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生理痛薬で死亡者!と報道されていますが、鎮痛剤ではありません

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生理痛薬で死亡者が出たとの報道がされていますが、今回問題を起こした薬は直接痛みを抑える効果があるものではなく、一般的には「ピル」として知られているものです。

生理痛の治療薬で三人の方が亡くなった

腰の痛みとか頭痛に使用される薬はプロスタグランジンに関連する働きによって症状を緩和します。今回の薬「ヤーズ配合錠 」はホルモンに影響を与えて「月経困難症」の治療に用いられる薬であり、以前より「血栓症」の危険性が知られており、残念なことですが今回のような副作用による死亡者がでてしまったのです。

生理痛治療薬「血栓症」の危険性

単なる鎮痛剤でもリスクがあります

以前ブログで「女性の安易な鎮痛剤使用は危険です!痛み止め薬の過剰摂取による死亡者5倍増と米国での報告」というものを書きました。痛み止めを多量に使用してしまう傾向は中年以降の白人女性に認められるとの報告を私なりに分かりやすく記述したものでした。今回の生理痛を緩和する治療薬は過剰摂取というわけではなく、薬が血栓を起こしやすいという性状を医師および薬剤師、そして患者さんが十分に理解していたかということが問題になると考えます。

ヤーズ配合錠服用中の注意

このように血栓症の注意喚起はされています

生理痛ではなくニキビ治療にホルモン剤を処方する医師もいる

今回問題となった処方薬は黄体ホルモン薬のドロスピレノンと卵胞ホルモン薬のエチニルエストラジオールが配合されているものであるために、生理周期に左右されるニキビにも効果があるために「ニキビ治療薬」として皮膚科医が安易に処方する傾向があり、当院では警告を患者さんに行なっていました。ネット上の情報でホルモンを中心に治療をしてニキビが奇麗になったということを知って「先生、ホルモン剤を処方してください」とおっしゃる患者さんは決して少数ではないのです。

そんなとき当院では「ホルモンって一つをいじりだすと、他の多くのホルモンにも影響を与えるので安易に服用してはダメです」と伝えることにしていますので、中には怒って帰ってしまう方もいます。私の専門は泌尿器科なんですが、男性のホルモンの専門家は内科ではなく泌尿器科医の担当なんです。例えば前立腺を小さくするホルモン剤がありますが、女性化乳房とかの副作用というか随伴症状がでます。また男性の更年期障害に使用するテストステロンは前立腺がんに対しては栄養となってしまい、がんを悪化させる危険もあるのです。

エストロゲンの臓器別作用と効果

ホルモンはあるホルモンが出過ぎると自然に分泌を控えさせるように働きますし、外部からホルモン剤を投与すると「自分はこのホルモンは十分あるんだ」と体が勝手に判断して、もともとそのホルモンを分泌していた臓器がホルモン自体を作らなくなってしまうのです。

なぜ血栓が起こるか?

2013年12月17日の朝日新聞デジタルは「ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例」と報道していました。血栓症の発症は女性が避妊目的ではなく、月経困難症の改善、あるいはひょっとしてニキビの治療に使用しているかもしれませんが、10万人にたいして6ー7人くらいの確率で起こってしまう怖い副作用です。ホルモン剤に含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)が血液を固めてしまう作用があるために血栓が引き起こされ、心臓や脳の血管を詰まらせてしまうのです。このリスクは喫煙者になると更に高くなりますので、喫煙をする女性はどのような理由であってもホルモン剤を使用する時は良い機会だと割り切って禁煙をしてください。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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