五本木クリニック院長ブログ

信頼できる正しい医学・健康情報を見つけるための5つのコツを伝授します。


■ネットに溢れる医学・健康情報の中から信頼できるものを選ぶコツ

医学は常に進化をしています。思いもよらない説や医学常識に反する治療法が発表当時はトンデモない考え方・治療法と思われても後日、その説や治療法が正しいとされることもたくさんあります(まあ、思い違いやデータの解釈間違い、あるいは故意にヘンテコな説や治療法であることの方が多いですけど)。

◎ネットに溢れかえる医学情報・健康関連情報が信頼できるものであるのかを見分けるコツってあるのでしょうか?

例えばこんな判断基準で医学健康情報を取捨選択していませんか?

1:公的機関の医学情報だから信頼度が高い

2:学会で発表された、学会誌に掲載されたから信頼度が高い

3:有名医師あるいは権威のある医学部出身者が述べているから信頼度が高い

4:多数の論文をもとに書かれている健康情報だから信頼度が高い

5:ネットで検索したら上位に表示されたから信頼度が高い

多くのひとがこんな基準で医学情報・健康情報の信頼度をはかっているのではないでしょうか?果たしてこの信頼度の基準が正しいものなのか、あるいは間違っているのかなどを検討しつつ、どのような考え方を基準に、ネットに溢れかえる健康情報・医学情報を信頼できるか否かを選別するコツをお伝えします。

■1:公的機関の医学情報だから信頼度が高い・・・信頼度が高くても問題があります

大学病院、国公立の病院の医学情報だから信頼度が高い・・・これは間違いありません。地域の中核病院あるいは厚労省の定めた拠点病院の医学情報だから信頼度が高い・・・これは玉石混交です。ちょっとネットに詳しい方ならドメインがgo.jpやac.jpやor.jpで終わるサイトを公的なサイトと判別していると存じます。しかし、ここにも落とし穴がありまして「or.jp」の場合、社団法人・医療法人・宗教団体等も使用可能ですから、医学的科学的な検証を受けていない健康情報やヘンテコな治療方法が掲載されている可能性があるので注意が必要です。

◎大学病院や公的病院の医学情報・健康情報はまず信頼して良いと考えて間違いありませんが、ここにも落とし穴があります

このような医療機関を受診しても担当した医師が優秀であるとの保証は全くありません。確率的にまともな医師が主治医・担当医になることは多いはずなのですが、大きな組織になればなるほどヘンテコな考え方を持つ医師が混じりこむ可能性が出てきちゃうのです。

私の実体験としてこんなことがありました。大学病院は入院患者さんをグループで担当します。ベテラン・中堅・研修医がグループとして患者さんを担当します。ご存知のように大学病院の医師の場合、自分の研究、学生の講義、そして診察・診療を担当するので常に病棟にいるとは限りません。

ある患者さんが急変して、研修医と卒後5年程度の医師しかその場には居合わせませんでした。大急ぎでベテラン(患者さんには上の先生、医師間ではオーベン)を電話で呼ぼうとしたら、そのオーベンは「患者の命と俺がいま培養している細胞とどっちが医学的に重要だと思っているんだよ!!」と大慌ての研修医は怒鳴られました。この時は急変した患者さんは他のグループのオーベンの指示で無事だったのですが・・・その怒鳴った「上の先生」は今では立派な某国立大学の教授になっています。

■2:学会で発表された、学会誌に掲載された・・・本当に信頼度は高いか?

学問は自由な世界です。珍説・奇説を発表することは学問の世界では許されています。発表の場は学会と学会の専門誌が一番業界内で目に触れる媒体です。しかし、学会と名がついていても友好団体レベルから、日本学術会議に認められた学会まで幅広く存在しています。日本において公的な学会とされるものは医学系に限らず、どのような分野であっても日本学術会議が認めたものだけです。

これは日本泌尿器科学会のサイトのトップページです。ドメインの最後は「or.jp」ですし、日本学術会議の日本学術会議協力学術研究団体の一つです。

ヘンテコな学説や治療法を述べた学会のサイトにぶち当たることがあります。先程信頼できるドメインとして「ac.jp」を挙げましたが「ac」というドメインを使用した学会も存在します。本来ならばacはacademicの略なのですが「ac」だけで終わっているドメインは南大西洋の英国領アセンション島に割り振られたドメインであり、学会等のアカデミックな裏付けにはなりません。まあ、わざわざアセンション島を本部に置く奇特な学会もあるかもしれませんが、なぜ通常の日本のアカデミックな学会のドメインを使用しないのか、理由は自ずとご理解いただけるかと思います。

■3:権威のある大学出身の医師のおこなっている治療法だから信頼できるか?

