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タバコ規制の結果が出たようですが⋯寿命を20年延ばした⁉

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米国でタバコの有害性が訴えられ国を挙げての規制が行なわれて50年が経過しました。

1964年から行なわれたタバコ規制の50年目の結果

米国民にこの規制が健康面で利益を供与したのかの判定(?)が行なわれ、「平均寿命を20年延ばした!」と一部で報道されていますが本当でしょうか?少し疑ってこの報告を見てみました。

タバコの規制効果はあくまで推定のデータでした

今回の調査方法はもしもタバコを規制しなかった場合と規制した現在において寿命にどのような変化が起こるかを中心に統計学的処理をした、あくまで推定データです⋯この当たりが愛煙家に突っ込まれる要素を多大に含んだ調査でもあります。

結論としては

  • 1964~2012年における喫煙関連死亡数は1,770万人と推定
  • タバコ規制が実施されなかったとした場合の死亡数よりも800万人少なかった

ここまでは良いとして、タバコ規制により救済された総生存年数は1億5,700万年よって平均19.6年、つまり20年寿命が延びたという結果から、マスコミ等が「タバコ規制で寿命が20年も延びたぞ❗」と大騒ぎしているのです。

でもこれは変ですよ。1950年代のアメリカ人の平均寿命は68歳程度とされています。一方2011年の平均寿命は78歳です。10歳しか変化していないじゃん❗というツッコミが当然でてくるはずです。平均寿命って言うのは現時点で生まれた人が何歳まで生存できるかと言うことを予測するデータなので、違いが出てくることは当然ですが一般の方には非常に分かりにくいものになっています。

こちらのデータの方が分かりやすいと思います

  • 40歳時の平均余命は男性が7.8年
  • 女性は5.4年延長そのうち男性は2.3年
  • 女性は1.6年(29%)がタバコ規制の効果である

つまり、タバコを規制しても2年程度しか、このブログを読んでいると予想されるオッサンの寿命は延びないという解釈も成り立ちます。

タバコの規制で800万人の早期死亡が回避された

しかし、今回の報道の基となる論文を書いた人は「タバコの規制により、800万人の早期死亡が回避され、平均寿命が20年延長した」と元気よく述べていますけど⋯。ちなみにこの論文はJAMAに「Tobacco Control and the Reduction in Smoking-Related Premature Deaths in the United States」というタイトルで掲載されています。お時間がある方はぜひ、元の論文をお読みください。

くれぐれも報道を鵜呑みにしないことが大切

海外のメディアも今回のタバコ規制の効果について大々的に報道をしていますが、報道された時点でマスメディアの担当者のバイアスがかかっています。さらに海外の報道をもとにネット上にニュース、特報として取り上げる場合はバイアスの二乗になっている可能性も大です。もしも医学的な報道で「ほんとうかな?」とか「これってちょっと変じゃない」と思われた場合は是非私のブログでその話題を取り上げていないかチェックしてみてください。懐疑的に報道を分析した情報を得られますよ❗⋯でも、それも私のバイアスがかかっているか(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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