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「セブンイレブンのCMにものすごく違和感を感じる」に違和感を覚えた

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はてな匿名ダイアリーに「セブンイレブンのCMにものすごく違和感を感じる」と題されたブログがあります。これを書かれた方はコンビニの代表選手であるセブンイレブンのテレビCMに違和感を感じたそうです。

昔は良かった、母親はこうあるべき、って考え方はもうやめませんか?

この「セブンイレブンのCMにものすごく違和感を感じる」ブログを読んで私はものすごく違和感を覚えました。別にコンビニに恩義があるわけじゃないですが、このようはコンビニ批判と受け止められるご意見の根底にはコンビニ弁当は体に悪い、昔は良かった、母親はこうあるべきだがあるから、個人的に違和感を抱いたと分析します。

コンビニの食品に難癖とつける方々の共通点

食品ジャーナリストの郡司和夫さんがコンビニ批判の急先鋒と私は捉えています。かなりの数のトンデモ記事が掲載されているBusiness Journalにでもよく見かける方です。

たとえばこんな記事があります。「ペットボトル茶は危険!発がん性の合成ビタミン大量含有、粗悪な中国製添加物も」(https://biz-journal.jp/2016/06/post_15377.html)と題されたこの記事はお約束の手軽なペットボトルを批判して、中国産はなんでも粗悪である的なテイストがトッピングされています。

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この郡司和夫さんはこんなヘンテコなことを述べています。

合成ビタミンCと自然の食品に含まれるビタミンCは、まったく異質のものであると理解しておいたほうが健康のためである。たとえば、がん細胞をつくる原因になる活性酸素を、ミカンなどに含まれる天然のビタミンCはほとんど発生させないが、人工的に作られた合成ビタミンC(L-アスコルビン酸)は大量に発生させる。天然のビタミンCには活性酸素の発生を抑える酵素が含まれているからだ。酵素は分子構造式(いわゆる亀の甲)には現れない。いくら合成ビタミンCが天然のビタミンCと化学式が同じでも、安全性が同じとはいえないのである。

Business Journal

化学式が同じでも、安全性が同じとは言えない⋯化学式ってある物質がどのような原子や分子で成り立っているかを示すものであり、化学式が同じなら同じ物質なんですけどね。このような化学の基礎的な大前提をご理解ない方に批判されるコンビニ業界も大変だと思われます。そういえば以前こんなブログを書きました。

食品ジャーナリスト達は「コンビニおでん」いじめが旬のようです。でも根拠は間違いだらけだよ❗

食品ジャーナリスト達は「コンビニおでん」いじめが旬のようです。でも根拠は間違いだらけだよ❗

コンビニおでんは超危険というデマを撒き散らす人たちがいます。彼らに言わせるとコンビニのおでんは具がずっと汁に浮いているらしくありえない現象とのこと。さらに、危険な添加物を非表示で大量使用しているから、がんや記憶力低下のリスクがあるんだそうです。あまりに荒唐無稽でむちゃくちゃな話なのでしっかり検証しておきます。

コンビニのような大きな業界がもしも、食品ジャーナリストさんの説得をしようと試みると多分「巨大な陰謀によって圧力があああ」って言い出すんでしょうね。

昔は良かったは多分幻想だよ

現代社会はギスギスして暮らしにくい、江戸時代のひとはこんなに素敵なモラルを持っていたんだよ、と主張する「江戸しぐさ」なるトンデモ系の偽史があります。江戸時代にありもしなかった日常生活のマナーがあった、これを現代社会人は生かさなければならない、と積極的にアピールしている団体もあります。江戸しぐさについては各自お調べ頂けると幸いに存じます。

医学領域で言えば「昔は良かった」はありえません。予防接種もなければ、全身麻酔の技術も稚拙、抗生物質もない時代に生まれなくって良かった、と多くの方が考えるはずです。もう少し時間を進めて「昭和は良かった」的なご意見も多数あります。少なくとも寿命という点では昭和より平成の方が遥かに長くなっているのは常識ですよね。

昭和に比べて、がんで亡くなる方が増えた、だから昭和が良かった??これは明らかな間違いです、長寿であることによって、がんが主な死亡原因になっただけですから。

母親はこうあるべき、かなり違和感が

セブンイレブンのCMにものすごく違和感を感じる、をお書きになった方はフェミニスト方面からの批判をさけるようなエクスキューズがついてはいますが以下のように述べています。

小学校の頃のバザーで校長先生がコロッケをうっていたんだけど、そのときのお店の名前は「世界で二番目に美味しいコロッケ」だった。理由は「一番はお母さんが作ってくれるコロッケだから」だ。

http://anond.hatelabo.jp/20170430152954

それをまぁインスタントに提供されているのにニコニコしている子供の姿に、なんとなくもやもやとするのだ。まぁ実を言うと私の母親は共働きで睡眠時間も毎日4時間という激務の中食事をきっちりと作ってくれる人だった。食事だけじゃなくてお弁当もしっかり作ってくれた。冷凍食品を使うことの方がまれだった。

http://anond.hatelabo.jp/20170430152954

これはかなり悪性の「母親はこうあるべきだ」信仰なんじゃないでしょうか?

手間暇をかけた料理の方が優れている⋯手料理を作らずに、コンビニの食材を利用するなんてケシカラン的な考えがつよーく漂ってきます。

コンビニ食批判記事の多くは、科学的な知識不足、根拠不明な昔は良かった幻想、そして子育て中の母親にプレッシャーをかける昔の母は頑張っていた、との思考が強く影響しているものと判断して間違いなさそうです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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