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トンデモさんの逆襲だあ❗こんなに溢れかえっているヘンテコな医学情報。

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へんてこりんな医学情報をウォッチングすることを趣味にしていた私ですが、ここ数ヶ月ちょいと他の件でゴタゴタしていたためにトンデモウォッチングを怠っていました。ボチボチ様々なゴタゴタが解決の目処がつきだしたので、iPad片手にトイレに入っていてスマートニュースなぞをサクサクと目を通していたら大量のトンデモ医学情報がジャジャ漏れ状態

別にこんなバカバカしいトンデモ医学を放置しておいても、俺には関係ないや的な態度を取ることも大人の対応なんでしょうけど⋯久々にネット上の医学関連情報がどれだけトンデモであるかをブログにしてもバチは当たらないだろうし、皆様がお楽しみ中の連休でもあるので読んでくれる人も少ないだろうとの予想の元にネット上で見かけたトンデモ医学3題を検証してみますね。

観察を怠っていたらヘンテコな医学情報が氾濫していた

  1. なぜ、やせているのに中性脂肪やコレステロール値が高いのか?
    https://beauty-men.jp/56518
  2. 秋は体が老ける⁉ 理学療法士が教える、免疫力がアップする食生活
    https://fytte.jp/healthcare/35407/
  3. 冷えとり名人が指南/体操編①「振り子運動」で簡単気功
    https://ourage.jp/column/karada_genki/146513/

今回お題とさせていただく媒体であるMen’sBeautyもFYTTEもOurAgeも今までみたことも聞いたこともない健康情報サイトです。こんなサイトを教えてくれるスマートニュースって本当に暇つぶしにはもってこいですね、ぜひ「貴様」もアプリを入れることをお勧めいたします(笑)。

高コレステロールや高中性脂肪を「体質です」で片付けちゃう、って凄い❗

血液中のコレステロールや中性脂肪が高いことを高脂血症と呼ぶことは多くの方がご存知だと思います。コレステロールは生物の細胞を包みこも細胞膜やホルモンの原料であり人体が生きるために必要なものです。中性脂肪は人間が活動する上でのエネルギー源であり、万が一用として皮下脂肪として蓄えらています。コレステロールも中性脂肪も人間にとって必要不可欠な物質なのですが、両者ともに必要以上に高くなってしまうと動脈硬化を引き起こしてしまい、心臓は脳の病気の原因となってしまいます。

血液中のコレステロール値が高い、中性脂肪値が高いからといって即肥満が頭に浮かぶ方も多いためにMen’s Beautyでが痩せているのに中性脂肪やコレステロール値が高い場合はどのような対策を取ればいいかを健康関連記事にしたようですけど⋯中性脂肪やコレステロール値が高いのは体質です❗の一言で片付けちゃう非常に勉強になる内容となっています。

A 血液に脂肪がとどまりやすい体質の可能性あり。ストレスにも要注意やせているのに中性脂肪が多い人は、食事からとった脂肪が皮下脂肪や内臓脂肪よりも、血液中にとどまりやすい体質なのかもしれない。

と非常に投げやりなご回答。さらにコレステロール値は善玉と悪玉に分けて考えることが一般化されていますが

総コレステロール値や、悪玉コレステロールといわれるLDL-コレステロール値が高いのも、そういったものがつくられやすい体質とも考えられる。

とあっさりのご回答。取材に応じられた医師は正直な方だと私的には非常に好感度高しです。多分、取材した側はどんな運動をすれば良いのか、どんな食生活をすれば良いのか、との回答を期待したのでしょうけどね。

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厚生労働省「食事摂取基準の策定

以前は厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」の中で、1日に食べて良いコレステロールを含む食品の量を男性750ミリグラム、女性600ミリグラムとしていたのですが、この基準が2015年から無くなっているのです。要するにどれだけの食べ物を摂取すると、どれだけ摂取すれば良いかの十分に科学的な根拠が無いことがわかったためです。

取材する媒体の予想を裏切るような回答をされた医師を尊敬するとともに、これを記事にしてサイトに掲載してしまう豪気なMen’s Beauty、これから目を離せない健康関連情報サイトです。

体温を上げると免疫力が上がる⋯この定説化された医学関連話って本当?

