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川島なお美さんの肝内胆管癌、近藤誠先生の意見、そしてセカンドオピニオンとは。

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肝内胆管癌という比較的珍しい病気で川島なお美さんが亡くなったのはまだ記憶に新しい衝撃的な出来事でした。その死から一ヶ月も経た無いうちにあの近藤誠先生が専門であるセカンドオピニオン外来で川島なお美さんにアドバイスしたこと、さらに死に対してのお得意の後出しジャンケン。

セカンドオピニオンという名前だけは聞いたことがあるけど、実際はどんなことをセカンドオピニオンと呼ぶのかご存じ無い方もいます(当院でもセカンドオピニオンを希望して、治療してもらえなかった、という理不尽な投稿がなされたこともあります)。

いろいろなことを考えた川島なお美さんの肝内胆管癌での死

以下の3つのテーマについて、書かせていただきます。

  1. 肝内胆管癌とは、どんな病気なんだろう
  2. 近藤誠先生の記事はどこがおかしいのだろう
  3. セカンドオピニオンとはなんぞや

女性に多い肝内胆管癌

男女共有の臓器における癌ってイメージ的に男性の方がかかりやすいイメージありませんか?肝内胆管がんは肝臓がんの仲間でありながら、女性に多く発症することが知られています。肝臓がんの原因として多量の飲酒がありますので、肝臓がん自体の罹患は男性が多いにも関わらずです。

胆のうがん・胆管がん自体の死亡数は男性8900人、女性9300人で女性の方が多くなっています(がん情報サービスの2013年のデータより)。 女性が罹るがんとしては8番目ですが、男性の場合は11番目ですから女性の方が罹りやすいがんであるといえます。

特に50歳前後の発症が多いので、今回の川島なお美さんもこのレンジに入ります。原因としてはもともとの胆管の解剖学的な異常・胆石・胆嚢炎などが考えられていますが、あくまで発症に対するリスク因子であるため胆石がある、即肝内胆管がんになっちゃう、と考える必要はありません。発症リスクとしては過剰なカロリー摂取による肥満も挙げられます。川島なお美さんの場合、もともとスレンダーな方なので、この発症リスクは除外できますので、一部ではワインが原因では?なんて記したサイトもありますが、無責任な記事と判断していいでしょう。

がんの予後を予想する場合、5年生存率という用語を使用します。肝内胆管がんの治療後の5年生存率は治療施設によって若干の違いはありますが、転移が無い場合でも40%を切っているので「シビアながん」と言えます。

秋田大学医学部_外科学講座_消化器外科学分野(第一外科)_第一外科–患者さん/一般–診療案内–疾患/治療情報–肝臓/胆管細胞がん

秋田大学第一外科

手術などを行わない無治療という選択を勧める特殊な医師も最近いるようですが、肝内胆管がんを放置したデータは見つけられませんでした、というか人道的にそんなデータあるわけないですけど。

後出しジャンケンの近藤誠先生、そんな記事書いていいんでしょうか?

文藝春秋11号に近藤誠先生が川島なお美さんが以前自分にセカンドオピニオンを求めてきたことを記事にしています(近藤先生の治療に関する意見はかなりトンデモ系ですが、その件については多くの医療関係者が指摘していますので、今回は省きます)。手術ではなく、ラジオ波による部分切除(実際には病変部を焼灼する、肝細胞がんの治療としてはスタンダードですが、肝内胆管がんの場合は再発が多いことが知られています)を勧めたことになっています。でもさあ、、、

亡くなったとはいえ、川島なお美さん個人の医療上の情報を担当医が公表していいの?近藤誠先生❗

という医師であるなら当然の守秘義務を破っているんじゃないでしょうか?近藤先生が直接診療していない有名人ががんで亡くなったことを取り上げて、治療方法にチャチャをいれるという「後出しジャンケン」(命名は反近藤誠先生の長尾和宏先生だと思います)を出す分には言論の自由の範疇だと考えることができます。

芸能情報に強い近藤誠先生がテレビや雑誌の有名人のがん死記事を読み込んで、文章にしたり発言することは守秘義務違反ではありません。しかし、究極の個人情報である病気について実際に接した患者さんがいかに有名人であろうと、それを記事にしちゃうのはマズイです。刑法第134条に定められた法律を本人の承諾を得ないで開示した場合は6ヶ月以内の懲役又は10万円以下の罰金ですよ。

懲役や罰金なんのその、って考え方を近藤誠先生がお持ちだとしても、「あの先生って、患者さんの病状を簡単によその人に教えちゃう」なんて噂がたったら死活問題になります。多分、臨床経験が十分でなく(大学時代は論文の読み込みと執筆に多くの時間を費やしたことを得意気に著作に書いていますから)と大学病院というバックボーンに守られた医師生活が長かったため、一般の開業医が一番気にかける「噂」の怖さを知らないのでしょうね。

こんな話もありました 

非常識にもほどがある!美容整形外科医の子供が患者である芸能人のことをTwitterで暴露したらしい?!

非常識にもほどがある!美容整形外科医の子供が患者である芸能人のことをTwitterで暴露したらしい?!

業務上で知り得た個人情報や機密情報は、必要のない場面で漏らさない・家族にも話さないことが守秘義務ですが、医師の場合は、公務員・弁護士と同様、非常に厳格で守らないと法に触れることになります。SNS上で芸能人の患者さん情報を漏らした人の親が美容整形外科医だったというニュースから、この問題について考えてみました。

セカンドオピニオンとはなんぞや?

先ほども書きましたがセカンドオピニオンって治療をすることじゃないんです。医療においてのセカンドオピニオンとは、現時点で治療中の疾患に対して、現在治療している医師以外に他の治療方法はないか?、現在の治療がうまくいかなかった時に次の治療方法はないか?つまり治療の選択肢を現在診療している医師の知識・意見以外に広げることが目的です。

主治医を変えることはセカンドオピニオンを求めることではありません❗

セカンドオピニオンを希望する時は現在の主治医の情報提供書・検査データを持参して受診する必要があります。現在行われている治療方法や治療方針の正しい情報がないと、逆に複数の医師の意見を聞きすぎて混乱することが多くなります。また、セカンドオピニオンは治療をすることを目的としていませんので、保険診療外になります⋯つまり自費です。一般的なセカンドオピニオン外来では、新たな検査も行いませんし、治療もしません。現時点での主治医の診断や治療方針に対する意見を述べるのがセカンドオピニオン本来の機能です。

近藤誠先生のクリニックのセカンドオピニオン外来の料金は「30分3万2千円」となっていて、「高額じゃないか」「ぼろ儲けじゃないの」といった意見もありますが、医師の経験・知識・情報をフルに活用した場合の料金としては、メチャ高額とも言い切れないとも考えます。例えば弁護士さんに相談を持ちかけた場合、経験や実績によって費用に違いが出てきますが、それと同様に考えていただけると医療サイドとしてはセカンドオピニオン外来を設けやすくなってきます。

あっ、そうだ❗当院の自由診療部門で「他の美容系のクリニックでこんな治療したんですけど、予想と違った状態になっています」的な相談が急増しているんですけど、これを「美容セカンドオピニオン外来」と称して有料化しちゃおうかな?現在は美容系の相談は無料なんで。

偽医療は川島なお美さんの死期を早めたのか?という素朴な疑問、ニセ医学の怖さ

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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