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無駄な検査・薬のトップ5を発表します❗

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今、超高齢化社会を迎えた日本国にとって増える事はあっても減ることは考えにくいものが医療費です。

国の財政を破綻させる可能性がある医療費問題

高齢者の場合、ちょっとした収入の差で自己負担が現役並みの3割になったり、1割になったりします。日本が国民皆保険制度スタートした時点ではこんな高齢化社会になるとは予想もしなかったのです。

また福祉に力を入れる政策を取ったため高齢者の保険診療に於ける自己負担を1割に抑えてきましたが、財政面で耐えきれないでこのような超高齢者でも3割負担という制度になってしまったのです。

アメリカの医療費の無駄使いの内容

US Healthcare System Wasted $750 billion in one year (http://www.ign.com/boards/threads/report-us-healthcare-system-wasted-750-billion-in-one-year.452655942/)

これはアメリカで医療費の無駄使いと言われているもののグラフで、総額7500億ドル❗

一時期は日本では高齢者は自己負担が0円という時代もあったくらいですので、日本の医療レベルはトップレベルであることの証明の一つが超高齢化社会(少子化問題は今回は対象外とします)を迎えたということもできます。

やたら滅多らに検査や必要ない薬を処方する医師にも医療費が増えている原因のいったんがあるとの考え方もありますので、どのような無駄な検査が行なわれ、無駄な薬が処方されているか、大曝露します。

全く必要ない検査を平然と行なっている医師

日本の医師の無駄な検査や処方について鋭い批判を加える勢いでここまで書いて来ましたが、一開業医という弱い立場の私なので、米国の話にさせてくださいませ。The American Board of Internal Medicine Foundation(アメリカ内科専門医認定機構財団、略してABMI)という団体が必要ない検査や処方を無くすために「CHoosing Wisely」というキャンペーンを行なった際に色々な学会が「いらん検査・処方のトップ5を告ろう!」という流れができてしまいました。

今回はあまり無駄な検査や処方を行なわないと思われる形成外科学会(ASPS)が告白?した不必要な検査・処方のトップ5は以下のようになっています。

  1. 乳がん手術前のルーチン化されたマンモグラフィ検査
  2. 乳房再建術例に対するルーチン化されたマンモグラフィ検査
  3. 乳房術時の留置ドレーン
  4. 手術後24時間以降の抗生物質の予防的処方
  5. 顔面外傷時のレントゲン検査

が無駄な必要ない医療費とされました。トップ100くらいまで挙げる事も可能でしょうけど、キリがないのでトップ5でやめておきます by 米国形成外科学会

無駄な検査・処方、それぞれの理由

乳がんを発見するのに大きな力を発揮するマンモグラフィなので逆に言えばマンモグラフィを使用した検査で「乳がん」と診断され必要に応じて生検をしたりして確定診断となって手術をすることになります。しかし、実際に手術をする執刀医は確実にがん組織の存在を確認するために、再度マンモグラフィを行なっていることが無駄ということです。

日本でもMRIやCTでガンの存在がわかっていても発見した病院以外で手術をする場合「前医の撮影方法は当院の撮影方法と違うので念のため取り直します」なんてことをのたまっていた医師もいましたが、患者さんも「それは無駄な検査ではないか」という知識・情報を持ち合わせてきたために、このような無駄な検査は日本ではいくつかの施設を除いて私の知る限りは減っている傾向にあると考えています。

乳房縮小術は日本ではあまり聞かない治療ですが、以前ブログに書いたように英国では男性が受ける美容整形のトップになっています。

手術をして組織を取り除いた空間をデッドスペースと呼びますが、出血や浸出液が溜まり感染源となるために、それらの不要物を外に排出するために「ドレーン」という管を一時期埋め込みます。

ドレーンを留置する事に対しての賛否は日本でも乳房縮小術以外でも分かれていましたが、現在では体内を弄る手術以外は術中に大量出血や手こずった手術でない限り留置する必要がないという考えが大半を占めています。
無駄な検査、処方の全部を解説してくとかなり長文になりますので、端折って最後の術後24時間以降の予防的抗生物質の投与について解説しておしまいにしますね。いくらバイキンが除かれている手術室でのOPEなんですけど、宇宙飛行士が着る様な手術服ではありませんし、消化管などの汚染された部位を切り開きますので常に感染の心配はしなくてはなりません。

大昔は術後に抗生物質を点滴していましたが、今は術前から抗生剤を点滴して(手術中に薬の血中濃度が効果を発揮されるレベルにもって行くため)、術後24時間点滴を続けて手術中に感染した可能性があるバイキンの影響を防ぐ事が一般的です。

これを術後の予防的抗生剤の投与と呼んでいて、24時間以内に感染の疑いがない場合は薬の投与は必要ないのです。24時間経過すると手術の跡は創傷治癒というメカニズムによって傷口は塞がってきますので、それ以降に感染することはよっぽどヘタクソな手術をしたか、術後に傷口を消毒するという無駄な処置によって新たにバイキンがついて感染症を引き起こした可能性もありますね。

他の科だと、もっとボロボロある無駄な検査と処方

今回の告白?はアメリカの形成外科学会をいうどちらかというとマイナーな科目での無駄な検査と処方ですが、日本の場合はどうでしょうか?私がいつも疑問を感じるのが抗生剤・抗菌剤を出す時に「私は胃が弱いので胃薬もお願いします」という患者さんが多い事です。抗生剤で副作用としては胃の症状より下痢や便秘の消化器症状の方が多いのです。

同様に痛み止めを処方するときも「胃が弱いので胃の保護薬をお願いします」という方も多いのです。確かにボルタレンなどは一回の服用で胃に穴があいたと言う例が報告されていますし、皆様おなじみのロキソニンもボルタレンと比較すると少ない頻度ですが、胃炎を引き起こします。

最近登場したセレコックスという痛み止めは胃に問題を起こす事が少ないので、胃薬をルーチン的に処方する必要はありません。医師側もハッキリとこの「薬を飲むから胃を守るために胃薬投与」から患者さんにじっくり説明をすれば、患者さんも納得してくれて無駄な薬の処方をしなくて済むと考えています。

実際に当院では抗生物質・抗菌剤・痛み止めを処方する場合、95%以上で胃薬は処方していませんし、それによって患者さんに大きな不利益がでたことは開業以来17年間一切ありません。皆さんも、ぜひご自分が飲んでいる薬の見直しをしてみませんか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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