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高学歴で物忘れの多い方は注意を❗脳卒中のリスクが4割も上昇するよ❗

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なんか最近、もの忘れが多いんだよね、という会話がおっさん友達の間で交わされることが多くなっています。「情報量が多すぎるから、必要無い情報は脳が捨て去っているんだよ」という話でみんな無理くり納得しています。年をとって物忘れが激しくなったことを認めたくないオッサン達の勝手な判断であることは間違いありません。もちろん自分に都合の悪いことは積極的に忘却の彼方へ、という思考回路がもともと強い私は情報量過多説と老化による物忘れを上手く使い分けています。先日、気になる医学論文を発見して、こりゃヤバいと感じたので、報告しますね。

最近物忘れが多いんだよね⋯脳卒中のリスクが1.4倍

高学歴でもの忘れが多いと脳卒中に4割なりやすい❗という恐怖の論文を目にしてしまいました。私は職業が医師ですから、高学歴と考えて間違いありませんし、しばしばスマホ、鍵、財布を探しています。さらに元々なぜか「脳卒中恐怖症」であるので、梗塞予防のためにバイアスピリンを毎日欠かさず飲んでいます。一度獲得した学歴をなくすことは不可能ですから、このような論文にイチャモンをつけるために検討してみました。

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学歴と脳卒中のリスクを解き明かした論文

今回の迷惑な論文は「Subjective Memory Complaints and the Risk of Stroke」(Strokeのオンライン版)で見つけてしまいました。55歳以上の人にMini-Mental State Examinationという、もの忘れの自覚症状をチェックするテストを行いました。対象者は9152人のオランダ人です。この身にメンタルステート検査というのは、11の質問から構成される30点満点のもので、24点以上で正常、20点未満で知能低下、10点未満はかなりヤバい、と判断されます。今回の論文の結果は以下のとおり。

  • 物忘れがあると判断されたのは1552人
  • ものわすれがある人の年齢は平均で70.3歳、ない人は平均で67.1歳
  • 12.2年間追跡調査をしたところ1134例の脳卒中が発症していた(重複あり)

この結果について、わたし的には遥か先の未来である70歳以上の話ですから、ここで論文を読むのをやめようと思った矢先に以下のような文章が目に入りました。

we performed a stratified analysis by the level of education. In our study sample, we found that among persons with a high vocational or university level of education, those who complained about their memory were at increased risk for stroke (HR, 1.39) compared with persons who had no memory complaints.

Subjective Memory Complaints and the Risk of Stroke

要は高学歴で記憶力に問題のある人は、脳卒中のリスクが1.4倍高いということです。物忘れ自体が脳卒中のリスクと関連があり、特に高学歴な人ほど関連性が強くなるのです。

この物忘れを検査したツールを精査した

今回の物忘れ診断ツールはMMSE⋯ミニメンタルステート検査ですから、診断基準というか判断基準をまずは調べる必要があります。認知症などの使用される検査としては「長谷川式認知症スケール」を私は日常の診断で使用してましたので、このMMSEは詳しく知りませんでした。

1:口頭で「今日は何日ですか」「今年は何年ですか」「今の季節は何ですか」「今日は何曜日ですか」「今日は何月ですか」質問する。
2:「ここは何県ですか」「ここは何市ですか」「ここはどこですか」「ここは何階ですか」「ここは何地方ですか」の質問をします。
3:3つの言葉を言い、その後、被験者に繰り返し言ってもらう。
4:100から順に7を繰り返し引いてもらう(5回)。
5:3)で提示した3つの言葉を再度言ってもらう。
6:時計を見せながら「これは何ですか」」、鉛筆を見せながら「これは何ですか?」と聞く。
7:次の文章を反復させる。「みんなで力を合わせて綱を引きます」
8:何も書いていない紙を渡し、「右手にこの紙を持ってください」「それを半分に折りたたんでください」「それを私にください」といっぺんに指示をして、そのとおりにしてもらう。
9:「目を閉じてください」と書いたものを見せて、指示に従わせる。
10:何も書かれていない紙を渡して、「何か文章を書いてください」と指示をする。
11:重なった2個の五角形を見せて、それを模写させる。

くもん学習センター

もちろんオランダで使用されたものの日本バージョンですが、小学生レベルでも答えられる質問で構成されています。

なぜ高学歴で物忘れがあると脳卒中になるか?

もし、私がいきなりこのMMSEを検査されたら、6番目の質問くらいから怒りだします、多分。質問8に至っては、小学校受験の指示行動と呼ばれるようなレベルの問いかけです。さらに質問9で「コイツ、舐めてるのか」と反抗的な態度になり、検査を拒否するので、現時点でも得点が低い可能性があります。

あくまで個人的見解です

高学歴ほどプライドが高く疑い深いので、MMSE自体を舐めきっていて低得点になったことが、今回のオランダの論文の間違った結果を導いた、と勝手に判断致します。笑

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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