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人はどれだけ権威に弱いか。白衣・医師・大学教授、最上位は米国の大学教授かな?

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人は権威に弱い生き物です。

白衣を着ている人を見ると医師、あるいは医療関係者だと思いこんでしまいます。

心理学用語で「ハロー効果」と呼ばれる現象を巧みに利用した悪質なネット広告が目立つようになっています。なかには実在の医師の名前を使用しておきながら、写真は全く赤の他人というレベルの低いフェイク広告さえあるのです。

サプリを購入する時に気をつける点をお伝えします。

人は権威に弱いもの、それを利用した手のこんだ広告があります

人は権威に弱いものである、その考え方をしっかと取り入れて広告手法に利用していのが、医療系の広告です。一般の方に馴染み深い健康関連グッズといえば、なんて言っても健康食品(サプリメント)ではないでしょうか?最近では機能性化粧品と呼ばれる化粧品も多くの会社から販売されており、それらを売るために方法として権威が利用されています。

サプリメントや化粧品の効果効能を広告で訴求することは、法律によってかなり厳しく規制されているために、

近年見られる怪しい手法としては「学会誌に掲載されました」「学会で発表されました」「医学誌に掲載」なんてのがあります。

なかには信頼度を高めるためか、大学との共同開発を売りにしたサプリメントもあります。日常の診療の多忙さによって、ネットのくだらない記事なんて読まない医師も多いでしょうし、広告まで丹念に読み込む暇な医師はまれだと思います(私だって暇じゃないんだけでね)。

数年前、3つの大きな大学病院の集まりで、ネットの医学情報に関しての講演を行なったことがありますが、医師のネットリテラシーの低さに驚きました。Facebookは半数以上の医師が知っていても(利用しているのはその半分)、Twitterに関しては、「Twitterって何ですか?」と講演中に質問されるはめに。

医師の場合、学会誌や医学系専門書籍を読むのが精一杯でネットの一般向け健康情報に触れる時間は確保できない人が多いことが伺われました。

私は朝のトイレタイムにSmartNews(世の中で話題になっている様々なメディアの記事を羅列しているニュースアプリ)で、いい加減な医学記事がないか、トンデモ系医師が一般書籍を出していないか、などをチェックしてます。もちろんためになる医学情報や一般の人がどのように健康情報を得ているかを知るためにも1日に一回は目を通します。

このSmartNewsに掲載されている広告を例にして、一般人はどれだけ権威に弱いのかをお伝えしますね。

医師が推薦しているダイエットサプリだから、信頼できるし効果も期待できる?

食べても食べても太ることができない、というような表現をとったダイエットサプリがあります。

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https://el-far.com/bisera_6/より

通常ダイエットといえば、頭に思うかぶのは食事制限。この食事制限がキツイためにダイエットに挑戦するも、継続できないでダイエット失敗という人が多いようです。

そこでこのダイエットサプリは好きなだけ食べてもダイエット、つまり体重を落とすことができますよ、と優しくおいでおいでしてくれています。

医師が推奨するサプリなんだから間違いない、は多分間違い

このダイエットサプリは医師が推奨する、ということが大事な大事なセールストークのようです。実際にこのような形で医師が顔写真入りで登場しています。

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医学的にも医師が推奨している方法だったのです、って書かれてますが、この文章かなり変ですね。医師が推奨している方法ならわかります。医学的に推奨している方法でもわかります。医学的に効果があると医師が推奨している、ってことを言いたかったのかなあ。

さらに肩書きに「院長」とあります。普通、私の場合は「五本木クリニック院長」との肩書きがつきますが、所属病院の名称をすっ飛ばした「院長」も肩書きになるんでしょうね。個人的にはトンデモ医学の分子栄養学に魅了されてしまいます笑。

白衣を着用した、綺麗な女医さん、それもどっかの院長が医学的に推奨しているダイエット方法なのですから、信じちゃう人は信じてしまいます。

白衣を着た医師が推奨するから間違いない、と感じちゃう人が多いのでしょうね。

医師は何かを推奨する場合は慎重にお願いしますね、一般の人が推奨するより信頼度が高くなりますから。

腸内フローラの権威、ジェフリー・ゴードン博士は実在の人物ですけど、この画像の人は赤の他人❗

腸内細菌が肥満に関連していることの研究は世界中で行われているのは事実です。デブ菌とかヤセ菌とか勝手に名前をつけて、デブ菌が多いと太りやすくヤセにくい、なんて感じの理論(?)を訴えている医療関係者もいます。

ここで腸内細菌(腸内フローラ)の権威であるワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士が登場します。

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白衣を着用したちょっと男前の研究者ジェフリー・ゴードン博士⋯この方って誰⁉

