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「SSRI」と称される、うつ病の薬への大きな疑問、こんなに一気に患者さんが増えてんの⁉

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トンデモ系の某医師から製薬メーカーの御用医師とか、政府の御用医師というありがたい尊称をいただいている私ですが、うつ病の特効薬的な捉え方をされて気軽に処方されている「選択的セロトニン再取り込み阻害薬 SSRI」に対しては疑問を抱くとともに、嫌悪感さえもっています。SSRIが発売されるやいなや、日本ではうつ病の患者さんが急増したんでしょうか?

SSRIという「うつ病の薬」、使用量も半端ない増加だけど日本人ってそんなに病んでいるの?

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http://www.atmarkit.co.jp/

精神科・心療内科を標榜する医療機関もこんな感じで増加しています。

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精神科クリニックバブルははじけるか?

全く関係のない数字をグラフ化して相関関係にあるように装うことは可能ですが、医療機関数とそこで使用される薬の販売額ですから、関連性があることは否定できません。

うつ病患者さんの増加はどうなっているのか?

今まで「自死」という最悪の結果を招くうつ病の怖さ、早期発見の重要性をブログに書いてきました。しかし、果たして本当にうつ病と診断されるの患者さんが急増しているのは事実ですが、過剰診断ってことは起きていないのでしょうか?

精神疾患のデータ–専門的な情報–メンタルヘルス–厚生労働省

紫の部分がうつ病と診断された患者さんですが、増えてはいますけど、うつ病関連薬の増加傾向とは明らかな違いがあります。

古典的なうつ病治療薬とSSRIの価格の比較

比較的コントロールが簡単であり、古くからある薬なので副作用も十分知れ渡っているために、精神科・心療内科を専門としない医師でも使い易い薬として「デパス」というものがあります。この薬の薬価は0.5mgでたったの9.00円(薬価は銭の単位まで表示されます)。一方、SSRIで新薬とされている「レクサプロ錠」の薬価は212.00円であり、値段はデパスの約24倍にもなります。

効果があれば薬の値段は高くてもしかたありませんし、稀な疾患に使用されるために大量生産ができない薬ならば値段が高くなってそれはそれなりに納得できます。しかし、増加傾向にあるうつ病患者さんは稀な疾患に罹患しているわけではありませんので、SSRIという画期的?な高額な抗うつ剤の登場がうつ病関連薬の市場規模を拡大していると考えるのは穿ち過ぎでしょうか?

SSRIの副作用が原因とされる事件

「パキシル」というSSRIがあります。薬価は10mgで105.60円。デパスが0.5ミリなんで10ミリなら高額になってあたりまえじゃないの?という素朴が疑問を持つかもしれませんが、成分が全く違うのでミリ数で強さや価格を比較することはできません。

このパキシルでこんな問題を提起されています。

鬱病(うつびょう)治療のため、「パキシル」といった抗鬱薬を服用した患者の中に、服用後に暴力をふるうなど人を傷つける恐れのある他害行為の症状が表れたという報告が平成16~20年にかけて計42件、厚生労働省に寄せられていたことが6日、分かった。殺人事件を起こしたケースもあり、投与にかかわった医師らからは薬の副作用の可能性を指摘する声が出ている。厚労省は近く、専門家から意見を求めるなど因果関係の調査に乗り出す。

2009年3月7日 産経新聞

「ルボックス」というSSRI薬もあります。

1999年、コロンバイン高校で全米を震撼させた銃乱射事件。 17歳と18歳の同校容疑者は、ライフル乱射で生徒12人と教師1人の計13人を殺害。 主犯格の少年は1年前から合計10回、医師からSSRIのルボックスを処方されていた。事件の3カ月前から服用量が増加。自殺後、解剖により体内から大量のルボックスがみつかった。

「うつを克服する最善の方法」(生田 哲著)。この事件はご存知の方も多いと思われます。

両者ともにうつ病あるいは精神疾患が悪化して事件を起こしたとも、考えられます。しかし、薬の添付文書にはこのような記載が加えられるようになっています。

因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている

パキシル添付文書

厚生労働省のSSRIに対する考え方

増加傾向にあるうつ病に対して、厚生労働省は啓蒙活動を行うとともに、有効な薬剤をドラッグラグが起きないようになるべく早めに承認しようとしています。しかし、暴力的な事件を引き起こす可能性のあるSSRIに対してはこのような意見でまとまっています。

パロキセチン塩酸塩水和物2件とフルボキサミンマレイン酸塩2件において、医薬品と他害行為との因果関係が否定できないものと評価され、これら以外の報告については、情報不足等により因果関係は不明と評価されています。因果関係が否定できないと評価された副作用報告を含め、精査された副作用報告の多くが、躁う病患者や統合失調症患者のうつ症状、アルコール依存症等の併存障害を有する状況において、SSRI等を処方されたことにより、興奮、攻撃性、易刺激性等の症状を呈し、他害行為に至ったか、あるいはその併存障害の進展により他害行為が発生したことが疑われ、SSRI等を処方する際には患者の背景等を十分に踏まえ、躁うつ病の患者、統合失調症の素因のある患者などの併存障害を有する患者には、慎重に投与することが必要であると評価されています。

平成21年5月8日薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会議事録

因果関係ははっきりしないけど、患者さんの状況をよく踏まえて処方しましょうね、というふうに読み取れます。

SSRIなんて新薬を使用しなくても、今までは古典的な抗うつ剤で治療ができてきたのですから、医療費高騰に拍車をかけるような薬を少なくとも精神科及び心療内科医の専門医以外は処方するべきではないと考えます。一方、医師でもないのに薬を自分でコントロールすることを薦めるような発言をするトンデモ系議員もいます。

山本太郎議員、精神科の薬を飲んだふりして吐いてはいけませんよ❗

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山本太郎 れいわ新選組代表・衆議院議員は元俳優で知名度があることから、よくも悪くも活動・発言が注目されがちです。芸能人に寄ってくる人たちの中には悪い人もたくさんいます。政治家は言わずもがな。元芸能人の政治家ともなれば・・・山本太郎先生の医療に関する発言におかしな点が多々見受けられますので注意喚起として記事にします。

更年期障害の方はご注意、安易にSSRIを服用すると骨折しやすくなっちゃうよ❗

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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