五本木クリニック院長ブログ

ブーメラン「お前のところの治療、エビデンスあるのかよ!!」に対するお答えです。


■エビデンス、エビデンス、エビデンスは大切だけどエビデンス至上主義もいかがなものか?

エビデンスという言葉をよく耳にするようになりました。特に医療健康情報に対しては昨年のヘンテコな寄せ集め医学情報で構成されたサイト、今年に入っては医師が監修していることを売りにしたクラウドソーシングを利用した医学的間違いが多数あった健康情報サイトが問題となりました。だからこそエビデンスが重要視されるように、少なくともウェブの世界ではなっています。

「エビデンス」とは証拠という意味です。医療で使われる場合は病気を治す効果を示す証拠やデータがあるのか、そのデータにインチキは無いのか、治療効果は数字等で第三者に明確に判別つくものかなどが要求されます。もちろん当院の保険診療部門はそのエビデンスにしたがって検査をして病名を鑑別診断し、その病名に対しての治療エビデンスのある薬・手術などによって行なっています。

しかーし、当院別部門として「美容外科・美容皮膚科」があるのですが、この領域は歴史も浅いためか、保険診療で使用されるエビデンスに乏しい治療法が少なからず存在していることは否定できません。

例えばシワに対する美容的治療方法として「ボトックス注射」があります。ボトックスは多汗症や顔面痙攣に対しては保険診療が可能になっていますので、治療効果のエビデンスは間違いなく存在しています。しかし、シワの治療にボトックスを使用した場合「何本シワが無くなったか」「どれだけシワを作ることができなくなったか」を判定して、効果に対するエビデンスが確立されますが、数値的かつ客観的評価方法となるとツッコミどころ満載、とのご批判を受けてもしかたない状況です(まあ、実際にはある程度客観的なデータはありますけどね)。

私がブログでトンデモ系の医学を批判するためかブーメラン的に「お前のところでこんな治療やっているけど、エビデンスあるのかよ!!」って感じのご意見というか、からみを受けることがありますので、頻度の高い「パワーアップ注射」という当院独自の治療方法にエビデンスがあることを、今までツッコンで来た方への回答といたします。

■パワーUP注射の構成成分はこれです

当院の自由診療部門サイト(保険診療サイトとは別に設けています)に書かれている「体内から若返させる」中の「パワーUP注射(にんにく注射)」がSNS等でエビデンスあんのかよ的に批判されることが多いです。



「若返り注射」の項目に入れ込んでるために「このパワーUP注射で若返るエビデンスあんのかよ」とのご指摘を受けているのかもしれませんが、問題あればサイト内で別の項目を設けるつもりですが、まずは話を聞いてくださいませ。このパワーアップ注射はビオチン、ハイプレアミンS、アリナミンF、強力ミノファーゲンで構成されています。各々保険診療でも使う薬剤ですから副作用面での安全性は担保されております。この薬効として

1:ビオチン もともと、ビタミンH(ビオチン)の“H”はドイツ語のHaut(皮膚)が由来である通り、マウスの皮膚の炎症を防止・沈静化する因子として発見された。ビオチンは生体において4種類のカルボキシラーゼ(ピルビン酸カルボキシラーゼ、アセチルCoAカルボキシラーゼ、プロピオニル CoAカルボキシラーゼ、メチルクロトニル CoA カルボキシラーゼ)の補酵素として、カルボキシル化反応を触媒している。すなわち、糖新生、分岐鎖アミノ酸、脂肪酸合成、エネルギー代謝に重要な役割を担っている。

ビオチンは哺乳類では生合成ができないため、必須の水溶性ビタミンであり、食品から摂取するほか、腸内細菌によっても合成されるが、その含有量だけでは必要量を維持できないと言われている。また、ビオチンは食品加工や保存加工によって損失し、残存率は20-90%といわれている。その為、1日の必要量は50μgにも関わらず、食事からは平均45.1μg/日しか摂取できていない。加えて、ビオチンは薬事法により保健機能食品以外には認可されておらず、サプリになどによる効率的な補填が困難である。

パワーアップ点滴では静脈に十分量のビオチン(ビタミンH)を直接投与することで、ヒスタミン等の生理活性物質によるアレルギー症状を緩和し、皮膚を構成するタンパク質の生成を促進させ、皮膚のターンオーバーを正常に保つ効果がある。具体的にはコラーゲンやセラミド(細胞間脂質)の生合成を高め、実際にアトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症の治療にも用いられている。また、ビオチンは多量に摂取しても速やかに尿中に排泄されるので、一般的に過剰症は認めない。パワーup注射におけるわかりやすく言えば「動力源としての働き」の役割を担当しています。

