五本木クリニック院長ブログ

加湿器はインフルエンザ感染予防に効果があるか?と素朴な疑問


まずは「インフルエンザは空気感染しないよ!!」が大前提

ヘンテコで不正確な健康医療情報がいまだにネット上にはびこっているようです。例えば「インフルエンザの予防方法:3つの感染経路をおさえよう!」とタイトル書かれている記事(感染経路をしることは予防する上では重要ではあります)を目にしてざっくり読んだところ、残念ながら監修している医師がインフルエンザをどうも空気感染すると思い込んでいる様子。感染症の感染経路として

1:接触感染
2:飛沫感染
3:空気感染
の3つが知られていますが、

インフルエンザウイルスは空気感染しませんぜ!!

接触感染・飛沫感染・空気感染の詳細については今回は端折ります。空気感染はウイルスが空気中をふわふわ漂って、それを吸い込むことで病気に感染するイメージで大きな間違いはありません。でもインフルエンザの感染経路は飛沫感染です。冬の空気が乾燥した時期に

インフルエンザに感染しない様に加湿器を!!は空気感染を防ぐ目的じゃな無いよ!!

じゃあ、なんで今の時期になると、インフルエンザの予防に的に加湿器のCMが増えるのか?そのあたりについてうんちくを述べてまいります。

東京都福祉局「冬季における有効な加湿方法」より  この図だと確かにインフルエンザの生存率は湿度に強く左右されています。

インフルエンザの予防に確かに湿度は重要だけど

プラズマなんチャラなんてネーミングの加湿器のインフォマーシャルがバンバン流れてきます、特にCS。個人的にはトーカ堂の北社長のが好きなんだあ、あの情熱的な表現に釣られてついつい「うなぎ蒲焼カット50g×10パック、うなぎ蒲焼キザミ50g×10パック」なんてものを購入しちゃった私です。

話を戻します、冬の空気が乾燥している時期に加湿器はそれなりの効果をインフルエンザ感染予防に果たすことは間違いありません。でもそれは厳密な意味での空気感染を防ぐわけじゃないです。

咽頭や気管支などの呼吸器系粘膜は乾燥していると働きが悪くなるからなんです

そんなことは知ってたよ、って方はここまでお付き合いありがとうございました(笑)。

加湿器のCMや空気感染についてあまりご存じないと思われる、私がちょっと気になった医師は

ウイルスが加湿器の水滴と合体して重くなり、空気中を漂えなくなるから

なんて感じの説明をしています。これ空気感染しないインフルエンザウイルス対策としてはちょっとヘン。

加湿器を使用して室内の湿度を高めに設定する目的は

ウイルスは比較的乾燥に強いことが知られています。また、乾燥状態が続くと、のどや気管支は防御機能が低下するため、インフルエンザウイルスによる感染が起こりやすくなります。そのため、乾燥しやすくなる冬季にウイルスによる感染を防ぐ方法の一つとして、室内では加湿器を上手に利用し、適正な湿度(概ね相対湿度40%以上)を保つことが重要だと言われています。

と東京都健康安全研究センターも述べています(http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/health/webversion/web15.html)。

確かプラズマなんちゃら加湿器の花粉症対策向けCMでは、花粉に水滴が付着して、室内を漂うことができなくなり床に落下するイメージ動画があったような気がします。花粉症対策の説明としては〇、でも空気感染しないインフルエンザ感染経路とゴッチャになっている人が多いんじゃないでしょうか?

インフルエンザウイルスが乾燥した環境では生き延びやすく、室内の湿度を一定以上に保つことによって、ウイルスの活動を抑えることはそれなりの効果は期待できます、でも基本的には空気感染はしないと考えると加湿効果の目的は粘膜の活動レベルを下げないためです。

マスクが効果を発揮するのも理由は粘膜保護

インフルエンザに感染して苦しまないための基本中の基本はインフルエンザワクチン予防接種と手洗いです。数年前から公的機関のインフルエンザ情報サイトでも「マスクによる予防効果は限定的です」「うがいの効果はエビデンスがありません」などと記載されるようになってきました。マスクの効果は他人様にインフルエンザを感染させない(これは飛沫感染ルート対策)であり、自分を感染から守る働きに関しては、あまり期待できません。この時期にマスク姿の人を多数街中で目撃しますけど、

マスクの役目は咽頭や気管支の粘膜を乾燥から守ること

なんです。マスクがフィルターの働きをして、ウイルスが体内に侵入するを防いでいるわけではないことにご注意くださいませ。

ところで加湿器のメインテナンス行っていますか?

レジオネラ菌により集団感染する、「在郷軍人病」というのがあります。1976年米国で開催された在郷軍人大会で集団感染が確認されたためにそのような病名が付けられています。これと類似した集団感染が時々日本でも報道されています。たとえば本年も

レジオネラ菌3人感染 高齢男性1人死亡 国東の施設

が報道されています。米国の集団感染は空調設備からレジオネラ菌が飛散したことが原因と考えられています。この感染経路を十分認識していたと思われる大分の高齢者施設はタンクの水は毎日交換していましたし、週に1度は本体も清掃していた様ですが、残念ながら集団感染は起きてしまいました。この施設で使用されていた加湿器は超音波式のために、加熱式と違いいくら掃除を丁寧に行っていたとしても、レジオネラ菌が増殖したのではないでしょうか?

超音波式(プラズマなんチャラもこれ)で加湿を行うのであれば、加湿器用殺菌剤を使用を検討しても良いと思います。

↑ページTOPへ

関連記事

インフルエンザ大流行!!テレビではポンコツ医学情報満載のニュース番組が・・・。

インフルエンザが大流行、テレビでは新薬の解説もかなりポンコツ? フジテレビ系のニュース情報番組「グッディ!」確か、以前取材協力をした記憶があり、時々拝見しております。2019年1月11日の放送内容でインフルエンザが大流行 […]

今年のインフルエンザワクチン不足の原因は何?どうして不足するの?

■去年に続き、インフルエンザワクチンが不足している今年の本当の理由は何? 10月1日から区が補助している高齢者のインフルエンザワクチン予防接種が開始しました。そのインフルエンザワクチンが昨年に続き、今年もいきなり不足して […]

「自分の子どもに薬を飲ませない」小児科医さん、 芳しいトンデモ臭がプンプンです。

■自分の子供に薬を飲ませないで他人様の子供には薬を処方するのでしょうか? 「小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない (いらない薬、いらないワクチン教えます) 」(鳥海佳代子著 マキノ出版)という、衝撃的なタイトルの本が1 […]

やっべー、今まで風邪の処方を間違って出してたかもしれない(汗)

■風邪の時の解熱剤の処方っていいの、悪いの? 私はなるべく薬の数は少なくなるように処方するよう心がけていました。例えば抗菌剤を処方する時「私って胃が弱いので胃薬も処方してくれませんか?」とのリクエストに対しても「今までこ […]

「マヌカハニーの強力殺菌パワーで風邪を撃退」記事はかなり怪しげ。

インフルエンザや風邪が流行する季節になると、怪しげなトンデモ治療方法がネット上に大量にあふれ出ることを風物詩的に鑑賞している今日この頃です。 先日、目にした蜂蜜の一種であるマヌカハニー(manuka honey)を食した […]