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気のせいじゃないの?「加熱式タバコ、半年吸ったら健康になった⁉」

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喫煙が健康に悪いことはもちろんのこと、受動喫煙問題もあり通常のタバコから加熱式タバコに変えた方も多いようです。

一般的に加熱式タバコは通常のタバコより健康被害が少ないように思われているようで、先日こんな記事を見つけました。「IQOSアイコス愛用者に『健康改善』を聞いてみた❗」(2017年11月20日 日刊大衆)。

「大衆かよ」なんてことは言わないで下さい。週刊大衆の記者さんって、調査力が優れていて自分のペン一本で生活を営んでいるような、ベテラン記者さんが多いのです。さらに義理人情に固く、ちょっとした取材を受けても必ず謝礼が振り込まれてきます(数千円、でも、人からいろいろな知識を得ておきながら謝礼もないマスメディア多いです、特にテレビね)。

加熱式タバコに変えたら健康になるのか?

画像

これは@niftyに転載されていた記事の画像です。

加熱式タバコに変えたらこーんなに健康になった??

わが愛する週刊大衆のデジタル版、日刊大衆では加熱式タバコに変えたらこんなに健康になったと感じている人の話がいくつか掲載されています。

紙巻きのときは常に喉がいがらっぽくて飴ばっかり舐めてたけど、アイコスにしてからはそんなことはない。風邪気味のときに吸うと少し違和感が残る程度

と37歳の男性。そりゃ当たり前でしょ、通常のタバコは紙で巻いてあるんだから、紙を燃やした煙を吸入していたんだから、今まで。昔、学校にあった焼却炉は煙を吸い込まないように煙突が立っていましたよね~。

次はこんな証言も。

タバコで一番嫌なのはヤニで歯が黄ばむこと。紙巻きを吸っていた頃は3か月に1度は歯医者さんで歯のクリーニングをしていたけど、アイコスにして7か月たった今でも、まだ歯医者に行かずに済んでいます

と40歳の女性。昔のハリウッド映画では、女性がタバコを吸っている場面がかっこよく見えるように演出されていましたね。そんな姿に憧れて喫煙者になったのかもしれません。しかし、加熱式タバコによってタールが除去されただけであって、中毒物質であるニコチンからは彼女は脱却はできていないようです。三ヶ月に一度の歯科医でのクリーニング。これがネックであるのであれば、自宅でホワイトニングできるキットを歯科医で購入可能です。クリーニングの費用と手間が浮いた、なんてことは加熱式タバコが優れていることの理由にはなりえません。

さらにこんな証言も。

紙巻きを吸っているときは、あんまりおなかが減らず、飲んだときなんてツマミをほとんど食べなかった。でも、アイコスにしてから食欲が正常になった。その分、食費がかさむけどね

このように語るのは55歳の男性。消化器の血管収縮を引き起こす成分はニコチンが主のはず。消化器の血管収縮と運動性の低下のために喫煙をすると食欲が落ち、消化管からの栄養の吸収を邪魔します。残念ながらこの方は食費がかさむ問題より、急激な食欲のためによるメタボの心配がでてくるんじゃないのかなあ。

これが最後の証言です。

アイコスに変えてから、タバコが切れたときの禁断症状が激減したんです。前はタバコを切らしたら、土砂降りだろうと夜中だろうとコンビニに買いに走っていたんですが、アイコスにしてからはそれが我慢できるようになったんですよ!

これ43歳男性の証言なんですけど⋯アイコスってニコチン含まれていますよね。加熱式タバコってタールの被害を少なくするためのもんでしたよね。ってことはニコチンでどんだけ強い習慣性がある成分なんだよ、ということが良くわかります。この43歳の男性のお話が今回の加熱式タバコに変えた方の記事で一番ためになる話かもしれませんね。

加熱式タバコに対する日本呼吸器学会の考え方

喫煙に対して肯定するような意見・見解を述べている医療系の学会は皆無です。喫煙および受動喫煙の危険性を常に啓蒙している学会として日本呼吸器学会があります。

今までの通常のタバコから加熱式タバコに変更する方が多いところに水を指すようですが、日本呼吸器学会の考え方はこのようになっています。

非燃焼・加熱式タバコの主流煙中に燃焼式タバコとほぼ同レベルのニコチンや揮発性化合物(アクロレイン、ホルムアルデヒド)、約 3 倍のアセナフテン(多芳香環炭化水素物)等の有害物質が含まれていること、が報告されています。

さらに

煙が出ない、あるいは煙が見えにくい」とされていますが、特殊なレーザー光を非燃焼・加熱式タバコ使用者の呼気に照射すると、大量のエアロゾルを呼出していることが明白になります。

と受動喫煙の危険性も訴えています。

そして最後に

新型タバコは、従来の燃焼式タバコに比べてタール(タバコ煙中の有害物質のうちの粒子成分)が削減されていますが、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引する製品です。従って、使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は推奨できません。

つまり、加熱式タバコに変えても有害物質を吸引しているに変わりはないのだよ、ということです(非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解より)。

結論

加熱式タバコであっても有害物質(発がん物質)を含み、煙が少ないからと言って受動喫煙を避けることはできません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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