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オッサンぬか喜び、飲酒で糖尿病を予防しよう⁉

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糖尿病と診断されて治療している人は300万人以上いると日本では言われています。

まず糖尿病あるいは糖尿病予備軍と言われた場合、生活習慣の見直しを行うことが重要です。飲酒をしている人は間違いなく主治医から飲酒量の制限を指導されるでしょうし、飲み過ぎの場合は禁酒するように言われるはずです。

糖尿病だと間違いなく飲酒を制限されるよね?

でもねえ

飲酒すると糖尿病になりにくい❗

という医学的な論文が存在します。

酒好きで健康診断で糖尿病と言われたオッサンは大喜び❗的な朗報なのでは?

一方で人生経験を積み重ねたオッサンは、そんなうまい話がそんじょそこら転がっているワケがない事も十分承知のはず。飲酒をすれば糖尿病になりにくいという研究結果とそれを糖尿病と診断されたオッサン(もちろん女性もね❗)はどのように解釈すれば良いのか、ちょっと考えてみましょう❗

確かに医学論文では飲酒は糖尿病の予防になるかも的結論になっているけど⋯

木曜日は休診日なんで、昨夜酔っ払いながらネットを彷徨っていたらこんな医学論文を見つけました。「Alcohol drinking patterns and risk of diabetes: a cohort study of 70,551 men and women from the general Danish population」(Diabetologia. 2017 Oct;60 (10) :1941-1950)、これはアルコールと糖尿病の関連性を調べたもので

週3-4回飲酒する人は糖尿病になりにくいという結果になっています

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まあ、そんな自分に都合の良いことがそうそうあるワケないと長い人生を経験してきた私を含むオッサンは考えるはずなんで、このアルコールを飲むと糖尿病になりにくい説をもう少し解析してみますね。

謎の言葉、男性は14ドリンク、女性は9ドリンク

前述の論文には男性は14ドリンク、女性は9ドリンクと謎の言葉が書かれています。論文をざっくり解説すると

・デンマーク人の男女70551人を対象として、飲酒と糖尿病の関連を調べた

・週あたりのアルコール摂取量を調査

・約5年間の追跡調査で男性859人、女性887人が糖尿病になった

・糖尿病にならなかった男性は週14ドリンク、女性は9ドリンクであった

・飲酒の習慣がある人は飲酒しない人より糖尿病になりにくかった

ってことになります。飲酒しない人より飲酒する人の方が糖尿病になりにくい、ってちょっと考えにくいのですけど、前述のグラフがU字になっているので、それを素直に解釈すれば飲酒しないより飲酒した方が糖尿病になりにくかったとの結論と解釈して間違いなさそうです。

そこで気になるのが男性は14ドリンク、女性は9ドリンク、という謎の言葉

このドリンクというのは飲酒量をアルコールに換算するときによく使われる用語で

1ドリンクがアルコール10グラムと定義されています

例えばビール(私はビールを飲みながらこの都合の良い論文見つけた)はアルコール度数は5パーセント、純アルコールに換算するにはそれに0.8を掛けることになっているのでビール500mlだと 500×0・05×0.8=20 純アルコール20グラムで2ドリンクということになります。私がこの論文を見つけた段階で500ml缶が3本空になっていたので、6ドリンクってこと⋯これでは糖尿病になっちゃうじゃん、もっと飲まなきゃ⁉あっ、そーだそうだ、週に14ドリンクだと糖尿病になりにくいのでした。ってことは

休肝日を週に2日設定して、ビール500ml×3本×5日間で計算すると30ドリンク❗

前掲のU字グラフから考えると、糖尿病のなってしまうリスクが急上昇してしまうことになります(泣)。

さらなる落とし穴があるんだよ❗飲食関連医学情報はくれぐれも注意が必要

まずこの医学論文が言っていることは

ほどほどの飲酒は糖尿病になるリスクを下げる

ということであって

糖尿病の人が飲酒をすれば糖尿病が治る、ということではない❗

ってことなのです。これ実はかなり重要なことであって、この論文をたまたま見つけた人が糖尿病の人は飲酒をすれば糖尿病が治る❗なんてことを言い出しかねない可能性が否定できないからなんです。そんなヘンテコなこと言い出す人いるワケないじゃん、ってこの論文をしっかり読んだ人は思うのですけど、実際にそんな例は多数なんです。例えば健康に良いとされている食べ物があって(これは病気の予防ってことですね)、その食べ物を食べるとがんが治る的なタイトルの健康本を書店でよーく見かけませんか?予防する食べ物と病気を治す食べ物は別物であり

がんを治すことをまともな医学論文で明確に証明された食べ物は存在しません❗

でも実際にはこんなに多数の本が出版されています。画像

Amazonで「がん 食事」で検索した結果です。これらの本はある食事方法あるいは食品を食べるとがんが治るかのようなタイトルがつけられています。繰り返します、ある病気にならないための食事方法(多くは偏った食材中心の食事)あるいは食べ物があったとしても、それらによって病気、特にがんが治ることはありません❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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