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薬を飲まないと称している薬剤師さんのジェネリックに関する記事は疑問点多数⁉

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「薬剤師は薬を飲まない」 (健康人新書) を書かれた薬剤師の宇多川久美子さんの発言を定点観測していた私ですが(もちろんトンデモさんとしての観察)、一般社団法人国際感食協会という立派なお名前の団体の代表理事でもある宇多川久美子さんの記事やっぱりヘンです。

そのタイトルは「 これを聞いたら絶対に飲まない!『見た目は国産、中身は中国産。』悲しいジェネリックの真実」 (https://kanshoku.org/2016/09/05/generic/) となっていて医療不信&嫌中国の世情に乗っかった素晴らしいタイトルです。

トンデモ系とされる薬を飲まない薬剤師さんの記事、勘違い多すぎ❗

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http://www.jga.gr.jp/general/about/faq01/

先進国ではこんなにジェネリックが使用されています。

なんでそんなにジェネリックをいじめるの?

加速度的に増加している医療費の原因の一つが薬の値段です。同じ性能なら安いに越したことはない、との考えで行政はジェネリックの使用を推進しています。しかし、宇多川久美子さんは記事中で以下のように悪意を持って書かれています。

「ジェネリック」というと聞こえがよく、格好よく感じますが、医療者の間では「ゾロ薬」とも呼ばれます。先発薬の特許切れを狙ってゾロゾロと姿を現すからです。

もちろん昔は「ゾロ」と呼んでいて2流品的な解釈を医師もしていました。ジェネリックを作っている製薬会社も零細企業が多く、安定的に薬を配給できないことが多かったので、多くの医師が採用しなかった時代もあります。しかし、今ではジェネリック専門の大製薬会社もあり、欠品なんてことは滅多に起こらなくなっていますので、医師も安心して積極的に処方しています。

ここで宇多川久美子さんはジェネリックのシェアについてかかれています。

ジェネリックのシェアは6割以上を占めています(宇多川説)

ジェネリックのシェアは56.2パーセント(厚生労働省)

厚労省のサイトによると目標値を2020年まで8割りとしていますが、2015年9月の時点では56.2パーセントと公表されています(後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について)。

まあ、重箱の隅をつつくようなことではありますけど、データの正確さが記事の信用性を高めるわけなんで、意地悪っぽく指摘して起きます。

さらに宇多川さんは、安価なジェネリックは安全なのかとの疑問を呈しています。

ジェネリックは安全ではない(宇多川説)

ジェネリックは安全(厚生労働省)

彼女は会社によっては海外でジェネリックを製造して、パッケージ化だけを日本国内で行っている会社があるから「危険」との論法のようです。しかし、ジェネリックではない特許期限有効中の先発品だって、まるまる海外で製造してパッケージ化されている薬なんていくらでもあります。

べつに韓国や中国を庇うわけではないのですが⋯

嫌韓反中の流れに乗ったわけではないでしょうけど、宇多川久美子さんはこのように述べています。

主要な輸入先は、韓国と中国です。韓国は中小企業の技術力が低いうえ、安全面への配慮が十分でない体質があります。

まあ、言いたいことは理解はできるんですけど、日本の製薬会社だって100パーセント中国や韓国を信用しているわけではありません。例えば有効成分の原料を中国や韓国で製造していた場合、ドイツで作ろうが米国で作ろうが輸入原材料に対する規格が設定されていますし、ジェネリックでも先発品でも規格に合格した原料・原薬しか使用できない決まりになっています。つまり不純物が混じりこんだような原料は使用できないのです、当たり前ですけど。

ジェネリックは怪しげな粗悪な中国・韓国製の原料を使用している(宇多川説)

怪しげな成分がジェネリックに使用されないようにチェックがなされている(厚生労働省)

ジェネリックの場合、有効成分が薄いんじゃないの的な解釈をする人もいますが、それも間違いです。原薬の純度は日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)の基準を守っています。

ジェネリックの本当の問題点はこれだよ

以前、こんなブログを書きました。

ジェネリックと先発品はまったく同じではありません

ジェネリックと先発品はまったく同じではありません

そこで先発品に限りなく近づけたジェネリックが開発されています。それに関して宇多川さんは以下のように述べていました。

ジェネリックを無難に選べればよい、という人には「オーソライズド・ジェネリック」というものもあります。

ここで「オーソライズドジェネリック」というあまり聞かない言葉が出てきました。これは先発品と全く同じ成分で同じ製法で作られるジェネリックのことですが、

宇多川さん、オーソライズドジェネリックって数種類しか発売されていないんですけど

懇意にしている薬剤師さんにジェネリックのことを気軽に尋ねよう的に書かれていますが、たった数種類の薬で救われる人ってどれだけ居るのか、かなり疑問です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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