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本年も集団感染が発生!ノロウイルスによる感染性胃腸炎になったら、治療は脱水対策を!

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毎年11月から翌年の2月くらいまで流行を見せる「ノロウイルス」ですが、症状として重大なのは「脱水」なのです。激しい下痢と嘔吐を繰り返すことによって脱水は起こりますが水分を補給すると直後に嘔吐や下痢の症状が出てしまう為に、「水分を控える」という実際には体にとって非常にマズい処置を取ってしまう方がいます。

今年もノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行

江戸時代にコレラが「コロリ」とよばれ大流行して、罹った人が「コロリ」と死んでしまう為にそのような名前で呼ばれるようになりました。当時まだ西洋の医療技術が入っていなかったので、水分を控えれば下痢が治まると江戸時代の人は考えましたが、実はこれが大裏目にでて多くの人が死亡してしまったのです。江戸の後期に日本にやってきたシーボルトなどの西洋の医学を知っている外国人は応急処置として「海水」を薄めて飲ませることを推奨して多くのコレラ患者さんの命を救いました。

江戸時代のコレラの絵

江戸時代のコレラのイメージです とにかくノロウイルスに感染したら脱水対策が一番です

2014年も老人施設などでは集団感染によって複数の方が亡くなっています。

2014年ノロウイルス集団感染

ノロウイルスの嫌らしい所は感染力が非常に強いと言うこと、アルコール消毒が効果がないと言う点です。その辺りについては「今年も大流行!ノロウイルスの診断は健康保険の対象外だった事に流行の原因があるかもしれない!」に書かせていただきましたのでご参照ください。

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ノロウイルス感染疑い患者さんへの対応法

当院の場合、ノロウイルス感染症の疑いのある患者さんは別室に隔離?させていただき他の患者さんとの接触を避けながら診察をさせていただいています。成人であればノロウイルスによる感染性胃腸炎で亡くなることは脱水にさえ気をつけていれば避けられるので、医療機関の受診を控えるように(他の高齢者や幼児に感染させないため)指導・指示している医師もいます。脱水を避ける方法としては単に水を飲むだけでは、体液中の電解質のバランスが崩れてしまうため、お薦めできません。これはシーボルト時代の西洋医学を学んだ医師が乱暴な話ですが海水を薄めて、どんどん飲ませて多くの人を救ったことと同じです(当時電解質のバランスについては十分な知識を彼らは持ち合わせていませんが)。

医師に何を飲めばいいかと質問すると「ポカリスエット」を薦めることが多かったのですが最近ではポカリスエットを製造している大塚製薬から出されている「OS-1」(オーエスワン)が経口の補水としては優秀なので当院では「ドラッグストアで手に入るからOS-1で脱水にならないように水分を補ってね」とお伝えしています。

口から飲めるなら点滴は不要です

よく風邪をひいた時に「先生、痛くてもいいんで注射をお願いします」なんてことを言う方を見受けますが、風邪を治す注射は残念ながらしっかりとエビデンスがあるものは存在しません。また、感染性胃腸炎で嘔吐と下痢を繰り返していると脱水になるという知識のある患者さんは「先生、脱水になるんで点滴おねがいします」というお申し出もあります。基本的に口からものを取ることができるなら点滴ではなく「経口摂取」で十分な水分もさらに栄養もとれますので、点滴はあまり有効ではないのです。そんな時にポカリスエットやOS-1はお茶やミネラルウォーター、ジュース類より優秀です。高齢者に対する脱水にも効果があるとされています。裏付けのあるエビデンスもしっかりしています。

感染性胃腸炎の下痢による脱水の対応策

私も実際に経験したことなのですが、子供は水分を大量にとると嘔吐を引き起こす傾向がありますが、このような経口補水液のなかにはゼリー状のものもあり、これは子供も吐くこと無く摂取しやすいとの感想を得ています。 なんとはなしに大塚製薬の宣伝みたいになりましたが、実際にクリニックを運営していますと、この時期に持病もない健康な成人がノロウイルスによる感染性胃腸炎で来院されても、結局は対症療法しかできませんし、他の病気で来院している高齢者の方に移ってしまうのではないかと、ヒヤヒヤしてしまうのです。

注意:あくまで今回の対処方法は高齢者・幼児を除くものであり、持病等をお持ちでご心配な方は主治医にお尋ねください

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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