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「コラーゲンでお肌プルプル」は無理を転送装置を使って説明します

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サプリメントとしてコラーゲンを経口摂取つまり食べても、肌がプルプルになることはないんですと何回説明しても、わかってもらえません。

低分子にしても吸収性は高まるかもしれませんけど、一度胃と腸管で消化・分解されて血液の流れにそって体内のどこかで使われるか、または排泄物として体の外に出されてしまうのがどうしてわかってもらえないのか、イライラしている医師も多いのではないでしょうか。

コラーゲンを食べても、体のコラーゲンにならない

web上の質問箱や知恵袋系で「コラーゲンって本当にお肌に良いんですか?」への回答として「これがすごく効果がありました。その商品は何々で」なんてステマ風回答もありますが、ごくごく当たり前に多くは「効果なし」との回答が寄せられています。一方で「医師は当然、効果がない、と言いますが実は医学的に証明されているんですよ❗」と回答している人は常磐薬品工業が大阪大学との共同研究で「コラーゲンドリンク連用による美容への有効性を実証」と学会で発表したことを根拠にしています。「コラーゲンを摂るとしわに効果があると医学が証明しているではないですか❗(怒)」的な反論をそんな方にされることは当然私も心得ております。

この学会発表はhttp://www.tokiwayakuhin.co.jp/news/2011/09/post20110908.htmにありますので、お時間がある方はご覧ください、結構突っ込みどころ満載の発表ですので機会がありましたらブログに書いてみます。

今回はスタートレックの転送装置を例として「コラーゲンを摂ってお肌プリプリは無理説」を説明をしてみます。

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この転送装置は人間をA地点からB地点に移動させる画期的なマシンです。この装置のメカニズムを詳細に説明しますと⋯たぶんスタートレックの熱烈なファンの理工学系オッサンに突っ込まれると予想しますので止めときます。簡単に言うと体を細かく多分、原子レベルまで分解して、現代の科学では解明できていない方法でB地点まで送って、B地点で人間の姿かたちに再合成するものです。

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「スタートレック」についての詳しい情報はwikiなどでお調べください。

コラーゲンの場合に置き換えると

この転送装置をコラーゲンの場合どうなるかを考えてみます。コラーゲンは人間で皮膚や骨や軟骨を構成する大変重要な成分であることは間違いありません。このコラーゲンはタンパク質の一つで動物の細胞を構成する要素である「細胞外基質」の主成分となっていますので、人間の体が多くの細胞によって作られていることを考えると人間という形自体を作り保っている重要な成分といえます。三大栄養素の一つであるタンパク質は三分の一がコラーゲンであるという結果からその重要性は十分認識されるべきです。

食べ物として(サプリメントは食品に分類されています)体の中に入ると胃において胃酸で粉々にされて、その後小腸から吸収されてバラバラになったコラーゲンの成れの果ては門脈を通って肝臓でさらに代謝されて、肝静脈・下大静脈の中を血液中の成分として心臓に到達してから、心臓から送り出され動脈中を通って体中を駆け巡り必要とされている臓器に栄養を与えます。この時点でコラーゲンは影も形もなくなって別の物質になっています。伝送装置でA地点で体がどんどん分解されてB地点を目指していくのと同じです。

さすがに、吸収されたコラーゲンがそのままの形で肌を構成する成分になってお肌をプルプルにします、という理論は影を潜めました。今使われている理論は低分子コラーゲンは吸収性がよく、効果的にグリシン・プロリン・ヒドロキシプロリン・ヒドロキシジリン・アラニンなどのアミノ酸になってそれらを必要とする臓器を構成する原料になります⋯つまり、コラーゲンが原料となってお肌をプルプルにしてしまうのです、というのがサプリ会社の理論なのです。

スタートレックの転送装置でしたらB地点で人間の体が再合成されると言うことと同じですよね。

そのようにならない理由

  1. コラーゲン由来のアミノ酸であるヒドロキシジリンやヒドロキシプロリンは、ほとんどがおしっこになって体外に排出される。その他のアミノ酸も肝臓で代謝されてコラーゲンとは似ても似つかない物質に変化している。
  2. コラーゲン由来のアミノ酸の一部はタンパク質を作り上げる原料になりますが、肌を構成するコラーゲンになるとは限りません。血管や骨を構成している原料になっているかもしれません。
  3. コラーゲンサプリを飲んで翌日「お肌がプルプル」は人間の体のメカニズムから考えてあり得ません。肌が古くなったものと、新しい肌が入れ替わることを「ターンオーバー」と呼びますが、その入れ替わるのに必要な時間は約4週間は必要とされています。

以上のようにコラーゲンサプリをスタートレックの転送装置を使えばコラーゲンサプリとしてA地点からB地点に送り込むことは可能ですが、人間の体の中は転送装置を装備していませんのでこのようなことが起こることはまず考えにくいのです。

人間の体のメカニズムがすべてわかっている訳ではないことは十分に承知していますので、ひょっとして将来体内に隠れた転送装置が絶対に発見されないとは言い切れませんが、その場合は食べた、あるいは飲んだコラーゲンサプリが体のどこかにサプリメントの形として出現するので想像しただけで結構気持ちが悪くなってしまいました。

ある理系のオッサンが「豚の耳がコラーゲンたっぷりと言って、お肌のために食べる女子がいるけど、豚の耳が生えてきたらどうすんだ!」と言って「コラーゲンお肌プルプル効果説」を笑っていました。

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コラーゲンは体に悪い訳ではないですよ!

私はコラーゲンが体に悪いと言っている訳ではありません。私もコラーゲンは大好きです、だってお肉に普通に大量に含まれていますもの。タンパク質としてコラーゲンサプリを摂取したいのならお魚にはたっぷりタンパク質が含まれていますのでこれで補給した方が「美味しい」もプラスされて味気ない薬の様なサプリは私はいやです。

よくよく考えてみてください。コラーゲンって「ゼラチンの主成分」ですから(カプセルの主成分はほとんどの場合ゼラチン)コラーゲンサプリの中身より、その中身を包んでいるカプセルに多く含まれている可能性もあります。サプリ一個あたりに占めるカプセルの重さって結構あって、中に黒酢なんかを入れたら「体にいい黒酢とコラーゲンが同時に❗」なんて言えてしまうのです。コラーゲンを体内に取り入れたいなら何も薬のカプセルで取り入れなくっても、カプセルを使用しない液体状のコラーゲンドリンクではなく、単にお肉や魚を食べれば良いんじゃないでしょうか?

そういえば「フカヒレ」もコラーゲンたっぷりの食べ物で、翌日にはお肌がプルプルになった!気がしますが、フカヒレを使った料理って大量の塩が使用されていますので、それは単に「顔がむくんでいる」と考える私は「豚の耳」の方より多分意地悪です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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