五本木クリニック院長ブログ

ニキビ治療の決め手はBPO(過酸化ベンゾイル)の併用療法なんですけど、日本では未承認


■過酸化ベンゾイルの有無がポイント

これは割とニキビに悩まされた方には有名な話ですが、世界的に売れているニキビの市販薬というか通販がメインのあの「効果が感じられなければ使用後でも返品可」のあの製品って実は日本のものとアメリカのものは成分に大きな違いがあります。米国製には含まれていて、日本製には含まれていないものが「過酸化ベンゾイル」という化学物質です。現時点では「ニキビの特効薬」とされている処方薬(医師の処方箋が必要)も海外と比べればかなり遅い承認でした。
過酸化ベンゾイルもニキビには効果が高いのですが、なぜ市販薬は当然の事、処方薬としても厚生労働省は承認をしないのでしょうか?ニキビごときにお国の大事な医療費を使えるか、なんて考えはもちろのお持ちではないと思いますが・・・。だってニキビに悩んだ若者の30パーセント以上は自殺を考えた事があるってデータも海外にはあるのですから。このポイントである過酸化ベンゾイルが結構くせ者なんです。

■過酸化ベンゾイルの濃度に秘密があります

この過酸化ベンゾイルですが、英語ではbenzoyl peroxideと呼ばれ略してBPOと書かれている場合が多いようです。しかし、この物質は発火し易いために日本では消防法によって第5類自己反応性物質、第1種自己反応性物質なんてものに指定されて危険物扱いになっています。酸化力が強いことを利用してニキビの治療に海外では使用されていますが、一定濃度でないと効果は期待できないようです。

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海外で販売されているBPO入りの市販薬は濃度は2.5%のものが中心です。日本ではこの過酸化ベンゾイルの変わりにサリチル酸、グリコール酸 、ビタミンA 、ビタミンCが含まれていますので、名前は同じでもニキビを治す成分は全く違っているのです。

さらに組み合わせるとこんなに効果が
このBPOと日本で現在特効薬とされているアパダレイン(製品名ディフェリン)を組み合わせるとこんなに効果があるのです。しかし、現時点で日本では特効薬とされているディフェリンも使用上の注意や使い方を医師でさえ間違っている現状では、なれない医師がBPOを使用することはトラブルの原因になりかねません。
www.amjorthopedics.com_fileadmin_qhi_archive_ArticlePDF_CT_084020110.pdf
A North American Study of Adapalene–Benzoyl Peroxide Combination Gel in the Treatment of Acneより

 

■BPOの採用にやっと皮膚科学会が立ち上がった

カネボウ白班事件等でかなり皮膚科学会に不満を持っていた私ですが、その一部会である日本美容皮膚科学会での虎ノ門病院皮膚科の林部長の勇気ある発言には十分納得したのです。その主旨は
・日本・海外でもニキビの治療は外用レチノイドと抗菌作用のある薬の併用が第一選択
・症状が強い時は早期から抗菌薬を服用
・海外ではレチノイドとBPOを組み合わせた治療が高く評価されている(私が上に示した論文等のことをおっしゃっているんです)
とのことで当院の治療方向性と全く違いはありませんでした。また、皮膚科学会としても過酸化ベンゾイル(BPO)の早期承認を求めて要望書を提出したとの事でした(パチパチ)。

 

■でも承認されるまで使用は待ってください、と学会は言っていますが

過酸化ベンゾイル入りの化粧品を個人輸入で使用している方もいますが、それによって健康被害が出てしまった場合、慎重の上にも慎重である厚生労働省がこの非常にニキビに有効である成分を承認しなくなってしまう可能性があります。現在臨床試験が実施されているBPOですので、承認されるまで待ってくださいとのことですが・・・。ニキビに悩んでいる方に「いい薬がでますので、それまで待ってください」とは言いにくいんですが、どうすればいいんでしょうか?
また嫌みになってしまいますが、厚生労働省がしっかりと承認したロドデノール入り化粧品があんな結果を招いているんで、厚生労働省がリスキーな過酸化ベンゾイルを速やかにOKするとは思えないし、即OKを出したら結構怖いです。というのも「米国製ニキビケア化粧品に含まれる過酸化ベンゾイルによる接触皮膚炎の1例」という報告が第21回日本アレルギー学会春季臨床大会で発表されております。

追記 2015年4月から 過酸化ベンゾイル(BPO)を主成分とした「ベピオゲル」が保険治療で使うことができます。関連エントリー 【朗報】ニキビ治療の新薬「ベピオゲル」保険適用、「BPO 過酸化ベンゾイル」が主成分、世界標準のにきび治療が可能に!!をご参照ください。

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