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医師諸君、今後は怒りながら抗生物質を処方しよう❗菌は怒っている人の前じゃ発酵しないらしいから(爆)

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耐性菌ってご存知でしょうか?

抗菌薬の開発により私たちは感染症と戦うことができるようになりました。しかし抗菌薬の効かない、クスリに耐性を持った菌が増加しているのです。

耐性菌を生み出さないたのコツは怒りながら抗生物質を処方するべし

先日SNSを見ていて吹き出しちゃいました❗「大人かわいいモテ服作家」と称する方のビジネス用と思われるアメブロでこんなことが書かれています。

菌は怒ってる人の前では、発酵しません。楽しい、笑顔が大好きなんです。

自己実現引き寄せの自己中時代はもう終わったよ〜お話会

ええっ❗菌は怒っている人の前じゃ発酵しないの?

これが科学的事実であるのならば、耐性菌を生み出さないために、より効果的に抗生物質を使用するために医師の諸君、これから抗生物質は怒りながら処方するようにしましょうってことになりますね。もちろん、薬を飲む患者さんも怒りながらね。抗生物質の不適切な使用による耐性菌の出現を懸念する厚生労働省はこんな考え方を取り入れるようです(朝日新聞デジタル2018年2月17日)。

風邪に抗生物質、使わない病院に報酬 耐性菌の抑止策

この方のブログやサイトを読んだ理科や化学や生物を教えている教育者は強い敗北感を味わうことでしょう。さらに読み進めると、いろんなトンデモ医学やトンデモ科学の影響を受けていると思われる「大人かわいいモテ服作家」さん、それなりの信者さんを集めていることに驚愕しています。

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女性がおしゃれをしたい気持ちはいくつになっても当然だと考えますけど⋯かわいいモテ服って表現はイタイです。

発酵と腐敗の違いって、そもそも何よ?

発酵食品ってなんとな~くからだに良さそうなイメージがありますし、それなりに良い働きもしています。腐敗はものが腐っていて、食べちゃうとからだに悪いと普通は考えますよね。

でも発酵と腐敗は科学的現象としては同じこと

食べてみて病気になれば「腐敗した食品」、食べてみてもからだに害がなければ「発酵食品」ってことなんです。そう言えば以前こんなこともありました。

やっちまった消費者庁、酵素ジュースの腐敗に気づかないとは⋯ニセ医学推進しちゃダメだよ❗

やっちまった消費者庁、酵素ジュースの腐敗に気づかないとは⋯ニセ医学推進しちゃダメだよ❗

消費者庁は、わたしたち国民の味方であるはずなんですが「クックパッド」に掲載されていた酵素ジュースのレシピ情報を拡散してしまうという失態をおかしました。とりあえず身体によさそうな健康食品のイメージが強い代表である酵素や乳酸菌ですが、世の中のほとんどの人が勘違いしているようです。消費者庁ですら間違えるのですから。

この「大人かわいいモテ服作家」さんは菌は怒ってる人の前では、発酵しない説を取り入れて菌に優しく話しながら発酵食品に話しかけている模様。おばあちゃんが「美味しくなーれ」と言いながら糠床を混ぜている風景は微笑ましいものですが、このオバサマ方が夜な夜な集まって「菌さん、美味しく発酵してね」なんてニコニコ話しかけていたら、中世のヨーロッパだったら魔女だと思われちゃう可能性がありますね。

怒りながら作った味噌は真っ黒?

この方が主宰する集まりには類は友を呼ぶ的な方々が多いようで
今日も、味噌を作った方が、怒りながら作ったそうで、発酵しないで、表面が黒くなってきたそうです。
って不思議な現象がおこっています。普通このようなことが味噌作り中に発生したら「塩分が足りなかった」とか「余計な菌や酵母が入り込んだ」って考えるのですけど、この一連の流れに乗ってしまうと「ああ~、私があの時怒りながら味噌を作ったんで表面が真っ黒になったのね」と科学的思考全面停止状態になるようですね。

「大人かわいいモテ服作家」さんのブログや管理しているサイトを拝見すると例の「引き寄せの法則」やトンデモ認定というかニセ科学認定されている「EM菌」が登場してきます。このような危なっかしい考えを拡めるセミナーや教室が密かに蔓延っている現代の日本はかなり闇があるのかねえ??

夜泣きの原因は腸内の悪玉菌?

「大人かわいいモテ服作家」さん、いろんなところからヘンテコな話を仕入れてきては、セミナーたかお教室だかお集まりで皆様にご披露しています。こんなことも書いていますね。

腸内環境が良くなかったら、赤ちゃんは夜泣きするそうです。穏やかな人は、腸内細菌の善玉菌が多いんだと思います。

この話は根も葉もない噂では無く「Lactobacillus reuteri (American Type Culture Collection Strain 55730) versus simethicone in the treatment of infantile colic: a prospective randomized study」(Pediatrics. 2007 Jan;119 (1) )という医学論文の結果が伝言ゲームのように伝わったと考えられます。10年ほど前に書かれた論文なんで信頼度が低い、ってことにはなりません。でもこの論文は「腸内環境が良くなかったら、赤ちゃんは夜泣きする」とは書かれていません。

論文のタイトルにもなっている「infantile colic」はいわゆる「ギャン泣き」。これは夜泣きに限らず日中も起こり得る現象なんだけどなあ。夜泣きの原因って明らかな病気がない限り普通は原因不明と考えるのが医学的に一般的解釈な。ひょっとしてこの「大人かわいいモテ服作家」さん、お約束の次なるターゲットを子育て中のママに狙い定めたのだろうかと、かな~り不安になってきました。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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