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アデノウイルス性尿道炎、この検査が早く保険適応されることを強く希望❗

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先日、国立感染症研究所感染疫学センターの主任研究員である花岡希さんのお話を聞く機会がありました。

大学教授から研修医、そして私のような町医者を含めた勉強会でしたが、花岡さんの「アデノウイルス性尿道炎」のお話には興味のある人はメチャ興味があり、もちろん興味のない人としては全く興味のない話だったかもしれませんが

アデノウイルス性尿道炎は尿路感染症の今までの概念を破る❗

かもしれなと異常にはしゃぎまくった私ですが、複数の教授や病院の泌尿器科部長は「そりゃ面白い」と会の後もアイディアを出して、アデノウイルス性尿道炎の臨床上の意義を話し合いました。

多くの泌尿器科医がおおっ❗と反応「アデノウイルス性尿道炎」

ウイルスに感染しないための予防策としてワクチンがあります。

このアデノウイルスに対しても米国ではワクチンがあるのですが⋯使い方が非常に限定的なのです。これは米軍が兵隊さんにアデノウイルスに感染しないように、感染予防とワクチン服用時の注意を書いたものです。

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https://www.yumpu.com/en/document/view/47703246/adenovirus-vaccine-type-4-and-type-7-milvax

ワクチンを服用したらしっかり手を洗いましょうね、食事の前はしっかり手を洗うか消毒してね、トイレに行ったら手を合わないとダメだぞ❗ってなんだか幼稚園に貼ってあるポスターのようです。なぜ、こんなポスターがあるかというと⋯ワクチンを服用しても、アデノウイルスは28日間程度、排便中に存在してしまうからのようです。

アデノウイルスはワクチンが有効、でも問題点が多数

自分のアデノウイルスに対する免疫を付ける際に他の人にアデノウイルスを感染させないための処置として、このような注意が必要となってきます。そのためさらに使用法が簡便であるワクチンの開発を多分他社も密かに行なっているのではないでしょうか?後、注意なんですけど米国の兵隊さんが別にアデノウイルス性尿道炎予防のためにこのようなことを行なっているのではなく、いざ作戦行動開始って時に一般のアデノウイルス感染症にりかんしないためです。

横浜市感染症情報センターを参考とするとアデノウイルスはこんな症状が出ます。

アデノウイルスの1型、2型、3型、4型、5型、7型などによる気道炎は、人によって症状に差が見られます。鼻炎、咽頭 炎、扁桃炎などを起こし、発熱、咳や結膜炎が見られる場合もあります。3歳未満のこどもの溶血性レンサ球菌によらない浸出性咽頭炎については、アデノウイルスが主要な病原体です。喉頭炎やクループ、気管支炎、肺炎などを起こす場合もあります。ARD(急性呼吸器疾患)では、気道炎、発熱、疲労感、筋肉痛が 見られます。

プール熱も流行性各結膜炎も原因はアデノウイルス。このアデノウイルスは1〜51までの血清型があることが知られていますが、他に遺伝子型 (genotype) と呼ばれるものもあります。

なんでアデノウイルス性尿道炎になるのか?

アデノウイルスの「アデノ」は咽喉頭の英語の「adenoid」からきているように喉に感染することが多いです。また出血性膀胱炎の原因微生物としても知られています。喉付近と性器付近に棲みつきやすいウイルスですから、性行為が原因で感染することも多いことになります。

厳密には遺伝子の違いによってどのような感染経路をアデノウイルスは自己増殖の戦略としているのかは、まだまだ研究の余地があると考えますが、子供がプール熱に感染して、それが原因で不思議なことにお父さんがアデノウイルス性の尿道炎になる可能性も否定はできません。

臨床の場で経験する尿道炎なんだけど、原因である微生物が確認できないこと多数

泌尿器科を受診して尿道炎が疑われる場合、保険適用範囲内ですとクラミジアと淋菌の遺伝子を見つけるPCRという方法が取られます。これは患者さんの尿を使った検査なので、痛みが伴うような検査ではありません。今では尿道炎の原因としてマイコプラズマ(肺炎で知られている)やウレアプラズマが鑑別診断可能ですが、残念ながら保険適応外です(当院では行なっておりません)。

PCRでクラミジアも淋菌も見つからないけど、尿中の白血球が増えていると細菌感染、あるいはマイコプラズマ・ウレアプラズマである可能性が出てきます。マイコプラズマにしろウレアプラズマにしろ抗菌剤によって治療可能ですからある意味調べる必要がないと私は現時点では考えています。しかし、アデノウイルスとなると⋯特効薬はありません、どうしよう、どうしよう、と思っていたのですが、アデノウイルス性尿道炎って数週間で自然治癒しちゃうんです。

アデノウイルス性尿道炎のアデノウイルスを検出するのは困難

今まで私が尿道炎と診断して、クラミジアも淋菌も検出していないのに抗菌剤をひょっとしてマイコプラズマやごくごく普通の細菌をやっつけて治癒したと思っていた尿道炎が実はアデノウイルス性尿道炎だった可能性もあるので不要の薬を処方していたかもと反省しております。

でも、言い訳がありまして、アデノウイルス性尿道炎のアデノウイルスは国立感染症研究所とかの特殊なところでなければ検査できませんのでお許しくださいませ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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