五本木クリニック院長ブログ

「遠赤外線効果」とか「マイナスイオン」とか、医学部名誉教授が言っちゃうのはどうなの!!??


名誉教授だから言っていることが正しくて、下々は反論できないワケではありません

教授であろうと、名誉教授であろうと変なことを言い出してしまうようです。先日こんな記事を目にしました。


日刊ゲンダイヘルスケア(https://hc.nikkan-gendai.com/articles/260740より)

岩盤浴の効果として糖尿病を改善するとのこと。まあ、それはそれなりの効果があったとしても、取材に応じた名誉教授の解説がどうみてもトンデモなのです。

この名誉教授は血糖値が下がり糖尿病が改善したのは

岩盤浴の遠赤外線効果とマイナスイオン効果が特に大きい

と述べています。

遠赤外線効果およびマイナスイオン効果というトンデモ医学というか疑似科学とも考えられているものが糖尿病改善の理由だと、「特に」を付けて説明しています。

一般の人が医師の世界って白い巨塔的にとらえている人が多いことは、日常の診療に際して医師はしばしば感じるのではないでしょうか?

「先生、手術するなら教授にお願いしたいのですけど」なんてリクエストも無くはありません。教授より上の階級として「名誉教授」があるように思っている人もいます。名誉教授は定年退官した教授に与えられる称号であり、言葉の通りに名誉だけあって実利は少ないことも多いようです。特別な講座があればそれなりの報酬はいただけるようですが、教授時代のように定収入として月給はありませんので、金銭的メリットは無いことが多いのです。

権威ある名誉教授の発言を真に受けてはいけないその理由はこれ!!

先日から私は多くの人は権威に弱いことをお伝えしています。お前ごとき町医者が教授や名誉教授のおっしゃることに逆らっていいのか的なご意見もあるでしょうけど、いまはそんな時代ではありません。

いくら偉い人でも間違ったりへんてこなことを言ったら、それを指摘することは学問の世界では許されると私は判断しています。

まず、遠赤外線および遠赤外線効果について説明しますね。

赤外線であろうと、遠赤外線であろうと電磁波の仲間です。波長によって赤外線と呼ばれ波長は0.7μmから1000μm、その赤外線の範囲内である15-1,000µmの波長にあるものが一般的に遠赤外線と呼ばれています。

大前提として

全ての物質は遠赤外線を放射しています!!

なにも岩盤浴だから遠赤外線が出ているわけではないのです。

さらに

遠赤外線は物質によって違いがあるわけではありません

これらは高校の物理の教科書や参考書で確認できます。例えば私の手元にある物理の参考書「チャート式シリーズ新物理」の414ページには

熱放射の電磁波は、主として物体内の電子の熱運動によって放出される。よって電磁波の波長(振動数)の分布は物体の温度によって定まり、物体の種類にはよらない

と書かれています。

物体が光や赤外線等の電磁波を放射する現象が熱放射なんですから、別に岩盤浴じゃなくたって、熱を帯びているものであれば必ず遠赤外線が放出されているのです。

まっとうな科学者がマイナスイオンを口にするとは・・・

遠赤外線および遠赤外線効果については大間違いというよりは、一般の人に伝えやすいように前述のようなことをおっしゃったとも解釈できます。

しかーし、どう見ても

マイナスイオン効果で糖尿病が改善はいただけません!!

この発言は医師であっても科学者なのですから、ありえない発言と認定しても問題ないのではないでしょうか?

マイナスイオンに関しては、「Air ions and respiratory function outcomes: a comprehensive review.」(PMID:24016271)と言う有名な論文があります。この研究は多数のマイナスイオンが身体に及ぼす影響を調べた論文を調べたメタ分析と呼ばれる手法が使われた信頼度のかなり高いものです。

結論はマイナスイオンは人体になんの影響も与えない

でした。名誉教授ともあろうものが、なんでマイナスイオンの効果によって糖尿病が改善した、なんて説明をしてしまったのでしょうか?

なぜ岩盤浴の効果・効能を強く主張されるのか?

岩盤浴で糖尿病が改善されるとの内容です。媒体は日刊ゲンダイですから、読者層はドンピシャのオッサン。オッサンとしてはサウナは好きでも、岩盤浴となるとなんとなーくおしゃれな感じがして、女性が美肌のためにデトックス(笑)目的で利用するイメージがあります。

そんなおしゃれな岩盤浴をオッサンにも利用してもらう明目として、糖尿病改善は非常に優れたアプローチだと感心しました。

岡山大学は岡山大発ベンチャーがあるほど単なる研究機関ではすませないぞ、との意気込みがある先進的な大学です。私も一時期岡山大学のベンチャーに非常に関心を寄せて、なんども担当者の方から説明を受けたことがありました。

岩盤浴を研究されている名誉教授の教室のサイトを拝見して、ちょっくら驚きました。こんなサイトにリンクが貼られているのです。名誉教授の研究室のサイトの横にこんなボタンが・・・。

この「岩盤浴」をクリックすると・・・ジャジャーン!!


https://www.salasala-k.com/より

こんなどう見てもどっかのトンデモ系のエステの広告(絶句)。たぶん、この名誉教授の教え子さんでも関わっているビジネスなんだろうと大人の解釈をしざるえないです。

他にもちょっと厄介そうな企業とコラボしているようですが、温厚かつ大らかな性格ゆえに相談を持ちかけられると、「いいよ、いいよ」と対応してしまう方なんだと信じたいです。

ご自身の研究成果を教授職を退官されたあとで、直接ユーザーに還元するとの行為は否定されることはありませんし、本当に役立つものであれば企業とタッグを組むなり、ご自身でベンチャーを立ち上げるのもこれからの大学では必要であり求められるものだと思います。

しかし、自分の研究可愛さに、「遠赤外線効果」とか「マイナスイオン効果」とかを効果効能の説明として使用するのはちょっとマズイのではないでしょうか?立派な経歴のある方なのですから、取材した日刊ゲンダイの記者さんが本質を理解しないで、名誉教授の発言をアレンジしてしまった記事であったことを願っています。

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