fbpx

これからは「顔のしわ取り」は歯医者さんで❗という時代が来た

更新日:

歯科クリニックの急増で生き残りをかけた様々な工夫が歯科医の間で繰り広げられています。

医療を万人が平等に受けられる日本の健康保険制度自体がかなり歪みを生み出しており、同業者間で競争原理が働くのはユーザーである患者さんにとっては自由経済制度のなかでは好ましい結果になるはずです。

歯医者さんでシワを治すって??

今では一般歯科医でも行なっている「インプラント」も初期のころは保険診療外の治療であった為に、手を出す歯医者さんも少なかったのですが現在では自由診療であっても多くの歯医者さんが行なっているので、治療価格自体も当然の結果として低価格競争になっています⋯技術が同じであれば安いところに患者さんが集中するし、今までは高嶺の花であったインプラントによって入れ歯による不自由な生活から解放されますし、白くキレイな歯を得ることが可能となっているのです。

インプラントが一般的な治療法となって飽和状態になったためと思われますが、今度は歯科医が「口回りのシワ」をヒアルロン酸によって治療するという動きがでています。

歯科医が手を出していい領域

歯科医と医師の違いって厳密に決められているようで、実際は曖昧な点もあります。私たち医師は学生時代に「口腔外科」という科目を勉強する為に、必要最小限の歯科の知識はありますし、歯科医と同じ様な治療をしても医師法によって罰せられることはありません。

歯科医も痛み止めや抗菌剤を処方する裁量権を持っていますし、歯科大学では口腔内の大掛かりな手術も行なっているため、医師の領域と考えられる治療を行なっても罰せられません。

ヒアルロン酸によるシワを改善する治療が一般的になって10年以上立ちますが、へたっぴな皮膚科医がトラブルを起こすくらいなら口回りの専門家である歯医者さんがシワを改善させるために、ヒアルロン酸を使用しても問題ないのではないでしょうか?しかし、厚生労働省は「シワ取り目的の注入療法は広く認知された歯科治療ではない」との判断をしています。※ヨミドクターより。

解剖学上の口唇の定義

前述、読売オンラインのヨミドクターよりお借りしました。

歯医者さんが治療して良い領域として「口唇」を厚生労働省自体が認めていますので、鼻の下やほうれい線の一部は歯科が担当してもいいんじゃない的にヒアルロン酸注入を行なっている歯科医は判断しているようです⋯この絵の「口唇」って少し範囲が広すぎる様な感じを受けますし、ほうれい線って鼻翼の横ではなくもう少し上から出来ているという細かいことは大人の解釈でここではツッコミません。

医師側の歯科医に対する反対意見

既存権益を守ろうとする医師がほとんどであることをここで歯医者さんにお伝えしておきます(こんなこと書くから同業者から私は嫌われるんです 笑&泣き)。一般社団法人日本エイジングケア外科美容再生研究会の見解は「歯医者さんのヒアルロン酸注入は全て違法」となっています。

歯科医によるヒアルロン酸注入は違法行為

https://jaas-labo.com/

唇程度へのヒアルロン酸注入は良いかもしれないけど、頬のシワまではいかんよ!という事らしいです。

歯医者さん側も医師側から抗議が来る事を予想して「歯科医に対するシワ治療セミナー」的な所では、ほうれい線のシワを私たち医師は当然皮膚側からヒアルロン酸を注入しますが、歯医者さんが口の中から注入する事は違法じゃないとして指導しています(ヒアルロン酸注入のセミナーを受けた歯科医の話による)。

歯医者さんがヒアルロン酸注入をしても目くじらを立てることは無いと考えます

キレイな歯並びをインプラントや矯正、ホワイトニングで得た患者さんは「口回りのシワ」も気になってきて当然です。人間がものを噛む「咀嚼」や「噛み合わせ」は医師より歯医者さんの方が知識が豊富だと思いますし、インプラントや入れ歯が原因で口回りのシワが目立ってしまうこともあります。顔の神経走行や血管の走行も決して医師の方が歯医者さんより豊富であるとは言いがたい面もありますので、ぜひ歯医者さんにも積極的に口回りのシワ(ほうれい線の上の方はさすがにマズいと思いますけど)の治療を行なっていただきたいと思います。

医師が既得権的に歯科医の治療に対して「違法」と主張しても患者さんに対して不利益でないなら、という条件はつきますけど。

P1210772_JPG

ご覧のように先が尖っていません。

例えば歯科でヒアルロン酸を注入する時は通常の針を使用するのですが、私たちは神経・血管を傷つけないようにカニューレをいう先端が丸くなった注入機器を使用します。これは皮膚にメスで小さな切開を入れてから、カニューレを差し込みます(カニューレの先は鈍ですから、肌に刺さりません)。これによって「ヒアルロン酸を入れすぎると悲惨なことになります」で書いた様な悲惨な医療事故を防ぐことが可能になっています。このカニューレを使用する為には皮膚の一部を切るので、明らかに歯科医の領域を越えてしまいます。

歯科医の「シワに対するヒアルロン酸注入」より、美容クリニックの癖に院内でサプリメントを販売している医師に対して私は違和感を覚えます。ダイエットであれ、美肌であれ医師であれば国から与えられた「裁量権」を十分に駆使して、食品じゃなくて薬や医療機器で美容治療を行なうべきなのではないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・発熱外来

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・木・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック