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美肌治療の基本「ケミカルピーリング」は「皮膚がんの治療」にも効果があるんだって❗

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美容皮膚科や皮膚科でもにきび対策・にきび跡対策でケミカルピーリングが使用されるようになり、ホームケア用のピーリング剤まで登場しています。(関連エントリー 美肌ケアの基本中の基本「ケミカルピーリング」とは?料金は美容治療としては安い⁉です

10数年前は皮膚科専門医でも「ケミカルピーリングなんかやってたら皮膚が薄くなっちゃうよ」と、言っていた時代が懐かしいです。肌のバリア機能を維持する表皮の一番外側にあり、肌を守る役目がすんだ角質を化学薬品を使用して剥離する、というのが「ケミカルピーリング」です。

スキンケアの基本中の基本のケミカルピーリング

ケミカルピーリングを使用することによって、なんと皮膚がんの治療もできるという話があります。

実際に日本の大学病院で皮膚がんの治療にケミカルピーリングを行っているところがありますので、実際にケミカルピーリングはどれだけ皮膚がんに有効なのか?効果があるのか?を説明しますね。

ケミカルピーリングは皮膚がんを防ぐ

うっかり日焼けしてしまったあとに、どうすればいいの?という質問がよくあります。日焼けの処置が一番大切ですが、女性にとっては日焼け後のシミ問題が重要案件になりますよね。日焼け後にシミにならないような処置として「ビタミンCのイオン導入」があります。さらに皮膚のターンオーバーサイクルを短くして、必要ない角質をケミカルピーリングで除去する治療法も提案しています。

ケミカルピーリングに使う薬剤としてグルコール酸、アミノ酸サリチル酸、フェノールなどがあります。

日本人は白人と違い、皮膚がんにはなりにくいので「日焼け後に皮膚がんになるんじゃないか?」と心配する方は少なくとも当院ではごくごく少数です。ケミカルピーリングに使用されるピーリング剤である

グルコール酸、サリチル酸、トリクルロ酢酸ピーリングは皮膚がんを予防する効果がある

という驚きの論文があります。「Effect of chemical peeling on photocarcinogenesis」(The Journal of Dermatology Volume 37, Issue 10, pages 864–872, October 2010)は光による発がんに対するケミカルピーリングの効果を検証したものです。

この実験を行った神戸大学は紫外線を使用して皮膚がんを人工的につくって、ケミカルピーリングが発ガン自体を抑え込むことができるかを実験しています。この研究では発がんメカニズムに関連する遺伝子と考えられているCOX2の減少とp53遺伝子(ガン抑制遺伝子とも呼ばれる)に関連する異常タンパクを含む細胞の減少が見られました❗

ケミカルピーリングの皮膚がん予防効果

前述論文より

CP-がケミカルピーリングをしていない皮膚、CP+がケミカルピーリングをした皮膚です。ケミカルピーリングしていない皮膚はケミカルピーリングを行った皮膚と比べてp53絡みの細胞が目立ちません❗つまり、ケミカルピーリングは皮膚がんの発がんメカニズムを抑えることが可能である、と論文は締めくくっています。

でも、気をつけましょうね、この論文の対象は「マウス」、まり「ネズミ」なんです。人間の皮膚がんにケミカルピーリング効果あるかはわかんないじゃん、と思った方へ⋯あるんです、実際に人間の皮膚がんにケミカルピーリングを治療に使っている医療機関が。

ケミカルピーリングは皮膚がんの治療に使われている❗

この論文は驚きました。和歌山県立医大では、実際に皮膚がんの治療にケミカルピーリングを使っています。その結果も論文として発表されています。「Phenol peels as a novel therapeutic approach for actinic keratosis and Bowen disease: prospective pilot trial with assessment of clinical, histologic, and immunohistochemical correlations(J Am Acad Dermatol. 2009 Apr;60 (4) :615-25.) というタイトルからわかるように「フェノールピーリング」と呼ばれる、かなり皮膚奥深くまでピーリング効果のある薬剤をしようしています。このフェノールピーリングはまさに「皮膚を剥く」ような感じになりますので、美容目的の場合はピーリング歴の長い方、美容治療に慣れた方以外にはオススメできません。この論文によると

  • 46人の前癌状態の日光角化症とボーエン病に対してケミカルピーリングを行った
  • 対象は手術を嫌った人、麻酔ができない人で年齢は31歳から91歳
  • 7人は効果がなく、手術となった
  • 残りの39人中2人が再発した
  • ケミカルピーリングを行った46人中37人は6年間再発しなかった

という結果になっています。神戸大学はマウスを使った研究レベルなのに、和歌山県立医大では皮膚がんの治療に実際にケミカルピーリングを使っていて、80パーセントの人が効果があったことになります。

昔、ケミカルピーリングは皮膚が薄くなちゃうからダメ❗と言っていた「責任者でてこい❗」

当院が美容目的でケミカルピーリングを始めて16年近く経ちます。そのころ当院でケミカルピーリングを受けた患者さんに対して「皮膚が薄くなるからケミカルピーリングなんかしちゃダメですよ❗」と言っていた皮膚科の方々はこのような結果を見てどのように思われているか気になります。今では皮膚科学会が「ケミカルピーリングガイドライン」というものさえ作っているではないですか(少し怒りモード)!

今現在、一般皮膚科の医師がケミカルピーリングを恐る恐る行っている遥か昔から美容系の医師はケミカルピーリングを行っていました。美容を目的として、経験値をもとにしてケミカルピーリングを行う医療機関を選択するのなら、私たちの方が一歩先を行っていることは間違いありません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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