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なぜ皮膚科と泌尿器科は一緒になっていることが多いの?

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当院もそうですが、皮膚科・泌尿器科が一緒になっているクリニックがなぜ多いのか?この説明に困ることが実際多いのです。誤解を含んだ解釈がネット上に氾濫していますので、ここでシッカリと解説します。

性病つながり⋯間違いです❗

効果的な抗生物質が登場するまでは性病、特に梅毒が世界的に流行していました。梅毒は性病ですが、症状が泌尿器だけでなく皮膚にも出ます。だから皮膚・泌尿器科という科目が出来ました。⋯間違いです❗

正解を説明するには、明治時代に医学をドイツまで学びに行っていた時まで話はさかのぼります。

明治時代の中ごろに外科の一分野として皮膚病学の講座が設けられました。そこの教授になった土肥先生の勉強熱心さが、この混乱を招いた原因です。

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土肥慶蔵先生の銅像です。

土肥先生は外科の一分野として皮膚科を学ぶために留学した時に泌尿器科にも関心をもち(理由は不明ですが、明治時代の人はエネルギッシュに海外の知識を学んだので当然かもしれません)勉強をして帰国しました。

独自に西欧に留学して泌尿器を学んだ在野の医師が中心になって、日本泌尿器科学(私も所属しています)が発足したのは、明治45年になってからです。

皮膚科に所属していた土肥先生が同時に泌尿器科も担当することになったのです。大正時代の終わりにやっと泌尿器科は単独の講座として独り立ちしました。でも、まだ泌尿器科と皮膚科は教室を一緒に同居していました。

昭和20年になってやっとスタッフも泌尿器専属となり、物理的に診察室・病棟も分かれたのです。ちなみに私学の雄、慶応大学で皮膚泌尿器科学が泌尿器科が独立したのは昭和38年です。

実は私も間違っていました

これは当院の外観ですが、泌尿器・内科・皮膚科と並んで表示しています。

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私の祖父は皮膚科・泌尿器科を標榜する開業医でした。大正8年に医師免許を取得後、神田の和泉橋病院 (今の三井記念病院)皮膚科で研究後開業しました(医籍総覧による)。医院の看板は皮膚科・泌尿器科・花柳病科(性病のことをこんな情緒ある名前で呼んでいたのです)となっていた記憶があります。当然祖父が開業していた時代は自動的に皮膚泌尿器科と看板を掲げることになります。

私自身が医師になり先輩泌尿器医にどうして皮膚科と泌尿器科を一緒に開業している先生が多いのか尋ねた時の先輩の回答も性病繋がりの説明でした。私が土肥先生によって皮膚科・泌尿器科繋がりの真実を知ったのはその後、当院の医師が東京大学の泌尿器科に所属している関係もあって、東大の泌尿器科の歴史について書かれた文献を見たことによります。多分東大系の泌尿器科医以外は本当の理由を知らないかもしれませんね。こんど若い先生に質問してみようと思います。

泌尿器科医を目指して両親に泣かれた後輩

大学の医局は常にスタッフ不足に悩ませられる状態の為、使えそうな後輩には学生時代から自分の医局に入るための誘いの声をかけます。特に泌尿器科は一般の外科から見るとマイナーな科目とされており、人員確保に躍起になります。私が優秀で気が利く後輩にぜひ泌尿器科に入局するように誘いかけ、泌尿器科の今後の発展性、重要性を話しつつ飲みに誘ったりしてその気にさせることに成功しました。

その後輩がいよいよ国家試験に合格し研修医として泌尿器科に顔を出したとたん「先輩すいません!親に泣かれて外科に入局することにしました」と言われたのです。理由を聞くと「せっかく医師になったのに、なんで泌尿器なんて性病を診るような医者になるの⋯」涙を流しながら説得されたそうです。今では女性医師も増えてきた泌尿器科ですが、つい20年前はこんな時代だったのです。

東京大学泌尿器科教室のHPを参照させていただきました。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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