慶應大学が慶應医学賞という名誉ある賞を国内外から活躍が期待できる研究者に贈っています。2015年には米国ワシントン大学のゲノムサイエンス&システム生物学センターのジェフリーI.ゴードン教授にこの賞は送られています。

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慶應義塾サイトより(https://www.keio.ac.jp/ja/news/2015/osa3qr0000018ni7.html)。

白衣を着用したサプリ会社のジェフリー・ゴードン博士⋯この方って誰⁉

サプリ会社のジェフリー・ゴードン教授と慶應大学が賞を贈ったジェフリー・ゴードン教授が同一人物には見えません。サプリ会社がズルをしているのか、はたまた慶應大学がズルをしているのか?Washington大学のサイトをのぞいて見ると、ジェフリー・ゴードン教授はこの方だけ。

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https://medicine.wustl.edu/news/gordon-receives-luminary-award/より

そういえば海外の医師の動画に勝手に日本語のテロップをくっつけたインチキ広告があり、NHKでその件が取り上げられました。

医師がオススメするダイエットサプリ?こんなインチキ広告に騙されてはダメ❗

医師がオススメするダイエットサプリ?こんなインチキ広告に騙されてはダメ❗

健康に関係する商品には怪しいものが多く、必然的にその広告も怪しいもので溢れかえっています。ビフォーアフター画像は加工された画像であったり、複数の違う商品で使い回されることもしばしば。誰か知らなないけど偉い人が監修しているっぽいアレも・・・というお話です。

一般の医師より大学教授、それも米国の教授を持ち出してくると権威が高まるようです。

この広告手法によってサプリの信頼度が上がると判断したのですね、多分。

まさか私のようにジェフリー・ゴードン教授が本物かをチェックするうざい奴がいるとは予想しなかったのでしょうね(この教授は腸内細菌等についてネット検索すると必ず出てくるお名前です。もろ教授に写真を掲載して推奨しているかのように書かれた広告も見た記憶があります)。

一般消費者は医者の言うことに信頼を寄せます、さらに大学教授だと信頼度は数段階アップしますし、それが海外の特に米国や英国の教授が主張するご意見は疑うことなく信頼してしまう、つまり権威に弱く、それをうまくセールスに利用しているのがサプリ業界でありダイエット業界なのです。

私はこのダイエットサプリは効果がないよ、と言っているわけでない点にご注意ください

権威をうまく利用した広告手法について私は意見というか感想を述べているわけではないないことにご注意ください。この広告には成功例と思われるビフォーアフターの写真が多数掲載されています。

成功例がインチキ画像とはいいませんが、成功した人がいたとしてもあくまで n=1 の症例報告レベルであり、医学的なエビデンスレベルとしてはかなり低いものになります。

そういえば成功例の写真を使い回したダイエット関連広告がありました。

体験談「個人の感想です」が規制される理由、さすがにこれはマズイでしょ❗

体験談「個人の感想です」が規制される理由、さすがにこれはマズイでしょ❗

広告は『不当景品類及び不当表示防止法』という法律の下で規制があり、例外や制約などの条件がある場合は消費者に誤解を与えないように打消し表示が必要になります。それが、みなさんが1日に何回も目にしているであろう個人の感想です、です。健康食品や医療広告における個人の感想問題を医師が解説します。

成功例画像を多数の施設が自分のと頃の症例として使用したのです。

酪酸菌を食べればヤセ菌である善玉菌が増えるのか、これについては甚だ疑問があります。さらに短鎖脂肪酸が即効で脂肪を分解するのかも疑問があります(どこの脂肪を分解するんだ?)。さらに薬には適応量があり、二倍服用したからと二倍効果があるわけではありません。このサプリはなんと善玉菌を1兆個配合しているそうで(どうやって数を数えたんだ?)、それゆえに他のダイエットサプリと比較して圧倒的に効果を実感した人が増えたそーです。

手のサプリはなんでいつも、「大好評につき在庫があとわずか」なんだろう?

この手のサプリにお約束的な常套句があります。大好評につき在庫が非常に少ない、お申し込みはお早めに❗ってやつです。何種類かのサプリのこの常套句を定点観測したことがあるのですが、常に大好評につきお早めに状態です。中には在庫はあと何個です❗なんて表示が現れる大変親切な広告もあります。

医師の方、患者さんがサプリ等に関して多くはネット広告を参考にして購入していて、さらにどう見てもインチキ臭い権威を利用している手法が珍しくありません。

医師が、「そのサプリじゃあ効果ないんじゃないの?」なんて質問しようものなら、こんな反撃を食うことは火を見るよりも明らかです。「アメリカの大学病院の教授が推奨しているのを先生知らないの、キーッ」。

推奨しているは日本の開業医、米国の大学教授はただメカニズムを説明しているだけなんだけどなあ⋯ニセモノだけど。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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