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花粉症対策で「鼻うがい」というのがあるけど、安全性に少々疑問あり❗

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花粉症の季節になりました。花粉症対策の薬って眠くなるからイヤって方も多いようです。花粉症対策として花粉を吸入しないようにマスクを着用すること(アレルゲンの除去と回避)がガイドラインで推奨されています。でも完璧に花粉の侵入を防ぐとなると防毒マスク状態で外出しなければ⋯。

健康番組やネット上で「鼻うがい」という鼻炎対策方法を見かけるけど⋯

吸い込んでしまった花粉を追い出す?方法として「鼻うがい」という療法がメディアで取り上げられています。細かいことを言えば花粉が鼻粘膜に付着した瞬間にアレルギー反応は起こり出すんで、後で鼻の中を洗い流しても鼻がムズムズするとか鼻水だだ漏れは防げないような気がしますが、ひとまずそれは置いておきますね(笑)。

鼻づまりがスッキリ!開通SP___ためしてガッテン_-_NHK

http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20160217.html

花粉症対策として「鼻うがい」を絶賛する声もあるんで、最近急敵にが増えているような感じがしないでもない私のブログなんで「鼻うがい」は鼻づまりや鼻のムズムズ感、鼻の中に溜まった鼻水を強制的に排出する(デトックスじゃないよ❗)方法として効果的であることは否定はしません。

でもね〜、厄介な報告を見つけちゃったんです。

「鼻うがい」が原因と考えられる死亡例が2件❗

イヤなもん見つけちゃったんで、報告せざるおえない状況なんです(別に報告する必要なし、って意見の方はここで読むの止めてね)。

鼻うがいが原因と考えられる死亡例

水道水で鼻うがいをしていた女性、脳を食べるアメーバに感染して死亡

実は安易な鼻うがい方法で死亡した方が米国で2例報告されています。2011年に鼻うがい (Nasal rinsing) を行ったために脳炎を引き起こし死亡してしまったことをFDAの「Consumer Health Information」で警告しています(http://www.fda.gov/ PDFになっていますのでクリック時にご注意くださいませ)。鼻炎の治療方法として米国では医療機関が「鼻うがい」を推奨しています。使用する液体は滅菌したものを使用し、容器も細菌に汚染されていないものを使用することが必要です。米国の死亡例は水道水を使用したために「アメーバ性髄膜脳炎」に感染したのです。このアメーバ性髄膜脳炎(Primary Amebic Meningoencephalitis)は「Naegleria fowleri 」と呼ばれるバイキンに汚染された水を使用すると、鼻から嗅神経を伝わって脳に到達することで発症します。

万が一、アメーバ性脳炎になってしまうと、最悪の場合は一週間以内に死亡に至ることが知られています。一般的には湖などで泳いだ時に感染すると考えられていますが、鼻うがいでも感染しちゃうのです。「Naegleria fowleri 」を口から飲み込んでしまった場合は胃の中の胃酸で分解されてしまうので問題にはなりませんが、鼻から水が入ることは人類としては想定外のことなので、安易な「鼻うがい」が原因で死亡に至ってしまったのです。

簡単にできる鼻うがいの危険性

「鼻うがい」って「鼻が痛いから嫌だ」「鼻がツーんする」「鼻から水を入れるなんて怖い」からやりたくない、考える方が多いと考えます。インフルエンザに感染しているかを調べる検査は鼻の穴に細い綿棒を差し込む必要がありますが、検査を拒否する方もいらっしゃるくらいですから。

鼻うがいに関する質問が本日何人か方に尋ねられたのですが、どうもNHKの「ためしてガッテン」でこの鼻うがいの簡単なやり方を先日放送したようです。それを基にした記事がネット上で拡散していますが、水に塩を加えて食塩水を作って、刺激が少ないように37度くらいに保ったものを使用するように記されています。しかし、鼻うがい用に水道水を滅菌していない容器に37度で作り置きしておくと雑菌が繁殖する可能性が大きくなります。人体に悪さをするバイキン類は長い進化の歴史で、人間の体温付近で繁殖する遺伝情報を得てきたので、この手作り食塩水を体温に近づける方法はかなり危険です。

簡単・安上がりって言葉に誘われて鼻うがい専用水を手作りすると⋯

アメーバ性脳炎の原因菌である「Naegleria fowleri 」自体は日本ではほとんど見かけることのないバイキンです。日本の水道水に含まれる可能性は限りなく0と考えて問題ありません。しかし、簡単・安上がりという言葉に惹かれて手作りの鼻うがい専用液を作成し、医療的には清潔ではないと考えられる容器に保存することによって、脳炎でなくとも副鼻腔の感染症を起こすことが考えられます。もしも鼻うがいを試してみようとお考えの方は市販されている鼻うがいキットを使用することをお勧めいたします。

そんな手作り擬似医療品より、花粉症の方は医療機関で服用薬あるいは点鼻薬を処方してもらう方が安全です。ちなみに鼻への刺激がかなり少ない点鼻薬もありますので、お近くの医療期間にお尋ねくださいね。しかし民放の健康番組よりNHKの「ためしてガッテン」、結構リスキーな内容を放送するなあ⋯NHKのボトックス治療は間違いだらけ?!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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