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次回放送予定のガッテン「盲腸の真実」(仮)の内容を勝手に予想してみます!追記あり

更新日:

2月22日放送の「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」で糖尿病があたかも睡眠薬で改善する、としか受け止められない内容だったことに対して、謝罪をしたばかりのNHKガッテン。

舌の根も乾かぬうちに3月1日放送の「決定版!コラーゲン100%活用SP」でも、コラーゲンを食べるとお肌がプルプルなるなんで、まるでサプリ会社の広告のような内容で医療関係者にかなり強く批判されているNHKガッテン。

ネット上で翌週の番組内容を(仮)としながら、載せていますので余計なお世話的に放送内容を勝手に想像・妄想してみます。

飛ばしまくりのNHK「ガッテン」⋯予告から次回の放送内容を勝手に妄想⁉

2017年3月1日(水)に放送される内容は「突然の激痛!意外と知らない盲腸の真実(仮)」となっています。

意外と知らない盲腸の真実

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170308/index.html

次回のガッテンで取り上げる内容は

  1. 盲腸で手術を受けると、大腸ガンのリスクが高まる
  2. 無駄な臓器と思われてきた盲腸(虫垂)は免疫細胞の住処である可能性がある
  3. 盲腸を引き起こす意外な原因と早期発見のポイント

この3つの医学的情報を伝える様子です。タイトルと予告内容から、人騒がせなガッテンの放送内容をどんだけトンデモで構成していくのか、予想してみまーす。

ガッテンのサイトの下の方に「番組内容は予告無く変更になる場合があります」とありますので、その場合はご容赦くださいませ。

ガッテンは先週、先々週にこんなことをやらかしてくれました。

NHK「ガッテン」さま、トンデモ系ニセ健康情報はおやめくださいませ。

睡眠薬で血糖値をコントロール⁉NHK「ガッテン」がまたやらかしちゃいました❗

盲腸の手術を受けると大腸がんのリスクが高くなる❗

3月1日放送の「決定版!コラーゲン100%活用SP」でたった6人にコラーゲンを食べてもらってだけで、コラーゲンはお肌をプルプルにすると決定したガッテン、それじゃまるでサプリ会社の広告のあくまでお客様の個人的な感想ですレベルと超えられないと気づいたらしい。そこで今回は海外で40万人を対象にした研究で盲腸の手術を受けると、大腸ガンのリスクが高まる、との話を持ち出したことが予想されます。

前掲サイト内では、いま専門家の注目を集めている、と書かれています。が、残念ながら私は大腸の専門家ではありません。医師向け専門誌やサイトはちょくちょく覗いていますが、盲腸の手術が原因となって、大腸がんが発生するとの情報は知りませんでした。そこで、いろいろなキーワードで検索して、多分これかな、という論文を見つけました。

「An 18-Year Nationwide Cohort Study on The Association Between Diverticulitis and Colon Cancer.」(Ann Surg. 2016 May 17.)

この医学論文の内容はデンマークで44万5456人を対象に調べたところ、4万496人が憩室炎との診断がなされた。憩室炎と診断された人にがんの発生が多くみられた。これによって憩室炎の発祥は大腸がんの発生と強く関連があると考えられる。こんな感じの内容となっています。

ガッテンの今専門家の注目、ヨーロッパ、40万人、大腸がん発症リスクというキーワードから推測すると2016年5月に掲載されたこの論文じゃないかなぁ(ハズレていたらごめんなさい)。この論文は虫垂炎とは書かれていないし、盲腸の手術をしたとも書かれていないし⋯ハズレかな。

大腸を専門としている友人に尋ねようと思ったら「ガッテンは医療現場に混乱を招くので、そんなの相手にするなよ」との返事であることは明らかなのでやめといて、勝手に妄想を続けます。

まず、虫垂炎は憩室炎ではありません。一般的に憩室炎の場合は薬などによる保存的治療が主ですが、場合によっては手術をすることもあります。ガッテンの予告では「盲腸で手術を受けると」「盲腸(虫垂)」と書かれているように、盲腸と虫垂は別物と取り扱う場合と同じ意味で取り扱う場合があります。このガッテン風表現方法を考慮すると、盲腸の手術を受けると大腸がんのリスクが高くなる、との話は「盲腸憩室の手術を受けると」の可能性が出てきました。もともと大腸憩室があると、大腸がんがある場合が多いと考えられていますからね。

ズバリ、次回のガッテンは盲腸憩室炎があって手術をした場合、将来大腸がんのリスクが高くなると無理くり話をもっていくのではないでしょうか?