テレビのバラエティ系健康情報番組や週刊誌等で目新しい説や治療方法を述べる医師といっても必ずしも信頼度が高いわけではない、ということは私のブログの読者は御存知だと思います。またどんなに優秀といわれている大学の医学部出身者でも時々ヘンテコなのが混じりこんでいることもご存知でしょう。

健康保険が使用できない100パーセント自費でがん治療を行っている医療機関があります。そこに所属する医師の経歴を見ると出身大学は日本最高峰ですし、アカデミックな論文も以前は多数投稿して掲載されていますし、職歴も日本を代表するがん専門病院での勤務歴もあります。普通に考えて、学業は立派、医学の研究も立派、勤務していた医療機関での経験も十分な複数の医師が所属するがん専門の医療機関なので信頼度は高いと考えます。

◎しかし、その医療機関のサイトに書かれているがん治療の理論も信頼度が高いのでしょうか?

厚生労働省ががんの自費治療の実態を調査することになりました。こんな調査が起こなわれる必要性があるということは、医学的にエビデンスのないがん治療が現時点で行われているからなんです。いくら権威のある大学出身で有名病院勤務歴があっても、なんらかの事情でデタラメな医学に染まってしまう医師もいるのです。

■4:論文をもとにした健康情報なので信頼度が高いか?

無責任な医学健康情報サイトが話題になり、最近では多くの健康関連情報サイトが医学記事の元ネタ、あるいは自分の記事の内容が信頼できると誇示するためか、引用論文を併記する例が増えています。自分が言っていることは、これだけ権威のある医学専門誌に書かれているのだから間違いじゃないよ、って意味の場合もあれば、私が時々ブログで書く「こんな説が専門誌に掲載されているけど本当かね?」的なネタ元が実際に存在していることを示すために論文名等を併記したり、リンクさせることもあります。

ある健康情報サイトで青魚に含まれるDHAは記憶力を高め、頭を良くする(賢くする、って掻いてあったような気もするけど)との記事がありました・・・最終的にはDHAを含むサプリの広告が記事の下の方にありましたけど(笑)。DHAがどれだけ子供のIQに貢献しているのか、DHAを積極的に摂取すると記憶力が高まり、頭が良くなるかを伝える記事なんですけど・・・自分の主張を裏付けるために併記した論文がかなり古いものであり、その研究方法自体が発表後に批判あるいは問題となったものであることを監修したと称する医師はご存じなかったようです。さらにこのDHAを研究した権威ある論文中では「差はあったが有意差は無かった」とアブストラクトの結論に書かれているのに「権威ある論文でDHAでIQが上がると発表された」的に引用しているのは問題なんじゃないのかな?この話題はそのうちブログにする予定です。

一次ソースとして論文を明記する動きは歓迎できますが

◎本当に知りたい医学情報であるなら併記されている論文まで目を通した方が良いと思われます

でも、実際問題として一次ソースを読みこなすのは難しいのではないでしょうか?

ちなみに会員制医師向け情報サイトで元の論文が書かれていたのです、全く関係ない論文にリンクされていたことがありました。

■5:検索結果で上位表示されたから信頼度が高い?

検索結果で上位表示されるから、その健康情報は信頼度が高い、なんてことは私のブログの読者ではまずいないでしょう。しかし、世の中にはネットでの検索に慣れていない人も多数いますし、下手すりゃトップに出てくる広告を検索結果だと思ってしまうような純粋な心の持ち主もいるようです。Googleの方もどのようにして利用者に正しい医学情報・健康情報を伝えるかを工夫しているようですが、現時点ではまだまだです。

以上、ネットで信頼できる医療情報・健康情報を得るための注意点と落とし穴を述べてきましたが、そうそう簡単に見分けられるワケではありません。おすすめできる、

◎信頼できる医学情報・健康情報を得る方法は信頼できる主治医・かかりつけ医を見つけるのが一番です

・・・っと書こうと思いましたが、その信頼できるかかりつけ医、気軽に相談できる主治医がいないからネットで健康情報・医学情報を検索するワケで・・・顔を洗って出直すことにします(汗)。

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