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牛にも白斑症状?美白化粧品とは関係あるわけないけど。

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カネボウの美白化粧品による白斑症状が世間を騒がせ、数か月が経過しました。そんなとことに白斑をwhite spotsと検索して世界中の文献を探していたところ、妙なニュース映像を発見しました。

海外のメディアで流れていた

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http://www.channelnewsasia.com/

日本の一部の地域で牛の毛の一部が白くなっており、それを「White spots⋯・ cattle 」というタイトルで流しています。「⋯」の所には日本の県名が入っているのですが、上記の映像が流れた後に原発を取材した映像が流れます。

日本人のインタヴューも挿入されているのですが、どう見てもある方向に誘導しようとした編集に感じられ不快感を抱きました。

やっぱり関連つけをした意見が出てきた

放射能により牛に白い白斑ができたということを主張しています。しかし、本当でしょうか?もともと野生の牛に白斑が出現することは知られているそうです。「在来牛に白斑毛が存在している!」という記事を見つけました。(日本犬小型研究所 ・ 縄文柴犬より)その遺伝子が家畜として飼育されている牛に出現することは当然予想されます。

このニュースでは何頭の牛の中に、何頭白斑をもつ牛がいるのかを全く報道していません。しかし、今回のカネボウの白斑被害を福島原発に関連付けた記事もネット上にはありました。ということは3つの可能性が考えられます

  1. 原発事故により牛と人間に白斑が表れた
  2. 牛もカネボウの美白化粧品を使用していた
  3. 牛も人間もカネボウの美白化粧品を使用して、更に放射能を浴びた

1はカネボウ化粧品の使用と白斑はかなり強い関連性がありますので、ほとんど原因と結果と考えていいので今現在、日本中で問題になっているのです。⋯正論

当院に集まったカネボウの美白化粧品のサンプルです。

カネボウの美白化粧品のサンプル

2は松坂牛を飼育するときにビールを飲ませて、肉を柔らかくするためにマッサージする日本人の気の使い方を驚愕の目で見る外国人には、「牛に化粧品を使用する」ということが有り得る考えてしまうかも知れません。。

日本で飼育されている牛は殆ど黒か白黒か茶の毛をもっていますのでワザワザ美白する必要性はありません⋯間違い

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http://www.luciesfarm.com/

3はどうでしょうか?2で牛が美白化粧品を使用することあり得ませんので、間違いです。

一方、人間がカネボウの美白化粧品を使用して、さらに放射能に暴露されたことにより白斑症状が出現したという考えは一見もっともらしい事に思えますが、それを証明することは簡単です。

白斑症状を訴えた患者さんの居住地とそこの放射線量を測定するだけで関連付けができると思います。必要以上に放射線障害を恐れる人は日本各地の放射能量を毎日測定していると思います。

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https://atmc.jp/

あとはカネボウが被害者の居住地を県別でいいので公表してくれればすぐに関連性を検討することが可能となります。

非常にイケない考え方です

チェルノブイリで白斑症状が⋯なんて記載された記事もありますが、写真は単なる「尋常性白斑」の可能性が高いようです。

なぜなら尋常性白斑は通常でも100人に一人くらいの確率で症状が出現する、皮膚科では難治性ではありますが別に珍しい病気ではありませんので。

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https://www.sciencedirect.com/

アメリカで1%くらい、世界では地域によりますが0.1-2%みられる病気です。

残念ながら牛の白斑症状の発症率は調べることができませんでしたが、放射能との関連はあまりないのです。

じゃあどうすればいいのか?

今回の牛の白斑が放射線の影響による⇒カネボウの白斑も放射線、つまり原発事故と関連する
と結びつけるのは現時点では不可能です。

カネボウはへんてこな話に巻き込まれない為には、白斑被害者の居住地を県別で公表する必要がでてきます。

原発関連では甲状腺機能・免疫系統と白斑は関連があるので放射線の影響下の地域住民の健康状態を長期的にフォローアップしなければいけません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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