fbpx

低身長の原因が母親の愛情不足だって❗なんでも母親の問題にするのは止めようよ❗

更新日:

「僕が背が低いのはママの愛情が足りないから?」

なんてことをお子さんに言われたら母親はどう答えますか?

母親の愛情によって子供の身長が決まる??との医学的な説は限りなく怪しいぞ❗

低身長は母親の愛情が足りないから

って限りなくニセ医学に近いヘンテコな情報が出回っています。

子供の背が低いのは母親の愛情が足りない説はある状況へ極端なフォーカスを当てた意見であり、世の中にかなりの誤解を与えるので、「低身長母親愛情欠乏説」がどんな点で変な考え方であるか説明してまいります。

子供の背が低いのは愛情遮断症候群が原因❗

医師が書いたある記事で愛情遮断症候群が子供の低身長の原因の一つである、と記されています。通常、使用される愛情遮断症候群は被虐待児症候群の一つです。

愛情遮断症候群が原因で低身長になってしまう場合は、事件沙汰になるような親のネグレクトによるもの

であり、常識的な愛情を持って子育てをすれば、お子さんが低身長になるわけではないのです。そんな一部の医学知識・医学情報で「お子さんの背が低いのはお母さんの愛情が足りないからです」と読み取れるような記事を素人でなく、医師あるいは医療関係者が書いていることに驚きます。

s5602039_pdf

愛情遮断性小人症の内分泌学的病態に関する研究」(神奈川県立こども医療センター 諏訪城三著)より

病的なネグレクト(精神疾患や異常性格の場合が多い)で子育てをすれば、そりゃ十分な食事も与えないでしょうし、背を伸ばすホルモンの分泌も乱れた生活で十分でないでしょうし、病気の場合も放置されますので、成長しない=低身長になります。なお愛情遮断症候群は生まれてから6歳くらいまでのネグレクトが原因と考えるのが一般的です.

背の高さを気にしだす中高生を持った母親が「私の背が低いのはお母さんの愛情が足りないからよ」なんてホザク子供は放っておきましょう❗

経済的な格差が身長格差を生むという話も変だよ❗

「母親の愛情が足りないから背が低くなっちゃう」は極端な状況を面白おかしく取り上げた問題ある記述と考えます。経済格差が子供の身長に関係する説は異常なネグレクトをする親の場合は精神的・肉体的な問題を抱えているから所得が低い⋯だから愛情遮断症候群が起こる場合はありえます。

しかし、単に親がお金持ちならば子供の身長が高くなるとの説はどうでしょう。「私の身長が低いのはパパの稼ぎが悪いからよ」なんて子供に言われたら速攻で張り倒しましょう❗(警察に通報される可能性があるんで、やめとこうね)。

日本の研究では貧困層だと栄養が不足する → 入院するような病気になる → 低身長と関連がある 

との論文があります。しかし、この論文は0歳から4歳の子供の貧困が身長にどのような影響を与えたかについて述べらていますので、貧困は低身長の原因の一つである、とはいえても高所得層の子供は背が高い、とは言えないのです(子供の健康と貧困の経験 日本福祉大学 健康社会研究センター より)。

お隣中国では背が高いほど給与が多い、って不思議な話もあります。

中国で「身長差別」深刻化、高いほど高給に=農村住民や南部___:レコードチャイナ
http://www.recordchina.co.jp/a1109.html より

この場合、背が高いから高収入であり、生まれてくる子供の背も高い可能性もあるんで、経済事情と身長は有意に因果関係は無いとは言えなくなってしまいますね(親の背が高いと生まれてくる子供の背も高くなる傾向はありますが、あくまで傾向であることにご注意ください)。

身長が高い、低いを決める因子は多すぎでまだまだ未解明です

人間の身長に影響すると考えられる遺伝子は80パーセントは世代間で受け継がれます。しかし、その遺伝子群は697個もあり、順列組み合わせなどを考慮すると膨大な数になってしまいます (「Defining the role of common variation in the genomic and biological architecture of adult human height」Nature Genetics 46,1173–1186 より)

Access___Defining_the_role_of_common_variation_in_the_genomic_and_biological_architecture_of_adult_human_height___Nature_Genetics

つまり、どの遺伝子が人間の身長を決定しているかはまだ未解明であると考えるべきです

今回のブログで少なくとも母親の愛情不足で子供の背が伸びない、ってのは間違いであることはご理解できたと思います。

親の愛情、特に母親の愛情や子育てに子供の健康問題・精神面問題の原因を求める風潮ってどうにかならないでしょうか?生まれてた時から子育てをやり直す精神科領域の治療方法を取り入れた異常な事件を起こした元少年だって、まともな大人になっているか、かなり疑問ですしね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・発熱外来

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・木・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック