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コリに効くとされている磁気って本当に血行を良くするの?そのメカニズムについて考察

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以前から気になっていた治療法があります。磁石をつかった磁気による健康法です。磁気により血行が良くなり、肩こりなどが解消するってよく見かけるアレです。

たった一つの論文が磁気が血行を改善することの根拠だった、磁気が体に良いという説

医療現場で使われる磁気を利用したものとしてはMRIがよく知られているのではないでしょうか?MRIは核磁気共鳴画像法と呼ばれる検査方法で正式名称はMagnetic Resonance Imagingで頭文字をとってMRIと呼んでいます。放射線を使用するCTと違って人体に対する影響がないために、病状を確実に把握するためには現代医療では切っても切れない検査方法となっています(検査費用が高額なのが欠点です)。

海外の磁気治療器

http://www.magnetictherapymagnets.com/のMagneticTherapyMagnets.com

海外ではこんな磁気治療器も販売されています。

厚生労働省も効能を認めて告示112号で効能の表記を認めていますので、一般の方が安心して利用するのもうなずけることではあります。でも、なんでも懐疑的に考えてしまう私ですので、厚生労働省が何を根拠として効能を認めたのか調べてみて、そりゃ驚きましたです、わたし。

「皮膚貼付用磁気治療具の治療効果について」という論文があって執筆者は中川恭一となっていますが、この論文をもとにして、効果効能があると判断された経緯がありました。その後、続々と磁気の治療効果に対する論文が出されていますが、とにかく効果効能を厚生労働省が認めたのはこれが根拠となってるのは間違いありません。

磁気治療具の治療効果について 効果が十分にあるもであれば、別に文句を言う必要はないと思いますが、実はこの論文はかなり問題があるものなんです。

磁気治療器の効果を厚生労働省が認めた論文のデータはアンケート調査の結果❗

結果的にこの論文では効果を90%となっていますので、メチャメチャ優秀な治療方法です⋯でも、この効果判定なんですが、なんとハガキによるアンケート調査の集計に基づいているんです、コリャ本当に驚いた❗

厚生労働大臣が指定した医療機器

大手電機メーカーも磁気健康市場に参入

カネボウの化粧品による白班被害が昨年話題になりましたが、この機能性化粧品を厚生労働省が認めた根拠となるカネボウが提出したデータに貼付された論文自体は白班の危険を訴えていましたが、この警告を含む研究論文を上手い具合いに加工・加筆・削除して承認を受けていたことが後日発覚しています。

実際に医学の知識を持っていないか、統計学的理論を全く理解していない人がお役所にいる可能性が大です。さらにこの磁気治療は大手電機メーカー等も参入していますので、普通の人は安心して購入してしまうのも当たりまえのことです。磁気が人体に影響を及ぼす可能性は限りなくゼロに近いので、副作用が引き起こされていないのは不幸中の幸いと言えます。

もっともらしい磁気治療の説明

磁石の磁気を利用した治療法は紀元前からギリシャでは使われてたそうですが、その後もヨーロッパを中心として流行し、19世紀には肩こりの治療効果があるとして一般化しました。その後の物理化学分野の進歩によって磁気の研究おおく行なわれて、皆さんも耳にしたことがあるはずの「フレミングの法則」とか「ガウスの法則」とか「アンペールの法則」なんてものが見つけられました。このなかでも特にフレミングの法則は何とはなしに皆さんの頭の中に残っているものではないでしょうか?もちろん磁気治療機の説明にもしつこいくらい登場します。

磁気治療器の効果をフレミングの法則で説明

「フレミングの法則」で血行を促進するのが磁気治療の科学的な理論⁉

磁石または磁気を発するものによって、血行を促進して、筋肉のこりをほぐし、乱れた自律神経を整えるという様な効果を磁気治療器は謳っています。基本的な理論は「磁気で血行が良くなる」というものから様々な効果効能が導きだされています。じゃ、本当に磁気・磁力で血行って良くなるのでしょうか?

血液成分はプラスイオンとマイナスイオンのものがあり(プラス・マイナスの電荷を帯びたものでは無いようです、彼らの理論としては)、これに磁力を浴びせることによって「フレミングの左手の法則」が働くことによって血液の流れが促進され血行が良くなる、らしいです。多分、血液中の赤血球にヘモグロビンが含まれていて、そのヘモグロビンは鉄を含んでいるから磁力に反応するということなんでしょうね。実は様々な研究によって血液は磁力に影響を受けないし、磁気健康治療器の効果もプラセボの域を超えないことが明らかになっています。もちろん、医学の研究は自由な世界ですから、それに対する反論を中心とした論文も探せば見つかるでしょうけど。

もし、血液が磁石に影響されるとしたら、赤血球が磁力によって引きつけられて血管壁にくっ付いてしまって逆効果なんじゃないでしょうか?当然、血行不全を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞起こしますよ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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