五本木クリニック院長ブログ

キスでアナフィラキシーショック!!でも、事前のアレルギー検査は無意味ってホント!!??


■ピーナッツのアナフィラキシーショックはキスでも発症!!

食べ物のアレルギーの中でもピーナッツによって引き起こされるアナフィラキシーショックは致命的です。海外では重度の

◎ピーナッツアレルギーであった女性がピーナッツバターを食べた男性とキスをすることによってアナフィラキシーショック

を起こした例が報道されています。


http://www.cosmopolitan.com/sex-love/news/a59749/myriam-ducre-lemay-peanut-allergy-death/ より。これは20歳の女性の話ですが、北海道立衛生研究所食品薬品部薬品保健科長の資料によれば15歳の少女も同じようにピーナッツアレルギーを持っていたために、ピーナッツバターを食べていた彼氏とキスをして、数日後に死亡するという症例が報告されています。

昨年11月にカナダで、重度のピーナッツアレルギーをもつ15歳の少女がボーイフレンドとのキスの後にアナフィラキシーショックを起こし、数日後に死亡するという事故がありました。報道によると、ボーイフレンドはキスする前にピーナッツバターを食べていたとのことです。キスで食物アレルギーが起こるとは予想外のことでした。

http://www.iph.pref.hokkaido.jp/charivari/2006_02/2006_02.htmより

この記事にあるようにもしもピーナッツアレルギーを持っていたとしても、キスする相手が事前にピーナッツを食べていたかどうかを確認することは現実的ではありませんので「予想外」であると言えます。

そのようなことがないように、事前に自分がどのような食物アレルギーがあるかを交際相手に伝えておくという方法もあります。また、自分がどのような食物アレルギーがあるかを検査しておくとく方法もありますが・・・これがあまり当てにならない、って話があります。

■アナフィラキシーショックを防ぐための事前の検査は無意味?

血液検査などで事前に自分のおこさんがどんな食べ物に対してアレルギーを持っているのか?それを明らかにしておけばアレルギーを起こすこともないし、アナフィラキシーショックを起こすことも無いのではと考えてしまった親御さんもいらっしゃるでしょう。日本でもアナフィラキシーショックによる死亡者は年間50人以上います。


ファイザーのサイトより(http://allergy72.jp/anaphylaxis/what.html)。

アレルギーあるいはアナフィラキシーショック予防のためにプリック検査や血液検査を事前に行ってもあまり当てにならない、との医学論文があるんです。
「Characteristics of tree nut challenges in tree nut allergic and tree nut sensitized individuals」(Ann Allergy Asthma Immunol. 2017 Mar 22)では、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツなどに対するアレルギー検査を行いました。いくら検査によってアレルギーがある、と判定されても実際に食べてみてアレルギー反応がおきるわけではないことが書かれています。

さらに、この研究ではピーナッツアレルギーを持っている人だといって、その他のナッツ類に対するアレルギーがあるとは限らない(ほとんどない)ことが判明しています。万が一、ピーナッツアレルギーがあるからといって、アーモンドとかのナッツ類に対してアレルギーがあるとは言えない、ってことです。

ここで一つ素朴な疑問があるのです。この医学論文を書いたChristopher Couchさんには大変申し訳無いことなんですが

◎ピーナッツって木の実ではなく、マメ科の植物じゃありませんでしたっけ?

アーモンドはバラ科、ヘーゼルナッツはカバノキ科、ピスタチオはウルシ科で木に成る実です。一方のピーナッツはマメ科ですから、なぜいまさら「ピーナッツアレルギーがあるからといって他のナッツ類に対してアレルギーがあるわけじゃない」なんて書いちゃったんでしょうか?先日も乳児にハチミツを食べさせて死亡するという痛ましい事故がありました。

蜂蜜だけじゃなくてこんな中毒も注意が必要だよ!!

なかにはそんなこと知らなかったの的な意見もネット上で散見しましたが、食物アレルギーのプロでさえ知らなかったようなこともあるんですね。

■食物アレルギーを防ぐためには

アナフィラキシーショックを起こしやすい食べ物として日本ではソバ、海外ではピーナッツが有名です。しかし、前掲の論文にもあるように事前に検査をしていたとしてもそれが確実にアレルギーを起こす食品であるとは限りません。子供の場合は初めて食べる食品で蕁麻疹等の症状が現れたら、医療機関を受診して検査をすることが頭に浮かびます。しかし、血液検査等を行っても確実にその食べ物がアレルゲン(アレルギーの原因物質)と特定されるわけではないことになるんです。確実に診断を下すためには食物経口負荷試験といって、疑わしい食品を少しづつ食べてもらう方法がありますが・・・検査中にショックを起こした場合を考えると一般の医療機関では厳しく、救急時に対応できる大病院での検査が必要となります。

↑ページTOPへ

関連記事

妊娠中のアセトアミノフェンとADHDの関係、妊婦さんへの薬の処方は医師泣かせですイメージ

妊娠中のアセトアミノフェンとADHDの関係、妊婦さんへの薬の処方は医師泣かせです

■妊婦さんに安全な薬ってあるんだろうか? 通常の診療を行なう上で注意を怠ってはならない事として、女性の場合は妊娠しているか、否かです。万が一、胎児に影響を悪い影響を与える可能性のある薬を処方してしまったら、妊婦さんも生ま … 続きを読む

偽医療・ニセ医学・の典型「ホメオパシー」とはどのような治療方法か?その2 計算してみればわかるインチキ医療イメージ

偽医療・ニセ医学・の典型「ホメオパシー」とはどのような治療方法か?その2 計算してみればわかるインチキ医療

■ホメオパシーに使われるレメディーの非科学レベルをこんな例えで説明してみます ホメオパシーにはレメディーという不思議なものを治療に使用します。レメディーは病気の原因となっている物質をそれはそれは薄めに薄めたものを使用する … 続きを読む

あのカネボウの白斑被害が集団訴訟になったが、当院での治療結果は?イメージ

あのカネボウの白斑被害が集団訴訟になったが、当院での治療結果は?

■無責任な態度だったカネボウへの怒り 女性にとって憧れの美肌を実現する美白化粧品であるカネボウのラインナップによる白斑被害。当院でもたまたま他の病気で通院していた方が被害にあってしまいました。患者さんがカネボウに問い合わ … 続きを読む

ベストセラー「医者に殺されない47の心得」のガイドブック その1 素直に読んではいけません 追記ありイメージ

ベストセラー「医者に殺されない47の心得」のガイドブック その1 素直に読んではいけません 追記あり

■正しいことを言ってる部分も多いのですが、明らかな間違いが・・・近藤誠センセイの著作 「医者に殺されない47の心得」という本が31万部を超えるベストセラーになっています。先日私も書店で平積みで並んでいたこの本を手にして読 … 続きを読む

偽医療・ニセ医学の典型「ホメオパシー」とはどのような治療方法か?その3 英国王室御用達、どっからそんな話が?イメージ

偽医療・ニセ医学の典型「ホメオパシー」とはどのような治療方法か?その3 英国王室御用達、どっからそんな話が?

■ホメオパシーは英国王室御用達って本当かよ?? ホメオパシーは全く非科学的なニセ医学であることを二日に渡って述べてきました。「ホメオパシーは英国では王室も取り入れている、つまり英国王室御用達なんだ」とホメオパシーを広めて … 続きを読む