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子供の出血性膀胱炎は安静にすれば治ります⁉この健康情報はかなりマズイです❗

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いやー、参りました。ヘンテコな医学情報はまだまだネット上に多々あることは知っていましたが⋯

オシッコに目で見て血が混じる「肉眼的血尿」を安静にしていれば治ります、と根拠無き指導をしている子育て中のママ向けサイトを発見してしまいました。子供のオシッコに血が混じって、自宅で安静にして待てる親御さんなんているわけがないと思うのですが⋯・

肉眼的血尿を甘く見てはいけません❗

これは泌尿器科医にとって常識です。

かなり経験を積んだ小児科医であっても、慎重に対応するべき病状と考えています。

問題の記事を書いたライターさん(どうみても医療に詳しい人とは思えない)はどのようにお考えなんでしょうか?ちなみにこの健康記事をどなたが書いたのか明記されていません。そんなこんなの問題あんじゃないの、と私が判断した子育て中のママ向けの健康情報サイトの記事はこれ❗

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ベビカム(https://www.babycome.ne.jp/reserve/column/syounika/id-266/)

膀胱炎は男性より女性に多いことは知られていると思うのですが、出血性膀胱炎に関しては子供の場合は男児に多いとの報告があり、健康関連記事のタイトルとしては、なかなか上手いものに仕上がっています。

タイトルが優れていて、読者を多く確保したとしても、健康関連記事なんですからまずは正確さがもとめられるはずです。

今回は子育て中の親御さんやおじいちゃん・おばあちゃん向けにこの危なっかしい記事についての検証を行いますので、小難しい英文の医学論文等は引用しないように気をつけながら解説していきますね。

出血性膀胱炎の原因はアデノウイルスだけじゃないぞ❗

この記事を書いた方は出血性膀胱炎の原因として、アデノウイルスをあげています。尿に血液、それが目に見えるものであった場合、通常の細菌性膀胱炎とウイルスが原因となったものであるかの判別は泌尿器科医でも簡単には見分けられないことも多いです。

さらにこの記事を書いた方はウイルス性の膀胱炎と細菌性の膀胱炎の区別を理解していないようで、急性出血性膀胱炎がアデノウイルスによって起こる特殊な膀胱炎と述べていながら、その後に子供の尿道や尿管は短いので、細菌が入りやすい、と述べています。

ある程度、医学知識や生物の知識がある方はウイルスと細菌は別の微生物であることをご存知でしょうし、ウイルス性の感染症には抗菌剤(抗生物質)は無効であることもご存知だと思います(例えば風邪で抗菌剤が処方されることは、正しい医療ではありません)。

出血性膀胱炎の原因はウイルスと書いておきながら、なんで細菌の話になってんの⁉という感想をプロは抱くでしょうし、尿管が短いと書いておきながら出血性膀胱炎が症状として現れることの多い、膀胱尿管逆流現象 (VUR) についての記載は一切なく、特別な治療は必要なく安静にしているだけで治ります、と治療の項目に記載しています。

さらに肉眼的血尿の原因となる臓器として、腎臓をお忘れではないでしょうか?

腎盂腎炎になっても肉眼的血尿が出て、出血性膀胱炎のようにも見えますし、頻度は低いながらも糸球体腎炎の可能性も医師であれば絶対に忘れてはなりません。

肉眼的血尿を詳しく調べないで、「自宅で安静にしてね!」と伝える医師はいるのかあ⁉

糸球体腎炎は溶連菌感染が原因となって発症する、稀ではあっても無視できない病気です。素人でもわかりやすい症状として、今回私が問題としている肉眼的血尿があります(詳細は日本腎臓学会のガイドライン等をご参照ください→https://www.jsn.or.jp/guideline/kennyou/19.php)。さらに⋯

小児の腎腫瘍として肉眼的血尿があります

これはウィルムス腫瘍と呼ばれ、年間で100人くらいの小児に発生しています(国立がん研究センター 小児の固形悪性腫瘍等による https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/paediatric_malignancies/index.html)。

稀な病気であっても、どうみても普通ではない肉眼的血尿に対して、安静にしていれば治ります、つまり医療機関を受診する必要無いよ、と解釈できるような健康関連記事を書いた人(しつこいけど医療関係者じゃないでしょうし、医学知識が豊富なライターとは思えない)はそれなりに注目を集める妊娠・出産・育児に関する総合情報サイトに掲載されてどのようにお考えなんでしょうか(怒)。

出血を伴う尿路感染症、自宅で放置して治るとの判断はNG

病気になった場合、患者さんとしては症状が治ればそれでOKかもしれませんが、医師にとって求められる真っ当な業務は治療もそうなんですが、まずは鑑別診断です。つまり原因となっている、症状を引き起こしている病気を判別することです。

私が問題としている記事では、尿路感染症と総称することもあります、とあっさり流していますが、例えば慶應義塾大学病院の医療・健康情報サイトの「小児の腎臓の病気」では、小児の尿路感染症に関しても次のように書かれてます。

きちんと診断し治療することが大切です。小児の尿路感染症では以下の先天性腎尿路異常(膀胱尿管逆流など)を伴うことが多いのでその検査も必要です。

http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000084.html

誰がみても明らかな異常所見である肉眼的血尿は放置してはダメ❗

そんな肉眼的血尿、それも小児の肉眼的血尿に対して、重症感があるだろうけど、特別な治療は必要ありません、と言い切る妊娠・出産・育児に関する総合情報サイトのふてぶてしさ、今後も注意深く見守ります。

おまけ

数日前にトイレでスマートニュースだったかを見ていて発見しました。ブログを書き終わって、運営管理している会社を確認したら⋯アンタッチャブル、関わりたくない会社の代表格、アブナイ、アブナイ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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