五本木クリニック院長ブログ

人種差別を薬で解消することができる!?


 

非常に不愉快な人種差別

日本人であると海外旅行で明らかな人種差別を受けた経験ってあまり無いのではないでしょうか?医師の場合、研究に専念する為に海外、特にアメリカに留学先に選ぶ傾向があります。留学先によっても違いがあるのかも知れませんが、米国は明らかに見た目の人種、つまり肌の色や容貌での判別による差別は悲しい現実ですが存在しています。

 

たとえば、これは数十年前のことですが、白人の米国人、日本人、インド人、韓国人の研究者で仲良く食事をしていたときのことです。インド人が先に帰ることになりました、するとすかさず白人が「インド人は長期に渡ってアメリカに滞在するので、結構いい研究するんだよね」と褒めていました。次に韓国人が帰りました。「あいつらって国籍を取って米国に住み着くから、僕らのポジションを脅かすんだよ」とぼやきました。「その点、日本人は留学してきても二年で帰るからお客さん、さあ飲みにいこう!」という調子です。つまり外国人に自分たちの大学に置ける地位を外国人に奪われることを非常に彼らは恐れていたのです。

 

欧米の問題であるアフリカ系の人への差別

 

リンカーンが奴隷解放を宣言してから150年が経過しています。奴隷の子孫ではありませんが、黒人のオバマ大統領が誕生しても未だにアフリカ系アメリカ人への様々な差別が存在していることは、決して否定できない問題だと思います。「Propranolol reduces implicit negative racial bias. 」Psychopharmacology (Berl). 2012; 222: 419-24という論文が発表されました。プロプラノロールという主に高血圧の治療に使用される薬を服用すると人種的な偏見をもつ傾向が少なくなるという内容です。

 

高血圧の薬で人種差別意識が低下する

 

プロプラノロールは心臓をバクバクさせる交感神経を抑制する作用によって血圧を下げます。この交感神経は恐怖などの感情に対して反応する脳の一部分にも影響をあたえています。この研究は英国のオックスフォード大学の研究者によって行なわれました。 ・二重盲検をしようして無作為に健康な白人ボランティア36人にプロプラノロールを投与した ・服用後、一時間後に偏見に対する連想テストを行なった ・プロプラノロールを服用したグループは潜在的な人種的偏見が低下した という内容の論文です。

 

PubMed_Centralの図。_1:精神薬理学(ベルルサドル)。_2012_8月、222(3):419-424。_2012_2月28日にオンラインで公開。_DOI:10_1007_s00213-012-2657-5

 

差別は恐れに対して起きる反応という考え方

今回の実験は人種差別は「恐れ」によって引き起こされるという予想のもとに計画されたものです。ここで使用されたIATとはImplicit Association Testの略ですが、ニューズウイーク誌は「人種に関する潜在連想テスト」と日本語に訳しています。テストは非常にシンプルでコンピュータの画面上に黒人と白人の写真が表示され、好意をもつか否かを瞬時に判別させる方法です。日本であまりなじみが無いものですが、ネット上で利用することができます。人種だけでなく性・国・年齢などについてもテストは可能です。

 

テストを受ける https://implicit.harvard.edu/implicit/japan/のサイトでこのテストを受けることが可能ですが、遊びでは利用しないようにしてください。

 

今回の研究に対して、潜在的人種差別は、いつもは自分は平等にしているつもりである人にも存在する可能性が示唆されたと共に無意識のうちに人種差別的な態度を取ってしまうことを薬で制御することができる、または調整することが可能である、という意見が主流を占めています。

 

より哲学的な思考と歴史を深く理解していかないと

 

薬の副反応として、人種差別をなくすことができる可能性が出てきましたが。医学的・薬学的に神経回路の一つであるβアドレナリン受容体に影響を及ぼすノルアドレナリンが感情のメカニズムに関連していることはプロプラノロールが精神疾患にも利用されていることから間違いないことです。アドレナリンは「”Fight or Flight」つまり「闘争または逃走」を人間に起こさせる作用があります。 day-for-elimination-of-racial-discrimination_jpg__347×233_

 

そもそも何故人種差別が多くの国に存在するのでしょうか?いくら道徳的に有意義な薬であってもそのような思考回路が何故人間に存在しているのでしょうか?非常に後味の悪い論文であったのですが、歴史的認識や哲学的アプローチからの意見・アドバイスが必要なんではないかと、深く考えさせられた論文でありました。

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