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カルピスさん、乳酸菌で不安感や不眠が解消できるのは本当ですか?

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私と同年代のオッサンはカルピスに対して悪いイメージは持っていないと思います。「カルピスは初恋の味」ってキャッチフレーズ、これ本当に名作だと思うんですよ。

2012年にカルピスがアサヒに買収されてから、変わってしまったようです。親会社が変わったわけですから仕方のないことかもしれませんが。

カルピスのファンなんだけど、ストレスを改善する効果はちょっとねえ⋯

最近のカルピス、乳酸菌への偏愛のためか、乳酸菌がなんとなーく体に良いイメージを植え付けつつ、花粉症にも効果あるんだよねえ的な広告手法に対して、私はちょっとばかり憤りを感じておりました。

乳酸菌が体内に吸収⁉は無いけど、本当に花粉症に効果はあるのか?

乳酸菌が体内に吸収⁉は無いけど、本当に花粉症に効果はあるのか?

春くらいになると花粉症の薬のCMも多くなります。同時に乳酸菌を全面的にアピールした食品やドリンク・お茶が大量に店頭に並びます。乳酸菌とっておけばとりあえず体に良さそうだし花粉症も軽減できそうな気はしてしまいますが、これだけ多くの人が摂取してるはずなのに効いたって話はあまり聞かない気がします。本当に効果あるのでしょうか?

そんなカルピス、飲み物としては好きであることに違いは無いけど、さらにこんなことまで言い出しているではないですかあ(怒)❗

実証!ストレスを原因とする不調や症状をケアする「C-23ガセリ菌」の有効性の研究データ

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「カルピス」由来健康情報室

初めての恋に破れ打ちひしがれ心理状態で、体調を壊した場合もカルピスをゴックンゴックンすれば不安感も不眠も腹痛も治っちゃうの???

カルピスさん、C-23ガセリ菌を服用することによってストレスによる不安や不眠を治してもらおうじゃないか❗

甘酸っぱい初恋に破れ、めっちゃマイナススパイラルに陥っている清く正しく純情に生きている青少年の病をカルピスが絶賛する「C-23ガセリ菌」が本当に治してくれるなら、それはさすがカルピス❗と私は絶賛しますし、清く正しいかは不明の恋煩いに悩んでいる青少年に当院でも「こんな場合はカルピスが一番だよ」とガンガン推奨いたいします。

このカルピスの「C-23ガセリ菌」によるストレスが原因とされる不安・不眠そして腹痛を改善する効果を確認したとされる論文として「D.Sawada et al. :Journal of Functional Foods,31,188-197(2017)」と記載されています。

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この論文を読み込めば、カルピスがイチオシのストレスによる不安や不眠を取り除いてくれるC-23ガセリ菌の実力がわかるはずです。

ありゃありゃ、C-23ガセリ菌の効果ってこれで実証されたことになるの?

この論文のポイントがここに書かれています。

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ここでは「Lactobacillus gasseri CP2305」となっていますが、カルピスが「C-23ガセリ菌」と読んでいるものと同一とします。ハイライトのトップに書かれているのは、C-23ガセリ菌を摂取するとストレス関連症状が改善したということ。これはカルピスのサイトが言っていることと同じ。

次にC-23ガセリ菌を摂取すると唾液中のコルチゾール濃度が低下しました、と書かれています。

客観的なストレスマーカーであるストレスホルモン(唾液中のコルチゾール)の分泌も抑えられることを確認しました。ストレスホルモンは、ストレスがかかった時、多く分泌されます。「C-23ガセリ菌」の継続的な摂取が、ストレスの感じやすさを和らげたと考えられます

このようにカルピスのサイトにあるのと同じことを指しているようです。

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でもさあ、唾液中のコルチゾールを測定するだけでストレスの増減って明確になるの⁉との素朴な疑問が出てきちゃんだよなあ。よく医師も患者さんも病気の原因として「ストレスですかねえ」と言ってしまう傾向があるのですが、ストレスってたった1つの指標で判断できるような簡単なものじゃないんですよ❗

例えばストレスの指標となるものとして以下のようなマーカーが知られています。

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唾液中のコルチゾールを測定するだけで、ストレスが減少したと判断するのは、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAの値がちょっと減少しただけで、前立腺がんが治りました、ってやっちまう一般向け健康雑誌レベルに感じてしまいます。

さらに不安や不眠の判定方法がちょっとねえ⋯

カルピスのC-23ガセリ菌の効果として不安や不眠を改善したことを表すグラフがあります。

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これは徳島大学の医学部の学生24人が対象です。今回の研究では医学部の学生にとって一番ストレスを感じるはずである解剖学の実習をストレッサーとして使用しています。

その結果、C-23ガセリ菌を服用していた学生ほど不安が緩和され不眠も改善されたことにより、ストレスにより生じる不安感、不眠をC-23ガセリ菌は改善することの証明としているようですけど⋯私の数十年前の経験では、解剖の実習に対してストレスを感じる人もいれば、淡々と実習を遂行することによりストレスを感じる暇もない人もいたと記憶しています。

さらに解剖の実習とは関係なく恋に悩んでいたり、将来に対する漠然とした不安を抱えていた医学生も中には混じり込んでいたのではないでしょうか的なツッコミも生じてきちゃいます。そんな場合はカルピスのC-23ガセリ菌を飲まなくたってLINE一発やちょっとした散歩などでストレスなんて吹っ飛んじゃうことも大いに考えられますよねえ。

カルピスがなぜ美味しいだけじゃなくて、なんらかの健康面への影響を広告で打ち出しているのかについての深い理由は不明ですが、ヘンテコなこじつけによって「体にいいのよねえ〜」はお控えいただいた方がよろしいのではないかと、CALPISラブの私は考えてしまうのです。

カルピスの「乳酸菌がストレスを緩和する」広告に大ショック。

カルピスの「乳酸菌がストレスを緩和する」広告に大ショック。

CP2305ガセリ菌が配合された 「ココカラケア」がメンタルをサポートする根拠として自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して脳と腸がお互いに関連しているというのです。お腹が痛くなれば気分が悪くなり、逆に精神的に落ち込むと胃腸の調子が悪くなるといった相関関係にあるというのですが、果たして本当でしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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