体温を上げると免疫力が何パーセントアップするとの話はなんとなく常識化されているのですが、この理論って人間において実証されているのでしょうか?動物実験レベルや試験管レベルで証明されたメカニズムであっても、それがそのまま人体に通用する理論となると限らなことは誰でもわかることだと思います。以前、製薬メーカーのサイトに体温を上げると免疫力がアップするとの話が書かれており、これを徹底的に追求したのがこれ↓

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

免疫力あげれば病気にならない・病気になってもすぐ治る、と世の中なのほとんどの人が盲信しています。免疫力なるパワーを高める方法の中で基礎体温を上げると免疫力UPというものがあるのですが、これを製薬会社が堂々と明記していたので質問してみました。免疫に関してはわかっていることのが極めて少ないのが現実なのです。

結論としてこの考え方を明確にした医学系論文は存在しなかったのです。FYTTEというちょっとオシャレ系の健康関連情報サイトでは

とくに夏から秋は気温がぐっと低くなるので免疫力が落ちます。人間は体を一定に保とうとする働きがあって、例えば体温だったら36.5度くらいを保とうとするのですが、この体温が下がれば下がるほど免疫力も落ちてしまいます。このとき、体にしっかり栄養がとられていないと、風邪をひいてしまうんです。

と書かれています。外気温が下がると体温も下がるのでしょうか?人間の体はホメオスタシスによって環境がちょっと変化したくらいでは影響を受けないような仕組みになっています。寒い季節であろうと暑い季節であろうと体温に変化はない、あるいは逆に基礎代謝は寒い季節に高く、暑い季節には低くなることが研究でわかっています。

さらに

季節の変わり目は、「活性酸素」も増えがちです。活性酸素は体を酸化させて疲れやすくします。

とも書かれています。日本は季節の変わり目が年に4回ありますが、風邪を捉えた場合に本当に季節の変わり目に患者さんは増えるのでしょうか?例えばこれ↓

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https://www.kenporen.com/study/toukei_data/pdf/chosa_h29_03-3.pdf

これは健保連のデータですが、風邪で医療機関を受診した人の数です。季節の変わり目に風邪の患者さんって増えているようには見えません。

どう見ても季節の変わり目に感染症が増えてるというより、秋である9月10月は感染症がはやる季節とは言い難いようにしか見えませんよね。

またこの記事を書かれた理学療法士さんは「食欲の秋」は「よくかんで」食べすぎ防止!との見出しに対して以下のように書かれています。

もう1つ気をつけたいのは「食べすぎない」ということです

食べ過ぎ防止策として「食べすぎないこと」って当たり前じゃん❗

そんなこんなでこのFYTTEという健康関連サイトももう少し気の利いたコメントが欲しかったかもしれませんけど、食べ過ぎ防止策として食べすぎないことなどという安直な小学生にもわかるような原因と結果を掲載するほど健康ネタのにはお困りの様子です。

とうとう出ました「冷えとり」さん

「冷えとり」というトンデモ界隈では有名なニセ医学があります。

ニセ医学だよね、「冷えとり」のために、なんで靴下だけ重ねばきをするの!?

ニセ医学だよね、「冷えとり」のために、なんで靴下だけ重ねばきをするの!?

冷えは万病の元という誰もが知っているであろう言い伝えがあります。とはいえ、いくら重ね着・厚気したって寒かったり、高品質なダウンや本物のカシミヤならそれだけで十分暖かいということも知っているはず。それなのに冷えとりと称する靴下がありえない効果を謳って販売されており信じて買う人がいます。医学的におかしな点をまとめます。

これはある方が多分体温を上げると免疫力アップに触発され開発した医学的な根拠は全く無いと言って差し支えのないニセ医学的健康法です。この冷え鳥の一つとして、靴下を重ねばきさせる方法がありますが、これを赤ちゃんに行うと非常に危険なんです。

乳幼児突然死症候群のリスクとして「着せ過ぎ」が明確になっています

OurAgeという健康関連サイトで冷えとりがシリーズ化される模様です。この記事を担当している鍼灸師さんは冷えとりさんプラス気功の信奉者であることが記事から伺えます。

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https://ourage.jp/column/karada_genki/146513/

意識的に体を動かして体と心を緩めて、と美津さん。振り子運動はスワイショウというベーシックな気功

であり

上半身の気の乱れを整えるので、腕をぶらぶら振っているうちに、頭を離れなかったアレコレも「ま、いっか」となり、心も体も軽くなる

らしいのですけど⋯

気の乱れ、って何ですか???気の乱れはどのように観察できるのでしょうか?といった素朴な疑問がわいてきますよね。測定不可能な気の乱れを「振り子運動」を行って改善した場合、どのような方法で治療効果を測定するのでしょうか?「ああ〜、心も体も軽くなった」と患者さんが述べる以外に効果判定ができないと思うのは私だけでしょうか?

ネット上の医学健康関連情報って本当にいい加減ですね。誰にも頼まれていないし、余計なお世話でしょうけど、医学健康関連サイトは目が離せません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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