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ベーコンは一切れでも大腸がんのリスクが高まる説は本当か??

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ソーセージ・ハム・ベーコンといった加工肉(Processed meat)や赤身の肉はカラダに悪い、特に大腸がんのリスクを高めると言われだしてから大分経ちました。

肉よりも魚を中心とした和食が主だった日本人に大腸がんが増えた理由付けとして、パン・肉といった食生活の変化をこじつけたのか、それとも本当に発がんリスクが高まるのか?気になる方も多いことでしょう。

そもそも加工肉・赤身の肉はカラダによくないのでしょうか?医師が解説します。

赤肉や加工肉が体に良くないのは、半ば常識化されていますが⋯

私は子供の時から熱烈なベーコン愛好者であり、死んだらベーコンを棺の中に入れるとさえ家族に言われています。しかし、近年ベーコンを含む加工肉はどうも健康に良くない、寿命を縮める、癌のリスクが高まる等の話が出回っており、心休まらない日々を送っています。

過度なベーコン愛ゆえにこんなブログを以前書いて多方面から怒られました(一部の熱狂的なベーコン愛好家からは絶賛)。

朗報‼ベーコンを食べると寿命が延びる⁉という説のウソ・ホント

朗報‼ベーコンを食べると寿命が延びる⁉という説のウソ・ホント

ソーセージ・ハム・ベーコンといった加工肉を食べると寿命が短くなるとか癌になりやすいとか言われていますが、ベーコン愛好家には耳の痛い話です。今回ベーコンは実は寿命を延ばす説を取り上げてみます。この説の元となった医学論文を読んでみると面白いことがわかりました。果たして本当にベーコンで寿命は伸びるのでしょうか?

先日こんな記事を見かけてBBCの日本版を運営している責任者に大抗議を行おうかと思っています。

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https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47958146より

ベーコンをたった一切れ食べたくらいで大腸がんのリスクが高まってたまるか❗(涙目)。BBCの英語版ではこのようになっています。

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あのねえ、日本語BBCの係りの人、「A rasher of bacon a day」がなんで「ベーコン1切れでも」になるのよ⁉

BBCのニュースを日本語に訳している人に大クレームをつけようと鼻息バフバフなのですが、今年の私の目標はトラブル回避・無用な敵を作らない、でした。そこでもう一度日本語版および英語版のBBCのベーコン健康に悪い記事をじっくり読み込んでみました。

BBC様、トンデモさんは量の概念に乏しい、が定説です

食品添加物とかに必要以上に反応してしまうトンデモさんの特徴として量の概念に乏しいことが挙げられます。今回英文のベーコンが大腸がんのリスクを高めるとの記事は「大量のベーコン」であり、それなりに納得できないわけではないですが、日本語の記事の「ベーコン一切れでも」にはカチーンと来てしまいます。

ベーコンを一切れしか食べていない人に比べて、3切れを毎日食べていると大腸がんになるリスクが20パーセント高まる、と内容の記事は今までに加工肉が健康に良くないとの多数の医学論文が出ていますので、それなりにリスクが摂取量に比例するするんだろうねえ、と受け止められます。

しかし、BBC日本語版にあるこの文章の裏付けはどこにあるのでしょうか。

キャンサー・リサーチUKによると、イギリスで毎年診断される大腸がん4万1804件のうち5400件は、患者が一切加工肉を食べなければ防げ得たものだという。

英語版ではこのように書かれています。

Cancer Research UK (CRUK) says 5,400 of the 41,804 cases of bowel cancer seen each year in the UK could be prevented if people did not eat processed meat at all.

そこで早速キャンサー・リサーチUKの一次ソースを調べてみました。多分これが元ネタです。

「Bacon, salami and sausages: how does processed meat cause cancer and how much matters?」

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ここではベーコン一切れで大腸がんのリスクが高まることについて、このように書かれています。

The latest study looked at even smaller amounts and found an increased risk starting at just 25 grams of processed meat a day, the equivalent of one rasher of bacon.

1日25グラムの加工肉であっても大腸がんのリスクは高まる、この25グラムの加工肉はベーコン一切れに相当する。だから、ベーコン一切れであっても大腸がんのリスクが増加する、という論法のようです。

加工肉といってもベーコンだけじゃなくて、ソーセージやハムも含まれるじゃん、とベーコン偏愛ゆえに嫌な絡み方をしてしまう私ですが、どうやらやっぱりベーコンは体に悪いっぽいです(涙)。

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ベーコンを含む加工肉の何が原因となって大腸がんのリスクを高めるのか?

ベーコンを偏愛することは大腸がんになる危険を含み健康には良くないことに、やっと納得がいきました。10連休にBBCニュースを日本語に翻訳している係りの人のところに乱入して大恥を書かないで済んだのも、今年の抱負である「敵を作らない、無用なトラブルを回避する」を守ったおかげのようです。

そもそも加工肉が健康に悪いとの話の根拠となっているのは、製造過程で防腐剤として使用される硝酸カリウムや亜硝酸ナトリウム、肉を高温で調理した場合に生ずるアミンなどの影響だとされています。

こんなデータがあります。日本人のベーコン消費量を都道府県別ランキングにしたものです。

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https://region-case.com/rank-h29-bacon/より

ベーコン消費量がトップの千葉県でさえ、1日に食べるベーコンの量は0.1枚にも達していません。英国の研究によると25グラムの加工肉がベーコン1枚分に相当するために、ベーコン一枚でも大腸がんのリスクが上昇するとの話の流れになっています。

たった0.1切れのベーコンで大腸がんのリスクが上昇❗って論文が出るまでは、私はベーコンLOVEを取り消す予定は今のところありません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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