でこの言い出しっぺのThomas Donnell Luckeyさんの論文が記載されいることはなぜか稀です。

ホルミシス信奉者の崇める論文は「Radiation Hormesis: The Good, the Bad, and the Ugly」(Dose Response. 2006; 4(3): 169–190.)だと思われます。

このホルミシス理論を使用して、がんを治しちゃったと主張する一般向け書籍が日本で多数発売されています。

ホルミシス臨床研究会サイト 

その一例としてあの川嶋朗医師監修の「医師も認める!! 健康&美容の最新療法 ホルミシスの力 」(タツミムック) を参考にして、私がなぜホルミシスなんてニセ医学!!と判断するのかを説明しますね。

この川嶋朗医師は危なっかしい「冷えとり」を信奉しているし、悪名高き「ホメオパシー」を拡散しているし、トンデモ医学の宝庫ともいえる人なんだけどねえ・・・。

読売新聞「冷え対策」の記事、芳ばしいトンデモ臭が・・・。

こんな話を読売新聞は記事にして大丈夫か?

■ホルミシス治療の症例、これ時間が逆行しているんですけど!!

大量なら害があっても、適量なら身体に良い、薬のほとんどは「過ぎたるは及ばざるが如し」です。適正な量が判明していない放射性の物質を利用して、病気を治すと主張している川嶋朗医師が監修している一般書籍に前立腺がんの患者さんの話が掲載されています。

この症例報告(一般書籍なんで注意が必要!!)はとにかくおかしな話だらけ。症例(?)は81才の男性。前立腺がんの腫瘍マーカーPSAが82.3であり、CTでリンパ節転移が見つかりました(この時点で一般的には病期はステージ4とされます。

正確にはどこのリンパ節への転移があるのか記載されていないのでTNM分類は不明)。治療としてホルモン療法を選択しました(遠隔転移があるか、無しかは非常に重要な情報なのですが情報なのですが、年齢を考えるとホルモン療法が一般的)。

前立腺がんと診断された患者さんの場合、なぜか標準治療の治療計画が遅れて、待ちきれなくなりホルミシス療法を開始したらしいです。症例を提示しているクリニックの記載によると、ホルミシス療法を開始すると同時に自宅にでラドン水を飲み、枕やベッドにラドンシート(なんじゃこりゃ)を敷いて過ごしました。

その結果、PSAの数値はが順調に低下し(このグラフがどうも信用できない)、ホルミシス療法を開始して5ヶ月後に初めて標準治療を開始したそうです。

グラフを見るとホルミシス療法を始める前の前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAは82.3、ホルミシス療法を開始し始めるとグングン低下して一気にPSAは10程度になっています(P50)、標準治療を開始する前にはなんとPSAはグラフからざっくり読み取ると正常値付近まで低下していることがわかります。

グラフをよくよく見ると、治療開始前の平成25年11月5日のPSAは82.3、ホルミシス療法を開始して数ヶ月後のPSAは75付近・・・

あれあれっ、PSAが極端に下がっている日付が平成25年1月28日に逆戻りしているぞ!!さらにホルモン療法を開始した日付は平成25年5月6日、この日って祝日なんですけど!!うーん、このグラフを引用したいけど、著作権とか言われると厄介だし・・・。

http://www.benri.com/calendar/2013.htmlより

平成25年5月6日は祝日なんですが、祝日に診療を行なっている珍しい病院があったようです。

さらにこのグラフにおける右端、つまり最新のPSAが0.128になった日付は平成25年7月1日になっています。

ホルミシス療法を行なっていると時間が逆行してしまうのでしょうか?前立腺がんにホルミシスが効果を発揮したことより、時間が逆行している方に私は目を奪われてしまったのです。これグラフをお見せしたいのですけど

書籍を出版して校正を繰り返してもどうしても誤記は生じてしまいます。初版で誤記があった場合は増版するときに普通は修正されるのですけど、私の手元にあるのは2017年5月1日に発行された第2版ですよ!!監修した川嶋朗医師もこの症例を報告した医師も出版社も読者もこのグラフの時間が逆行していることに気がつかなかったんでしょうか?

関係者一同、どなたも非常に無責任なホルミシス療法を推奨する一般書籍だと思います。

■ホルミシス効果の一例として使われるラドンは浴びると肺がんのリスクが増える!!