すでに盲腸(虫垂炎)の手術を受けた人はどんな気持ちでガッテンを見ることになるのか、全く気にかけないガッテンになってしまいます。

追記 ニセ医学に対する鋭い指摘で有名なNATROM さんより、指摘がありました。ガッテンが参考にする話は https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25710790 であろうとのこと。確かにこの論文は台湾の研究者によって虫垂炎手術後に大腸がんのリスクをたかめることを報告しています。なぜか検索時に「海外=欧米」と早合点した私のミスのようです。ご指摘いただいた論文の方が直接大腸がんと虫垂炎手術の関係が書かれています。この論文においても 虫垂炎が大腸がんリスクを増加させるかどうかを証明するにはさらなる研究が必要と書かれています。この関連性についてはさらなる検証はまだのようですから、ガッテンは研究途上であっても番組を構成してしまう点で問題ありと考えます。2017年3月6日14:39

盲腸(虫垂)は免疫細胞の住処である⁉

盲腸の手術で大腸がんのリスクが高まるだけでは45分は持たないと考えたのか、盲腸手術(本来は虫垂の手術)を受けた場合、免疫機能に問題が発生するかのような内容を放送する様子です。

この話は以前から指摘されています。Natureに掲載された「Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch」(Nature Communications 5, Article number: 3704 2014)によって虫垂には免疫に関連しているTリンパ球が集まっていて、腸内細菌叢にも影響を与えていることを明らかにしています。私もこの話は以前ブログでお伝えしました。

無用の長物の代名詞「虫垂」は実は重要な働きをしていた⁉

無用の長物の代名詞「虫垂」は実は重要な働きをしていた⁉

盲腸(虫垂炎)になったら、取ってしまう、それが当たり前でした。現在は薬物療法を行い、改善がみられない時には外科手術という流れです。そんな虫垂ですが実は重要な役割があるのでは?という論文が出てきています。今まで存在価値がないと思われてきた臓器の扱いが激変する可能性があります。

ちなみにこの論文は日本人によって書かれていますので、ひょっとすると執筆者ご自身がガッテンに登場する可能性も指摘しておきますね❗

元ネタは大阪大学のプレス発表「無用の長物と考えられていた虫垂の免疫学的意義を解明」を使うんじゃないかな?この予想は当たると思います。

これも虫垂炎の手術を受けてしまった人は免疫機能が落ちると不安な毎日を送ることになり、ガッテンの無神経さが感じられる内容になってしまいます。

なぜガッテンの医療情報は臨床現場に混乱を招くのか?

擬似健康情報番組「ガッテン」はNHKで放送されています。多くの人はニュースの信頼度はNHKが一番と思っているでしょう。さらに今ではBSによって全国どこでも一般のテレビ番組を視聴することができますが、昔は僻地(ポリコレ的に使用していいのか不明)ではNHKしかリアルで見ることができなかったのです。歌手や俳優の方はNHKの番組に出演することによって、全国的に認知されたと考えていたくらいです。そのように信頼度が高く、多くの人が視聴しているNHKですから、影響力といったらネットでさえ敵いません。

いくらバラエティ色を強くしても「この健康法はNHKが言っていたので正しい」と考える人が多数です。当院のような一般のなんでも診療するかかりつけ医でさえ先日は「糖尿病なんで睡眠薬処方してください」って人がいましたから。

今回のガッテンの放送内容を予告から推測する試み、外れている可能性も大きいのですが、前もってある程度の知識を得てから視聴するとNHKの放送内容を厳しい目でチェックできます。ぜひ、ご利用くださいませ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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