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薬の添付文書読んでいますか?特に妊婦さんが薬に注意しなければいけない本当の理由

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医薬品と言われるものを薬局やドラッグストアで購入することありますよね。

その時、必ず使い方が書いてある紙が入っていますけど、あなたはそれを読んでいますか?多分、一日何回何錠飲むというところだけ読んで、捨てていませんか?慎重な方は成分とか、副作用の所も読んでいるかもしれませんが。

市販薬だから、塗り薬だからって安心していませんか?どんな薬にも付いている添付文章

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これらが添付文書です

その紙は添付文書と呼ばれ大事なものです。国によって承認された薬に対する注意と情報が書き込まれていて、その薬を飲んでいる人は当然読んでいると前提で国や製薬会社は捉えています。効果・効能だけにどうしても目が行ってしまいますが、注意のところにほとんどの薬に不気味な文章が書かれています。

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「妊婦に対する安全性は確立されていないので、有益性が上回るときのみ投与する」という文面です。私たち医師が使用する添付文書には必ず書かれています。市販薬の中には「妊娠中、妊娠の可能性のある人は、薬剤師・医師にご相談ください」といった表現で書いてあることもあります。なぜ、こんなことが書いてあるのでしょうか?

妊娠したら必ず訪れていただきたいサイトです。

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http://www.ncchd.go.jp/index.html

妊婦に使用されてたデータがそもそも存在しない!

妊娠中の方に薬を使用する場合、医師はその薬が患者さんに及ぼす良い影響、つまり効果と患者さんに対する悪影響、つまり副作用のほかに、おなかの赤ちゃんに対する全ての影響を考えなければいけません。

胎児にたいする悪影響は「催奇形性」と「胎児毒性」の二つがあります。催奇形性はお母さんが薬を服用した場合、赤ちゃんの体に奇形(これは内臓の場合もありますし外見の事もあります)を及ぼすことを意味します。

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胎児に対する毒性のある薬物

胎児毒性はお腹の中の胎児にとって毒といして作用する可能性を言っているのです。

妊婦さんがお酒を飲むとお腹の中の胎児も酔っぱらってしまいます⋯明らかに胎児にとっては毒ですよね。

医薬品は多くの試験を通過して製品化されますが、なぜ妊婦に対するデータが無いのでしょうか?

当たり前です、人道的に許されない実験ですから

考えて見れば当たり前です。薬はその時だけでなく将来に副作用を起こす場合もあります。

いくら動物実験が繰り返されて安全であるとの結果が出ていても、結局は実験に使用された動物=人間ではありませんので同じ結果が必ず得られるとは限りません。

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そこで治験と呼ばれる「人間に対する影響」を調査してデータを取って安全であること、効果が確認されたことで初めて薬品として世の中に出回るのです。

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明らかに催奇形性がある薬 http://medical.mt-pharma.co.jp/

しかし、妊婦さんに臨床実験をすることは「倫理上」許される訳がありません。私たちが使用する薬の中には「ラットの実験によって胎児に影響があったという報告がある」とか「動物実験上催奇形性が認められた場合があったという報告が海外に散見される」なんて怖いことが添付文書に書かれていることも有ります。

もちろんほとんどの薬ははじめに書いた様に「妊婦に対する安全性は確立されていないので、有益性が上回るときのみ投与する」的な表現が添えられておりこれは「妊婦さんに対する人体実験はしていないから医師の責任で処方してね」ということなのです。塗り薬でさえ危険があることはブログ「ニキビの特効薬なのに間違った使用法が多いディフェリン 医師も間違っています」に書いておきました。

じゃあ、妊娠時の服薬はどう考えればいいのか?

意外と知られていない数字なのですが、別に薬を飲んでいなくても先天性の異常を持って生まれてくる赤ちゃんは3パーセント前後もいるのです。

また、薬を飲んでいなくても流産する率も15パーセントほどあります。しかし、残念なことに「先天性の奇形」を持った赤ちゃんが生まれてきた場合、お母さんは「私があの時飲んだ薬がいけなかったんじゃないか?」と一生悩まなければいけないのです。

データ上、自然に奇を持って生まれてきた方もある程度の数字でいますので、ある薬がその悲劇をもたらしていても医学の研究のなかで疫学と呼ばれる臨床上の影響を調べる学問では対象となる方が1000例くらい集まらないと十分な精度の高いデータとはならないのです。

医師側の考え方

基本的には妊娠中または妊娠の可能性のある場合は薬物を処方することは控えます。薬というものは使用が承認されて後も、「市販後調査」というものが大々的に行われ発売前には予想しなかった副作用などの報告がなかったか?又はあった場合はどんなものでどのような経過をとったかをメーカー側は積極的に情報を収集して、私たち医師に報告する義務があります。

私たち医師の取る態度

  • 妊婦に対する安全性は確立されていないので、有益性が上回るときのみ投与する(模範解答)
  • 発売直後の薬はいかに有用なものであってもで市販後調査が終了するまでは妊婦さんには使用しない
  • 緊急性のない病気の場合は、胎児が安定する時期まで処方しない
  • 明らかな催奇形性が報告された薬は絶対に患者さんに処方しない
  • 理論的に胎児に影響がないと考えられる薬であっても、慎重に投与をする

などなどとなってしまいます。

つまり、妊婦さんに安心して薬を処方することはできないのです。

妊婦さんへ

妊娠を希望していう方や妊婦さんはご自分の為、おなかの中の赤ちゃんの為にくれぐれも予防できる病気は前もって予防をして、例えばこれからの季節であればインフルエンザの予防接種ですね。悪い生活習慣(飲酒や喫煙はモチロン)を改善して、ストレスが溜まると明らかに免疫が落ちますのでストレスをためないように。

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ご主人にも協力してもらって「病気にならない」工夫をしていただくことが一番だと思われます。

しかし、妊婦さんにとって疲れやすいとか妊娠時はこんな成分が不足がちだからと言ってサプリなどを服用する方もいますが、サプリも決して妊婦さんに安全であることを証明することはできません。

日頃の食品の選択にも注意を払って生活しなければいけない妊婦さんです。周囲の方には我儘に思えることも有るかも知れませんがぜひ妊婦の方に出来るだけ協力をしてください。

その協力は妊婦さんだけで無く将来生まれてくる赤ちゃんの為でもあるのです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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