五本木クリニック院長ブログ

患者さんがトンデモ健康法の信者だった場合、医師の対応策は「まずは敵を知ろう!」だよ。!


頭ごなしに否定しても解決しないトンデモ医学問題

日常の診療で遭遇することは少なくても、相手にしてしまうとかなりやっかいな患者さんがニセ医学の影響を受けてしまっている場合。

多くの医師はトンデモさんたちのネットワークの実態を知らないでしょうし、トンデモさんはもっとらし科学用語を連発してきます。

さらに

トンデモさんの理論は合せ技の場合が多い

ということを知らないといけません。

例えばホメオパシーの理論を知っていて、どう見ても効果なんて期待できないことを数学的というか算数的、化学的というか理科的に説明しても、次々と反論されることがあります。

私の友達はホメオパシーで病気が治った!!

などと言い返されたら、その友達をここに連れてきて、と提案することもできないので、「それはあくまで個人的な体験であり、n=1の症例に過ぎないよ」と伝えてもまずご理解いただけないと思います。そうなると統計学をもちだすことなってしまうと、それはそれは地獄絵図になることは火を見るより明らか。

数種類のトンデモ医学、まあニセ医学に関する知見を医師があったとしてもトンデモさんのニセ医学に関する知識量を上回ることは少ないのでは無いでしょうか?

例えば先日こんなツイートがありました。

https://twitter.com/kuwamitsuosamu/status/1159452294414393344より

自然派を拗らせた危なっかしい体に良さそうな手作り発酵食品に関する余計なお世話をしている、たぶん純粋かつ親切な方のツイートです。

ここで、「マクロビや鍼の考え方で時計回りだとエネルギーが入りやすい」と書かれています。なんで時計回りだとエネルギーが入りやすい、との理論背景(?)を知っている医師はかなり少ないはずです。

左回り健康法則を知ってるかい?

このツイートをした方が時計回りの方がエネルギーが入りやすい説の一次ソースをご存知ではなさそうなことはツイートから読み取れます。実はもともとトンデモ業界に存在していたは

人間の細胞は右回りのエネルギーを持っている

とのぶっ飛び基本理論です。このトンデモ理論に関しては、若い人はしらないだろうけど一世を風靡した矢追純一氏の著作「カラスの死骸はなぜ見当たらないのか」をお読みください。自分の経験則で何事も判断してしまう、非科学的思考のトンデモ一次ソースさんの実態が理解できます。

この右回りエネルギーに対する反論的な、つまり左回り健康法もあります。

ここで賢明なる読者の方々は当然こんな疑問が湧いてくるはずです。

右回りにしろ、左回りにしろどっちの方向から見ている場合なんだよ???

ってことを。この左回り、あるいは右回りが生命エネルギーをどうこうして、さらに宇宙のエネルギーと波動が共鳴して・・・こんな話を信じ込んでしまう人が令和のご時世にも多数存在しているのです。

右回り、あるいは左回り健康法とは?

ツイートで「昭和の時代に左回り健康法というものがあった」と私は述べちゃいましたが、ここで謝罪させていただくとともに訂正します。「からだの神秘・難問に答える『左回り健康法則』地球のリズムに真理があった!」が出版されたのは1992年、つまり平成のことでした。

矢追純一氏の著作がいつも家族から、「いい加減に整理しなさいよ!!」と言われ続けている本棚から見つからないので、すぐに発見できた左回り系の健康法の要旨をお伝えします(まあ、右でも左でもどっちから見てよ?なんだけど)。

・宇宙は180億年前から左回りを続けている→あの~、ビッグバンって134億年前くらいじゃなかったっけ?

・台風は左回り→南半球で発生するサイクロンは右回りなんだけどなあ・・・。

・ピラミッドの階段は左回り→どのピラミッドのことか具体的な表記なし。

とのツッコミどころ満載の内容となっています。

著者たちが大発見したと大喜びしながら記述したことが予想できる医学的なものとして、

DNAは左回りであり、二重らせんではなくて、なんと3重らせん構造である!!

ってのもあります。

基本的な常識的な知識があれば、右回りであろうと左回りであろうと、健康にはな~んも影響しないことが著者たちの理系知識のなさから判定可能なんですけどねえ。  

医師の方へ:トンデモ医学の影響下にある患者さんに遭遇した場合、頭ごなしに否定するのは悪手。まずはどんな情報源から間違った治療方法を得ているのかを尋ねてみて、可能な限り一次ソースを手に入れてご自分の目で確認してみてください。

からまった糸を解きほぐすように、一次ソースのヘンテコリンなところを指摘しながら、患者さんが少しでも、「やっぱりこれは変だなあ」と気がついてくれたら、一歩進んだとお考えください。

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