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某議員に捧げる「頭が良い人は不安を感じやすい」は間違い、不安感とIQの関連性

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昔から頭の良さを表現するときにIQが高いだの、低いだのって使っていますが本当に頭の良さって簡単な数字で判断出来るのでしょうか?

そもそもIQで頭の良さを判定できるか?

学校の成績が良い=頭が良い、という図式は社会にでると間違いであることを気づいた人って意外と多いのではないでしょうか。

以前、使用されていた知能指数はその人の知能年齢 ÷ 本当の年齢 × 100で表していましたが(大人びた知識・知能を持っていると高くなる傾向あり)、今は同年齢集団内での中央値を100として、標準偏差を用いた統計学的考えに準じて測定します。

まあ、メチャクチャ勉強ができる人がものすごくIQが低いということは起こりにくいですが、逆にIQがメチャ高いのに勉強ができないということは生じる可能性は残ります。一般的な解釈としてのIQは知能・頭の良さを表す数値として話を進めて行きます。

心配性というか不安感が強い人はIQが高いという傾向

昔からバカと天才の違いは紙一重といいますが、高名な文学者や優秀な研究者、とくにノーベル賞を受賞した人や数学で言えばフィールズ賞を受賞した人がかなり変人であるという例は多数あります。不安神経症という精神医学の領域の病状がありますが、これは必要の無い心配をしてしまいそればっかり気にするという症状で知られています。
ネット上で

米研究で「不安が強い人はIQが高い」ことが明らかになる

http://www.biranger.jp/archives/41279

こんな記事を目にしましたので、ひょっとして頭の良い人って不安感が強いので人間的には変人・奇人が多く、なかには自殺してしまう人がいるのかな?と考えました。ネット上には元の論文は記載されていませんでしたが、もちろん私は見つけましたよ!「The Relationship between Intelligence and Anxiety: An Association with Subcortical White Matter Metabolism」と言う題名で論文になっています(Front Evol Neurosci. 2012 Feb 1;3:8. )。

ハッキリした理由がないけど、何とはなしに不安感が長期に渡って継続して通常の生活が遅れない状態を全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder略してGAD)と呼びますが、この不安障害を持っている人は知能指数(Intelligence Quotient略してIQ) 高い傾向にあるということをこの論文は報告しています。

私的に文学者として天才と考えている芥川龍之介が「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」を理由に自殺したのも、GADだった可能性があります。ここに「Metabolism」という単語があり、メタボだとなんておもわないでくださいね、これは「代謝」という意味でここでは使われていますから。

知能指数と不安感の関係

この論文、臨床系のものとしては非常に対象とした人数が少ないので厳しい統計学的な解析に耐えうるとはあまり思えませんが、一応研究の方法を述べておきます

  • GADの人を26人、健康に問題が無い人18人が対象
  • 両者にIQテストと不安の度合いを評価する質問に答えてもらった

その結果がこのようになりました。

The_Relationship_between_Intelligence_and_Anxiety__An_Association_with_Subcortical_White_Matter_Metabolism

上記論文より

このグラフから読み取れることは

  • GADの人は不安度が高いほど、IQが高い
  • 健康人は不安度が高いほどIQが低くく、不安度が低いほどIQが高い

という結果になりました。

健康でIQの高いひとほど必要ない不安は抱えない

健康人では不安度が低いほどIQが高いという結果の解釈としては知能の発達している人は知識と頭の回転で不安を与えている要因を突き止め解決している、ということであり、やたらと意味のない不安を感じている人は知能が低いと言うことを意味しています、少なくともこの論文の解釈では。

福島の原発事故に対して多くの人が不安をもちました⋯これは当たり前のことです。被災地域の子供に甲状腺がんの発生が多い、なんて全く医学統計では否定されたことを持ち出して不安感を煽る輩もいます。

円形脱毛の原因が放射線の影響だと騒いで参議院に当選した議員もいますが、彼は明らかにIQが低いためにあらぬ不安というか妄想を膨らましていることが予想されます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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