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古くて新しい病気?結核について⋯調べたら驚きの結果が❗

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結核は昔の病気だと考えている人も多いのではないでしょうか?

結核は決して過去の感染症ではありません。現代の日本でも結核と診断される人は毎年1万6000人以上もいます。さらに結核で死亡する人も毎年2000人前後もいるのです。1日あたり5−7人ほどの人が結核で命を落としているんです。

結核は予防接種で感染を防ぐことが可能であり、重篤化することを避けることもできます。

では、なぜ防げるはずの結核の患者数がなかなか減らないのでしょうか?結核感染者がいまだにゼロにはならず死亡する人がいる理由を解説します。

死因10位の結核、日本でも毎日6人が結核で死亡❗

こんな記事を目にしました。

外国人の結核 昨年1667人で過去最多⋯留学生増が要因(yomiDr.)

他の新聞だとこんな感じです。

若年の結核新規患者、外国生まれ1割超え 厚労省が対策(朝日新聞デジタル)

両者を比較するとタイトルが伝えるニュアンスに若干の違いがあるようですが、

日本で結核と診断された外国人が増加しているとの事実は揺らがないようです。結核というと過去の病気であり、今のご時世、結核を念頭に患者さんを診察する医師は呼吸器を専門としている人以外では少ないのではないでしょうか?

もちろん患者さんでも、長引く咳きや微熱の原因を結核に結びつける方もかなり少ないと予想します。しかし、調べてみて驚きました。

毎日結核と診断される人は42人、死亡する人が5人もいるのです❗

以前、古くて新しい病気というか、過去の病気と思われがちな梅毒が実はかなりの勢いで蔓延していることをお伝えしました。

【急増】梅毒感染拡大の原因を5つ考えてみた。

【急増】梅毒感染拡大の原因を5つ考えてみた。

実は性感染症が減少傾向にある中で、梅毒が急増するという不思議な現象が起きています。高齢化社会になり恋愛にも消極的な若者が増える中、性交渉そのものが減っているわけですから性感染症は減るのは当然ですが、梅毒は増えている、この原因について泌尿器科医が考察してみました。

結核はワクチン等によって予防が可能な感染症ですし、万が一感染しても治療が可能な疾患です。古くて新しい感染症とも言える結核について少々述べさせていただきます。

結核は稀な病気じゃないし、結核は過去の病気じゃないのだよ❗

数十年前に医師になった私でさえ、研修医時代に結核の患者さんがいることの驚きました。そうなんです、当時でさえ結核はすでに過去の病気と思われがちでした。私の専門は泌尿器科ですが、泌尿器領域の結核として膀胱結核や腎結核がありますが今ではかなり稀な病気と考えられ、症例報告が専門誌に掲載されるくらいです。

画像

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol1989/99/1/99_1_29/_article/-char/ja/

まず重要なことは結核は過去の感染症ではなく、世界的に見てみると

結核は世界の10大死因の1つである

日本でも結核と診断される人は前掲のヨミドクターによれば年間で1万5590人、つまり毎日42人近くが結核と確定していて平成29年では2309人が死亡しています(厚生労働省「結核登録者情報調査年報集計結果について」より)。

現在の日本でも結核で毎日6人以上が亡くなっている❗という計算になります。

世界中では年間170万人が結核で死亡しています

日本の結核事情を調べてみて、かなり意外な気がした私です。結核に関して目を世界に向けてみるとこのような状況です。

厚生労働省健康局結核感染症課により最近の結核対策について

厚生労働省健康局結核感染症課「最近の結核対策

確かに前掲の二紙に書かれているように、東南アジア圏での感染者数がかなり多いことに間違いはありませんが、日本における罹患率もかなり上位に食い込んでる点が気になります。

結核を古い病気、過去の感染症と侮った報いか?なんてことが、一瞬頭をよぎりました。

ええっ、学校検診でツベルクリン反応が廃止になっていた❗

反省の意味も込めて結核について自分なりに調べていて、意外なことを発見しました。小児科の医師だったら常識なのかもしれませんけど、なんと

平成15年から小中学校でのツベルクリン反応検査は廃止になっていたのです。いやー、本当に勉強不足というか反省、反省。

理由として小学校一年生および中学1年生にツベルクリン反応検査をしても、発見率がかなり低いとの結果が出ていたからとのこと。詳細は結核予防会結核研究所のサイト等をご覧ください。平成15年つまり2003年時点では乳幼児に行われるBCGワクチンがかなり功を奏していたと判断されていたようです。しかし、その後のなんだかヘンテコなワクチン忌避派の台頭によるものか、BCGの接種率は減少しています。

結核に関する特定感染症予防指針

この検討会では日本は結核の低まんえん国だからBCGの定期接種は中止あるいは選択的接種が提案されています。

厚生労働省の当時の接種を控える考え方の流れとして、いくつかの報告を検証すると、どうも副反応が気になって気になって的な様子が伺われます。

海外から流入が原因であっても、ワクチン接種等の予防を見直すべきじゃないの?

予防接種ワクチン忌避派がワクチン接種が自閉症の原因である、なんてわけわからんちん説を流布しているMMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹の3種混合ワクチン)があります。

2015年に日本は世界保健機関西太平洋事務局によって麻疹排除国と認定されました。しかし、麻疹は本年2019年にかなりの猛威を振るっています。

猛威を奮う麻疹

東京都感染症情報センター(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/measles/measles/)

風疹に至っては緊急情報さえ発せられています。

画像

2019年5月7日 国立感染症研究所 感染症疫学センター「風疹流行に関する緊急情報

さらに米疾病対策センターは2018年に風疹の免疫が無い妊婦さんは日本に行かないように勧告を出し、こんな取り上げられ方をしています。

妊婦さんは日本訪問を避けるべき

https://www.vaxbeforetravel.com/pregnant-women-should-avoid-visiting-japan-during-2019-rubella-outbreak

2019年も妊婦さんは日本訪問を避けるべきです❗って言われちゃっている。

朝日によると

国内での感染拡大を防ぐため、厚労省は今年2月、日本の長期滞在ビザを申請する人に、母国で結核検査をしてもらう「入国前スクリーニング」の導入を決めた。

とのこと。

もちろんこれも重要だけど、

日本人を対象とした結核感染対策の見直しも必要なのではないでしょうか?

2020年の東京オリンピックを控え、さらに人口減少対策として海外からの労働者が今後多数日本にやってきます。古い病気、過去の感染症なんて油断していると、命に関わる感染症リスクが増加します。

感染症対策としてのワクチン予防接種、もう一度多くの人のその重要性を認識していただきたいと思います。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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