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乳がんは性ホルモンと関連しているが、男性ホルモンが多くても発症リスクが増加⁉

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日本の女性が乳がんを発病する率は欧米と比べて少ないのですが、年々増加しているがんであることは間違いありません。

乳がんの発症率は日本では18人に1人とされています

数字で見る乳がん–TBSピンクリボンプロジェクト

ピンクリボンプロジェクトからお借りしました

残念ながら乳がんを発症する方は日本では増加傾向にありますが、啓蒙活動や手術方法の改良や治療薬の開発により亡くなってしまう方の上昇曲線を鈍らせることができています。

性ホルモンの量で乳がんのリスク・発症率が20%から30%増加

若い女性で性ホルモンが多いと発がんリスクが高まるという驚きの論文がでました

以前から閉経後の女性においては性ホルモンの血液中の濃度と乳がんの発症のリスクが関連しているとの論文が多数出されていました。性ホルモンが乳がんの発生に関連しているのは間違いの無い事実ですが、男性で言えば前立腺がんが男性ホルモンに関連しているのは否定できない事実なのに発症に対してどのような影響を及ぼしているのは残念ながら現時点でははっきり解明さていないこととよく似ています。年を取れば取るほど発症率が高まるのがどのようながんでも一般的ですので、ご自身でも気をつける方が増えていくために早期発見も可能になって、乳がんの治療成績の改善が年々高まっています。一方で乳がんになる方の20%は閉経前に診断されることを考え合わせると、若い年齢の女性もがんの早期発見のために、乳がんも意識していただく必要があります。

今回の論文はLancet Oncology (2013;14:1009-1019) に発表されたオックスフォード大学の疫学の研究者の論文です。性ホルモンが多いと乳がん発生リスクが高まるという結論でした。この性ホルモンにはエストラジオール・エストロン・エストラジオール等だけでなく男性ホルモンとしてしられているテストステロンも関連していました。

今回の方法は50歳未満の閉経前の女性を対象として、乳がんと診断される前の性ホルモンの濃度のデータを収集して回帰分析という方法で検討しました。結果として性ホルモンの濃度が高まれば高まるほど1.08から最高で1.30倍乳がんになってしまう、つまり発症率が大きくなっていたのです。しかし、プロゲステロンと乳がんのリスクは相関関係が認められませんでした。

Sex_hormones_and_risk_of_breast_cancer_in_premenopausal_women__a_collaborative_reanalysis_of_individual_participant_data_from_seven_prospective_studies___The_Lancet_Oncology

しかし、女性のホルモンは月経の周期にかなり左右されるものですから、閉経後のホルモンと乳がんリスクとの関係の様に事前に乳がんになるリスクを判定することは月経前の女性には適さないような気がします。乳がん発症のリスクが高い遺伝子は女優のアンジェリーナ・ジョリーの件で一躍有名になりました。男性の前立腺がんでも発症リスクを高める遺伝子が存在していることがわかっています。しかし、それ以外のどのような因子ががん発症リスクを高めるか?ということは乳がんでもはっきりしていませんので、今回の研究が解明への第一歩になることは間違いありません。

Sex_hormones_and_risk_of_breast_cancer_in_premenopausal_women__a_collaborative_reanalysis_of_individual_participant_data_from_seven_prospective_studies

乳がん検診頼りでなく、初期症状を自分でチェックすることが重要

乳がんの初期の症状はしこりで気付きます

いきなり痛みがでることはあまりありません。鏡で見た時や、お風呂で体を洗っているときに「おやっ、いつもと違うぞ」と感じるのが初期症状だとお考えください。しこりだけでなく陥没している部分があったり、左右差も初期症状とされています。できれば後述する「乳がんのセルフチェック」を参考にして閉経後の人は月に一回、閉経前の方は生理後一週間くらい経ってから定期日を決めて行うと良いでしょう。

乳がんの検診は自分で気付かないものを見つけるのが目的

乳がんの早期発見のために自治体が積極的に検診を行っている地域もあります。目的はご自分で気づかない、セルフチェックでわからない早期の乳がんを見つけるためのものですので、マンモグラフィーを使用した検査が推奨されています。このマンモグラフィーは読み取るのに熟練が必要なために過剰診断が問題になった時期もありましたが、現在ではその面もかなり改善されています。またマンモグラフィーは日本人の乳房には合わなく、非常に痛みが伴うなんてことが噂された時代もありますが、小さい乳房でも問題なく検査ができるようになっています(男性の乳がんだって発見できるくらいですから)ので、ご安心ください。

簡単にできる乳がんのセルフチェックを是非行いましょう

乳がんってご自分で「しこりがある」といって医療機関を受診される方が多い病気です。ということはセルフチェックで早期発見が期待できる病気でもあります(残念ながら男性特有の前立腺がんはセルフチェックはまず不可能ながん疾患です)。ポイントとしては生理前後は乳房が張り気味で敏感になっていて適していません。しこりがあっても即、乳がんではありませんので、「がんだったら嫌だな。」なんて思わないでなるべく早く医療機関に相談することをお薦めします。

乳がんセルフチェック・検診_-_ピンクリボン運動___コニカミノルタ
http://www.konicaminolta.jp/pinkribbon/check/より

乳がん手術後の乳房再建手術も保健適応になりました

乳がんの手術で乳房を失うということは男性からは想像もつかないくらい女性にとっては深刻な問題でした。失った乳房を再建する手術は今まで健康保険が使用できませんでしたが、2013年から健康保険を使って乳房再建手術ができるようになったのは喜ばしいことです。まだ、100%患者さんサイドに立った運営ではないので、これからさらに患者さんのニーズと実情にあった制度に改善していくことができると良いですね。

最近、ブログに力が入りすぎて長文にはなるわ、画像は少ないわで「読みにくい!」とのご指摘を受けましたので、今回はなるべくスッキリした文章にして、画像も入れ込んでみました。いかがでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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