ホルミシスが身体に良い、健康に良い、病気の予防になる、がん治療に役立つとの主張がネット上や一般書籍で多く見受けられます。ラドン温泉というのがありますよね、ラジウム温泉の代表です。

ラジウムというのは原子番号88でキュリー夫人が発見したことで、ポロニウムとともに子供時代に世界の偉人伝を読んでご存知の方も多いと思います。放射線を出す物質として一般の方にも馴染んでいるラジウムが崩壊する際に発する気体がラドンです。ラドン温泉は温泉の通常の効果の他にラドンという原子番号86がさらに何らかの効果があるんじゃないかあ的考えられています。

そのあたりの詳細は日本温泉気候物理医学会の正会員である私が言うのですから、間違いないはず(笑)。

実は身体に良さそうなラドンですが、これを大量に浴びると肺がんのリスクが高まることが知られています。

実はラドンを浴びることは、タバコを吸うことの次くらいに肺がんのリスクを高めるのです。例えば米国がん研究所(National Cancer Institute)はこのように警告しています。

How many people develop lung cancer because of exposure to radon?

National Cancer Instituteサイトより

ラドンでどれだけの人が肺がんになっているの?

この答えは米国ではラドンは喫煙の次に肺がんの原因であり、年間15,000〜22,000人死亡しています。もちろんこれは大量のラドンを長期間に渡って吸い込んだことが大きな要因だと考えられます。普通に使用されている薬が適正量なら効果を病気を治す、しかし、大量なら副作用が出ることは当たり前ですよね。この考え方から発生したのがホルミシス効果なんじゃないかなあ、なんだかニセ医学確定のホメオパシーと似ていますね。

大量の放射線は害があっても、微量の放射線なら健康に良い、との誤認をホルミシスは利用しているホメオパシーの理論とそっくり。

じゃあ、どれだけの量なら肺がんのリスクを高めて、ホルミシス効果を期待して病気治療に役立つのか・・・そんな研究は人体に対して許されるワケがなく、誰も証明できていません。治療するための適正な量が十分に検証されていないホルミシスなんて、危なっかしくて標準治療を上回る治療方法として推奨する人の気がしれません、でもいるんですよ、ホルミシスが健康に良い、病気を治すと主張している医師が!!

念の為にラドン温泉の放射線の量はごくごく微量であり、危険はないことをお伝えしておきます。

■川嶋朗医師、電力中央研究所はホルミシスのデータを商売に使うな、と言っていますよ!!

「医師も認める!! 健康&美容の最新療法 ホルミシスの力 」のP16に

1980年代後半から、日本の電力中央研究所の服部禎男博士らが中心となってラッキー論文の検証を開始。10年以上にわたり実験が行われ、低放射線の人体における有益性が明らかになりました。

と書かれています。この服部博士って一般社団法人ホルミシス臨床研究会理事であり、この本を実質的に書いた団体に人じゃないですか。さらに「『放射能は怖い』のウソ 親子で考える放射能Q&A」(かざひの文庫)という一般書籍も書いています。原発事故に関して非科学的で無用な放射線被害を騒ぎ立てた人々もアレですが・・・。

服部博士がお勤めになっていた電力中央研究所はこんな声明を出しています。

当所の成果を引用して放射線ホルミシス効果を謳った商品の販売を行っている例がありますが、当所とは一切関係ありませんのでご注意下さい。

そりゃそうですよ、ホルミシスがなにがしかの良い影響を与えたとの研究はラットなどの動物に対する研究ですからね!!

電力中央研究所「放射線ホルミシス効果に関する見解」より

さらにサイトでは放射線の影響は多面的ですので、一面的なデータだけで判断してはならないと考えますとも見解で述べています。

川嶋朗医師ってホメオパシーも信奉している方ですから、そもそもアレ系というかあっち方面の世界にズッポリはまり込んでいるわけで・・・。

ほとんどの医師がインチキがん治療と判断している免疫方面のクリニックは錚々たる大物が顧問をしていたり、実際に勤務をしている場合もあります。

今回、ホルミシスの効果を確認したとされている服部博士が立派な経歴をお持ちであったとしても、今回取り上げた一般書籍が有名どころの医師である川嶋朗さんが監修していたとしても、標準治療とはかけ離れたものであることを強く訴えます!!

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