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科学的根拠に基づくと赤い肉や加工肉は健康に悪い。しかし、ある種のがんを予防する効果があるっぽい⁉

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何々を食べると健康になる、何々を食べるとがんになりやすい、中にはこんな食べ物をがんを治す等の話が世の中に出回っています。

がんを食べ物だけで治療するとの話は科学的根拠が無く、99.9パーセント眉唾と考えて間違いありません

健康的な食べ物に対する科学的根拠、これは非常に大事なことです

ベストセラーとなった津川友介先生の「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」を読んで目から鱗状態の方が続出していることは喜ばしいことだと思っています。

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世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 電子書籍の1798からお借りしました。ここでも加工肉は大腸がんと密接な関係があることが表記されています。津川先生の著作、待合室に完備してますのでグラフの使用お許しいただけますでしょうか?(笑)

以前から赤身肉や加工された肉製品は発がん性があるのでは、と様々な研究が行われきて、ハム・ソーセージ・ベーコン(私の大好物)は国際がん研究機関 (IARC) によってヒトに対する発がん性があるグループ1に分類されていますし、赤い肉もヒトに対しておそらく発がん性があるグループ2に分類されています(農林水産省サイト)。

死んだら棺にベーコンを添えると家族から宣言されているほど加工肉好きな私としては尊敬する津川友介先生に対して決死の覚悟で挑戦状を突きつけたいと考え、ベーコンの体に良い効果、あるいはベーコンががんの予防になることを科学的根拠に基づいて主張できうる論文を日夜捜索し続けました。そしたらあったんですよ

加工肉がある種のがん予防効果がある❗って医学論文

早速その論文「Red meat and processed meat intake and risk of cutaneous melanoma in white women and men: Two prospective cohort studies」(J Am Acad Dermatol. 2018 Apr 23. pii: S0190-9622 (18) 30635-2)をご紹介します。

ちなみに私は津川友介先生のファンでもあり、著作が出た時にこんな余計なお世話もしています。

「白米は体に悪い」記事、私ならこのように解釈するけど。

「白米は体に悪い」記事、私ならこのように解釈するけど。

江戸時代、江戸煩いと呼ばれた脚気の原因はビタミンB1欠乏でした。大正時代には、結核と並ぶ二大疾患だった脚気の原因がビタミン欠乏だとわかったのは1910年代で、死亡者が少なくなったのは1950年代とごく最近のこと。糖質制限ブームもあり白米は悪者にされがちですが「白米は体に悪い」説の正しい読み方を解説します。

赤身肉や加工肉はがんの予防効果がある⁉

今回のブログ、あくまで洒落の範疇であることをご理解の上読み進んでくださいませ。私が見つけた健康に悪いと科学的根拠をもとに国際がん研究機関に目出度く認定されているベーコン等の加工肉、そして赤身肉が悪性黒色腫発症を予防するとの医学研究論文はざっくりこのような内容となっています。

  • 研究者はハーバード大学の公衆衛生グループ (メルアドで確認したところ、筆頭の研究者はハーバードの関連施設所属。著者として一番最後に書かれている偉い人はブラウン大学所属のようです)。
  • 看護師さんの健康データを追い続けているNurses’ Health Study(NHS)と男性医療従事者を対象とした大規模前向きコホート研究Health Professionals Follow-up Study(HPFS)を解析
  • 対象者の数は女性75263人、男性48523人
  • 調査期間中に女性で悪性黒色腫になった人は679人、男性639人でした

その結果、ベーコン等の加工肉・赤身肉の摂取量は悪性黒色腫の発症と逆相関関係にあった❗と今までの医学常識を覆すものだったのです❗

反論される前に自分で反論します(笑)

今回のベーコンがある種のがんの予防になるという自分の都合の良い医学論文を見つけた私ですが、たった一つの論文によって「ベーコンって健康的な食材なんだよ❗」なんてことは申しません。自分で火をつけておきながら油を注ぐのではなく、消火作業を開始いたしますね。

この医学論文はいくつの問題というか課題が残されています

十分すぎるサンプルサイズを持ったNurses’ Health Study(NHS)の調査方法は郵送あるいは電話回答であり、本当の食生活を十分に反映したものでない可能性があります。さらに職種が夜勤や日勤がある看護師さんという限られたものであり、生活リズムも一般人と比べると偏りがある可能性が考えられます。

もう一つのサンプルであるHealth Professionals Follow-up Study (HPFS) は男性のデータであり、医療従事者であるということを考えると、彼らは一般の方より健康に関する知識があることが予想されますので、日頃から悪性黒色腫の予防に関心が強いために紫外線予防をしていた傾向が強かったことも考えられます。

さらにこの医学論文はこんなことが書かれています⋯LIMITATIONS:Findings may have limited generalizability, as the cohorts were limited to white health professionals.日本語訳は各自お願いしたいところです(海外だとこのようなこと良くあるんですよね)。

このような対象となったデータにあるバイアスがかからない事を避けるために、この赤身肉・加工肉が悪性黒色腫を予防する説はコクランなどによって、他の研究データを含めた解析が必要だと考えます。

悪性黒色腫が予防できても大腸がんのリスクが高まったら嫌ですよねえ

予防できると考えらえている悪性黒色腫は日本人の場合、診断される方は一年間で4000人程度。一方で加工肉や赤身肉が発症と関連していると考えられている大腸がんの場合は男性で7万人程度、女性で6万人程度です。

つまり

悪性黒色腫4000人VS大腸がん10万人であり、どっちの方が罹りやすいので、予防方法があるのであればどっちを予防するべきかは火を見るよりも明らかですね。

さらに悪性黒色腫を予防する方法としてまず挙げられるのが紫外線からの防御。さらに過度な日焼けを避けることも有効です。悪性黒色腫を予防するために毎日毎日ベーコンを食べるよりは簡単ですよね。さらに悪性黒色腫を予防しようと赤身肉をモリモリ毎日食べ続けると、悪性黒色腫にはならなくても、大腸がんになるリスクが格段に上昇してしまいます。

結論:加工肉や赤身肉は健康に良くない

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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