2:ハイプレアミンS  目的は炭水化物や脂肪と異なり、エネルギーを供給することではなく、組織のタンパク質合成に必要なアミノ酸を供給することである。本剤は生理的に分解・利用されたタンパク質、あるいは外傷は疾病時の細胞傷害および破壊により欠乏したタンパク質の補給に役立っている。

本剤は、国連食糧農業機関(FAO)基準に基づく必須アミノ酸パターンを有するL型アミノ酸製剤で4.5.6)、蛋白質の需要が増大している場合に、アミノ酸補給の目的で用いられている。さらに、他のアミノ酸合成のための窒素源として、非必須アミノ酸のL-アルギニン塩酸塩、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、グリシンを加えている(以下表)。すなわち、ビオチンやアリナミンにより活性化したエネルギー産生回路の材料源としての役割を担っている。



3:アリナミンF  本剤はビタミンB1の誘導体で、天然のビタミンB1より体内で利用されやすい特徴がある。ビタミンB1は糖質及び脂肪酸が代謝の過程で生じるピルビン酸をアセチルCoAに変換する時に必要なものである。すなわち、TCA回路においてエネルギーを効率よく産生する役割を担っている。しかし、ビタミンB1は水溶性であり、調理時の水洗いや加熱により失われやすく、かつ食事中の利用効率は約60%とされている。また、日本人のビタミンB1の一日の平均摂取量は0.86mgであり(平成27年国民健康・栄養調査)、食事摂取基準による一日お推奨量を満たしていない(女性:18~49歳で1.1mg、50~69歳で1.0mg、70歳以上で0.9mg、男性:18~49歳で1.4mg、50~69歳で1.3mg、70歳以上で1.2mg)。

パワーアップ点滴では、普段不足しているビタミンB1(誘導体)を効率的に十分量加えることで、エネルギーの産生効率と絶対量を増加させる。またビタミンB群は水溶性ビタミンであり、尿から容易に排泄されるため、過剰摂取による副作用の心配はない。

4:強力ネオミノファーゲン 剤はグリチルリチンを主成分とするもので、慢性肝炎7)や肝硬変8)等に対する大規模比較試験でその肝機能の改善が報告されている。具体的な薬理作用としては、

1)抗炎症作用(抗アレルギー作用、アラキドン酸代謝系酵素の阻害作用)
2)免疫調節作用
3)実験的肝細胞障害抑制作用
4)肝細胞増殖促進作用
5)ウイルス増殖抑制・不活化作用が挙げられる。

特に皮膚に対しては、L-システインによる抗炎症作用の効用として、メラニンの過剰な生成の抑制や色素沈着の改善に働いている。また、実際に肝機能の改善や肝細胞の細胞膜の再生を促すことにより、エネルギー合成の場所である肝臓の働きに貢献している。

以上のようにそれぞれの製剤の利点を十分に活かせるように工夫をしています。

つまり
a:エネルギー源の材料を補充する(ハイプレアミンS)
b:エネルギー産生の場を強化する(強力ネオミノファーゲン)
c:エネルギー産生の動力源を促進する(ビオチン、アリナミンF)
と考えているわけです。

【参考文献】
1)ビタミン研究のブレークスルー:日本ビタミン学会編
2)ビタミンの辞典:朝倉書店
3)Drill’s Pharmacology in Medicine,4th ed.,1309(1971)
4)井上五郎,日本臨牀,24,12(1966)
5)小出来一博 ほか,臨牀と研究,50,463(1973)
6)木村信良 ほか,臨床薬理学大系,第8巻,40(1972)
7)鈴木 宏ほか:医学のあゆみ, 102, 562, 1977
8)Iino, S., et al.: Hepatol. Res., 19, 31, 2001.

■でもお前のところでパワーUP注射して、効果があったとのエビデンスはあるのかよ!!

当院のサイトには掲載されていますが、このパワーUP注射を実際に受けられる患者さんは年間数名で、民間の医療機関ですからダブルブラインドで効果を確認できるだけの対象数は得られていません。そもそもこのパワーUP注射が考案されたきっかけも、私や他の医師が診療+論文書き+研究でクッタクタになった時にユンケルとかリポビタンを飲むよりは、有効成分がたっぷり入って理論的にも効果があるはずと考えられる点滴をした方がいいじゃん、との必要は発明の毋的に開発されたのです。だからこそ最後に「ドリンク式の栄養剤よりは効果があると当院では考えていますが、通常の疾患に使用することはおすすめいたしません」との注意書きも添えているのです。

今このサイトのページを見直しました・・・若返りの項目にあるのが「エビデンスあんのかよ」とのご批判をいただく要因だと思われます。他の項目を設けて今回の詳細な説明を記載すれば「エビデンスあんのかよ」的なご質問が減るかもしれません、明日、サイトのデザイン会社に早速相談いたします。