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「年齢ペプチド」って何?DHA・EPAとも違う、VPPとIPPという血管をしなやかにする成分らしい。

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「血管年齢」という呼び方があります。

血管が動脈効果を起こし、心臓や脳の血管がしなやかさを失うことで、心筋梗塞や脳梗塞・脳出血が起きるため、血管がしなやかであればあるほど「血管年齢」が若く、脳卒中や心血管系の病気になりにくい、という考え方から出たものです。

年齢ペプチド、とは⋯血管をしなやかにする乳が元の健康成分らしい

高血圧や糖尿病もその病気自体が死を招く訳ではなく、血管が硬くなり動脈効果を起こす、あるいは血管が詰まりやすくなり血流が悪くなることによって、脳や心臓がダメージを受けるので、血圧改善・血糖値改善が叫ばれる、というワケなのです。さらに運動不足やストレスや喫煙も血管年齢に悪影響があるために「いかに血管がしなやかであるか」が若さの秘訣であり「血管年齢」を若々しく保つことが、健康で長寿の秘訣であることは間違いありません。

血管をしなやかにする「年齢ペプチド」–カルピス社 2

カルピス社の『血管をしなやかにする「年齢ペプチド」』

そんな動脈硬化予防に効果がある成分を「年齢ペプチド」とカルピスが命名しています。

実は泌尿器科医の間で密かに流行っている薬で「シアリス」というものがあります。もともとED改善薬であったシアリスは血管内皮に良い影響があり、血管がしなやかになることが医学的に証明されています。シアリスを脳梗塞や心筋梗塞などの心血管系の病気のリスクを避けるために、泌尿器科医の大御所も愛用しています。果たして「年齢ペプチド」はED改善薬「シアリス」並みの効果⋯EDにじゃないよ、があるのか?ちょっとばかし検討してみます、

年齢ペプチドの秘密はVPPとIPP

年齢ペプチドの正体はVPPとIPPらしい、と見かけたんで、生化学の教科書(ストライヤーとハーパー)で調べちゃったじゃないか、カルピスさん。素直にカルピスのサイトを見ればよかった⋯そこにはこんなことが書かれています。

カルピス社では「カルピス酸乳」の生理機能に着目し、約40年にわたり研究を続けてきました。その結果、1993年に「年齢ペプチド」を発見しました。「年齢ペプチド」はVPP (バリン-プロリン-プロリン) とIPP (イソロイシン-プロリン-プロリン) という2種類のペプチドからなる乳由来の成分です。

カルピスのサイトより
つまりVPPはvaline(バリン)にproline(プロリン)が二つ加わった、たんなる「アミノ酸」の集合体。そしてIPPはisoleucine(イソロイシン)と二つのプロリンを含むもので、両者ともに乳製品(多分、カルピスのものだけ)に存在するのです。この二つが動脈効果を改善することを裏付けた論文として、Atherosclerosis.219 298-303(2001)と記されています。

血管をしなやかにする「年齢ペプチド」–カルピス社

前述カルピスサイト

本来ならこの論文は「Atherosclerosis. 2011 Nov;219 (1) :298-303.」と記載していただけたら、元論文を探す手間が省けます。この論文は「Casein hydrolysate containing Val-Pro-Pro and Ile-Pro-Pro improves central blood pressure and arterial stiffness in hypertensive subjects: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial」というタイトルでそれほど格調が高い医学専門誌ではないけど、他にカルピスがサイトに記している専門誌よりは信頼度の高いものと判断します。

年齢ペプチドは血管年齢の効果があった❗

研究は二重盲検を使って50歳から69歳に人、70人に協力してもらったものです。ダブルブラインドで実験を行っていますので、信頼度はかなり高いものとお考えください。その結果、血管のしなやかさの目安である「脈波伝播速度」(PWV Pulse Wave Velocityの略)が年齢ペプチドを摂取したグループと摂取しなかったグループでは統計学的に差がでています。

つまり、VPPとIPPは血管年齢を若返らせた、年齢ペプチドは血管年齢のアンチエジングになる、という結果になっています。

青魚に含まれるDHA・EPAなどの成分を中心としたサプリも血管年齢に好影響を与えるので、サプリなかでは医療関係者からの評価も高いものです。EPAやDHAはまとめてオメガー3脂肪酸と呼ばれ、血管年齢に効果をあらわすメカニズムとしてはコレステロールや中性脂肪を抑えるので、これ自体を抽出した処方薬があります(ロトリガという名前です)。

年齢ペプチドVSシアリス、その結果は?

カルピスの生み出した「年齢ペプチド」ですけど、確かに血管を柔軟にする効果があり、血管年齢のアンチエジングに役立つ可能は大きいです。中年以降のオッサンたちの悩みであるEDも複雑な因子が原因となっていますが、簡単に考えると血管の老化が主要因子になっています。

シアリスの効果は血管内皮細胞における一酸化窒素 (N0) を放出させ、血管自体を拡張させることによってEDを改善します。EDじゃなくても、血管年齢のアンチエジングのためにシアリスを愛用している泌尿器科医が多いのです。実はカルピスのサイトには

◎「年齢ペプチド」は血管内皮機能を改善することで、NOの産生を促し、血管をしなやかにしてくれるのです

と書かれていますので、近いうちに「年齢ペプチド」を配合した「しなやかケア」(カルピスの商品名)がEDにも効果がある、って話がネット上に飛び交うことを予想します。

カルピスさまにお願い 多くの子供に愛されてきた「カルピス」ですから、「しなやかケア」がEDに効果があったとしても、サントリーのサプリのように「夜の生活」をイメージした広告を展開しないことをこころからお願い申し上げます。

カルピスの「乳酸菌がストレスを緩和する」広告に大ショック。

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CP2305ガセリ菌が配合された 「ココカラケア」がメンタルをサポートする根拠として自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して脳と腸がお互いに関連しているというのです。お腹が痛くなれば気分が悪くなり、逆に精神的に落ち込むと胃腸の調子が悪くなるといった相関関係にあるというのですが、果たして本当でしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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